ハンガロア村


旅の日程
2007.10.29-11.4
やっぱりモアイ

マウンガ・テレバカ

イースター島の牛

イースター島の花

ホテル・マナバイ

行き帰り

旅のIndex

ハンガロア村全景 イースター島民のほとんど全部はハンガロア村に住んでいる。 モアイの項で書いたとおり、奴隷狩りに遭ってからというものこの島は衰退の一途、 島民には絶望が広がり、 そこにやって来た宣教師によりキリスト教に改宗して見知らぬ土地の神に救いを求めた。
ラパヌイ(イースター島)はうちひしがれていたのである。 うちひしがれている間によそ者がやって来て土地の所有権を主張し始めた。 そして島のほとんどはタヒチ人のものという事になり、 そのタヒチ人は土地をチリ政府に売り払ってしまった。 それでラパヌイはチリ領になり、島民はハンガロア村にのみ住むことが許された。 ハンガロア村には柵が巡らされていたらしい。
私の住む淡路島も徳島から兵庫に売り渡された島だが、 そんなどころじゃない話だ。
私の想像だが、日本人のような農耕民族ではないラパヌイの人々は 土地の所有権に関して無頓着だったのだろう。 ネイティブアメリカンの住む大陸でヨーロッパ人が勝手に所有権の争ってできた アメリカ合衆国という国の歴史を見てもそれは想像できる。
キリスト教の宣教師たちは島民にヨーロッパ人のシステムを教えて警告するなんて気が無かったのだろう。 当時の宣教師の手記を読むと、彼らが島民を子ども扱いしていたのが分かる。 宣教師からみれば、 キリスト教徒の国に併合される方が島民は幸せになれると思えたのかも知れない。
そして現在もラパヌイはチリ領だ。スペイン語の"Isla de Pascua" (そのまんまイースター島という意味)が正式名称らしい。 でもラパヌイ人は自分たちだってチリ人には違いないのに、 チリ本土の人のことを「チリ人」と呼ぶ。 ラパヌイトラベルのドライバー兼ガイドのお兄ちゃんも、 私が滞在している間に交通事故で死んだ人のことを「チリ人」と表現した。 彼は顔を見る限りバリバリのラパヌイ人のようだ。 彼らの「チリ人」という言葉に、頭越しに島を売り買いされてしまったラパヌイ人の ささやかな抵抗を感じるのは私だけだろうか。
とは言え、この島にはチリ本土から来て住み着いた人や関係ない国から来て住み着いた人が たくさんいて、混血も進みいろんな顔をした人がいる。 しかし東アジア系の人間は日本人のみで、ラパヌイの人は韓国人を見ても中国人を見ても 「トモダチ」と呼びかけるそうだ。
私が初めて「トモダチ」と呼びかけられたのはラノララクのトイレ。 500ペソまたは1ドル払うと係の人がトイレットペーパーとペーパータオルをくれる。 用を足した後手を洗ってふと見るとペーパータオルのホルダーがあったので 紙が入ってるんだろうかと見ていたら、 係の女性に「トモダチ」と呼びかけられた。 日本語の使い方としては間違っているが、スペイン語をかじっている私はすぐ理解した。 スペイン語のアミーゴの使い方で友達という日本語を使っているんだ。

海 ハンガロアと言うのは言葉としてはHANGAとROAに分解できる。HANGAは港。 ハンガロアはロア港ということになる。 海は荒波、海岸は岩。見ると恐ろしげだが波の上ではサーファーがパドリングしていたりする。 だけど絶好の大きなチューブができても誰も乗らない。 ラパヌイのポイント・ブレイクはかなり上級者向けのようだ。
サーファーがいっこうに波に乗らなくても海を眺めているのは楽しい。 美しいと言えば一言で終わるが、 絶海の孤島からは水平線しか見えない。空にも海にも終わりがない。
この海を見ただけでも来た甲斐があったと思わせるような海だ。


アフ・オロンゴ 海岸沿いに歩いてみると村の中にもいくつかのアフがある。
これもまたモアイ同様、看板が無ければ見過ごしてしまうようなアフ・オロンゴ。
復元されていないアフを見るたびに、どうしても芭蕉の句が浮かんで来てしまう。
「夏草やつわものどもの夢の跡」
ちょっと違うが...


村では犬も馬も放し飼いにされている。 タヒチでもそう。タイのコラートもそうだった。 暖かい土地の特徴なんだろうか。
ATM前の犬 犬同士は時々一戦交えているが、人に向ってくることは無いようだ。
それでも犬嫌いの人にとっては、ハンガロアは恐ろしい所かもしれない。
銀行のATMの前に同じ色で大小二匹の犬がいた。 いい感じでおくつろぎのところ写真を撮らせて頂いた。 銀行は海岸からすぐの所にある。 海岸沿いの道に出ると、モアイが一つだけ佇むアフがあった。
写真を一枚、とカメラを構えると、 いつの間にやらあの犬たちがついて来ていてアフの前に並んで座っていた。 シャッターを切ると何故か二匹ともカメラ目線。 笑ってしまった。
小さいほうの犬は後ろ足を片方骨折したままだった。島に獣医はいるそうだ。 しかも政府が金を出しているので診療費はタダ。
アフの前の犬 ということは、このワンコ達は放し飼いではなく本物のノラ犬か? この犬たちにとってアフやモアイは何だろう。 こんな風にモアイの前でポーズして観光客に食べ物を貰ってるのかもしれない。
犬はまだしも人間の様子からアフがただの石の集まりではないと感じているのかもしれないが、 馬はそうじゃない。
アフの上にズカズカと乗り上がり、 石と石の間に生えているわずかな草まで食い尽くさんばかりの勢いだ。
お馬様たちはモアイに体をこすりつけて痒いところを掻いたりもなさる。 これこそ「夏草や...」である。
アフの周りで草を食べる馬 お馬様たちは別にノラ馬、いや失礼、Independenceな存在ではなく所有者がいる。
ラパヌイでは馬も立派な交通手段だが今では自動車が取って代わって需要が減った。 それでもティーンエイジャーは日本の子供がバイクで暴走するがごとく街中で馬を爆走させる。 それが歩道の上だから結構怖い。


ごみの捨て方 犬だらけの村だけあってゴミの捨て方は工夫されている。 地面にじかに置けば大変なことになる。 だからゴミは木の上。カラスはいないからこれでOK。
ハロウィンの仮装
滞在中、ちょうどハロウィンだったから仮装の子供がお菓子を奪いに土産物屋に来ていた。 その後で食料品店に水を買いに行ったら店にある飴玉を全部買っている人がいた。 随分な出費だ。
ハロウィンってキリスト教版の地蔵盆だったのか。

南国情緒 村の北部の海岸線は公園なんだろう。
フィールドアスレチック風の遊具があるかと思えば、 岩絵風のオブジェが置かれているし、椰子の木も植えられている。 椰子の木は自生していない。タヒチから持ってきて植えたものだ。 アナケナビーチの椰子の木も同様。
南国情緒をかもし出そうというところだろう。 うちの島には椰子は育たないからシュロとかソテツとか植えている。 似たような発想なんでしょうか? なんちゃって岩絵

モアイと飛行機

モアイの向こうを飛行機が飛んでいる。
まさかこの島に飛行機が飛んで来るとはモアイも思わなかったろう。
でも目も耳も失ったこのモアイには分からないのかな。

マウンガ・テレバカに続く

旅のページ