IC-R75 使用記

最終更新日:2006年10月7日



1.導入時期: 2004年7月18日より本格稼動、2005年10月より2台目を導入。現状2台体制

2.購入の動機: 1970年代以来の通信型受信機が欲しくて & 臨時収入があったので。Sメーターに魅力を感じて!

3.使用記:
(1)感度: 良い、特にこのレシーバーはアッテネータだけではなく、プリアンプが10dBと20dBが入るため、ΔLOO7との相性が抜群である。なぜなら、ΔLOOP7もバンド(特にカバーレンジの下のほう)によって感度が低下することがあり、このときにこのプリアンプが活躍します。また、この理由もありますが、ΔLOOP7とIC-R75の相性は抜群で、お互い感度を助け合っているような所もあり、ANT+RXとしてみたときに非常に良いコンビです。

(2)選択度: オプションの455kHzのクリスタルフィルターの効果が抜群!オプションで追加した3.3kHzフィルター(FL-257)がクリスタルフィルターであり、サイドの切れがすばらしくよい感じです。例えば横からちょっとビートがあるような場合、3.3kHzのフィルターに切り替えて、PBT(パスバンドチューニング)のVRを少し回すとこの鋭いスカート特性でビートがピタッと止まる事が多いです。いたずらに狭帯域の2.4kHz等に切り替えなくても良いため、音質の良い受信が可能となります。受信音を録るときには大体この3.3kHzフィルターで録っています。
 以前の使用記に書いていた、この3.3kHzフィルターの信号減衰の問題は、最近の生産ロットでは対策を施してあるようで、2台目のIC−R75では全く減衰はありません。この点、非常に使いやすいです。
 あと、9MHzと455kHzのそれぞれのフィルターを、どちらも2.3kHzに設定しますと、TWIN PBTとしてPBTが機能するようになります。つまり、TWIN PBTつまみの内側と外側をそれぞれ反対方向へ回すと、2.3kHz以下の帯域を持つIFフィルターと等価な動作となりますし、これのずらし方をアンバランスにすることで、IF SHIFT+PBTという機能も実現でき、混信対策には非常に効果的です。

(3)音: スピーカーで聞いた場合は、あまり良くなく硬い音になってしまいます。でも、ヘッドホンで聞いた場合はそれ程悪い音ではありません。これが通信型という音か?
 また、AF GAINを絞り気味にしていくとSPやヘッドホンから「パリパリ」というようなノイズが漏れて来ます。これは、VRが大きい場合は受信音に消されているだけで常に生じている現象で、これは、このIC-R75のAF部の設計が悪いとしか言えません。さて、ということでDSPユニット(UT-106)追加で、この「パリパリ」音は良化します。が、本来自分の出しているノイズを取るのがDSPユニットの機能ではないはず。何か間違っていませんか?ICOM殿!!!まあ、このDSPユニットを追加し、効果を”1”程度にしておけば、そのバリバリ音も無くなりますし、受信音のノイズもあまり了解度を落とさずにノイズをカットできます。でも、効果設定が0〜15まであって、1がベストとは”?”です。もうちょっと細かく設定したいですね。
 なお、ヘッドホンの音も100%満足とは言えないので、Audio Boxというものを試作して常に使用しています。グラフィックイコライザ機能により自分の好きな音に加工できますので、文句ない音で聞くことができます。

(4)その他:
・ノイズブランカー: 一応スイッチは付いていますが、きれいな音のときにONすると、むしろノイズが増加するのはなぜ???(2台とも同じ現象)雷のような、”バリバリ”というノイズがある場合はONするとノイズが軽減されますので、この点は評価します。
・DSP NOTCH: ノッチの効く周波数幅が非常に狭いし、聞いた場合に受信音に与える影響が大きい。(音がこもります) よって、私はこの機能を使用していません。上記、Audio Boxにノッチフィルター機能があり、それを用いてビート除去をして聞いています。
・DSP NR: 先ほどのIC-R75が出すノイズを取るには、16段階ある効果の下から1個目の"1"にします。これ以上効果を上げたら音の明瞭度がどんどん下がるだけです。よって、DSPユニット(UT-106)は、IC-R75が自ら出すノイズを消すことが主になってしまいますが、もちろん効果設定が”1”でも通常の受信音への効果は十分に感じられます。
・メモリー: 101CHあります。私の場合は、RRI各局とAFRICA各局を入れたら一杯になりました。まあ、メモリー受信は、受信開始時のコンディションを見るための最初のSCANのみに使用していますので、あまり不自由は感じていません。必要最小限だと思います。
・操作性: これは慣れもあるでしょうが、TS(チューニングスピード)スイッチと10キーを使い分けることで慣れると非常にすばやい周波数の変更が可能です。AR7030のような10キーがリモコンにしかないものと比べたら多分相当操作性は良いと思います。この操作性を上げるためには、常にMEMORYモードで使用する方が良いようです。VFOモードでは、手間取ります。
・同期検波: 最後にこれでしょう。IC-R75の同期検波機能は、全く役に立ちません。多くのIC-R75ユーザーは、片側波帯の受信には、同期検波ではなく、SSBモードにして"ゼロビートを取って"聞かれていると思います。ICF-SW7600GRから乗り換えた私にとって、一番がっかりしたのがこの欠点です。しかし、S-AMモードではIFフィルターの設定をAMモードとは別にできるので、IFフィルターの組み合わせを増やす機能として、考えればそれなりに有効利用できます。
・IFフィルターについて: できれば、最初から入っている6kHzのIFフィルターは帯域が広すぎるため、5kHz〜4kHz程度のセラミックフィルターに交換したたいと考えています。多分、それくらいのフィルターが国際放送を気楽に聞くにはベストだと思います。6kHzのフィルターだと広すぎて、音は確かに良いのですが、サイド混信等のため聞きづらい場合が多いです。自分で交換可能か?適当なフィルターがあるか?現在思案中です。
・安定度: 周波数安定度はオリジナルの水晶発振子ですと、P/ON後かなり周波数が動くのがわかります。よって、オプションのCR-282を導入して周波数の安定化を図っています。これを導入してから、P/ON後の周波数ドリフトはあまり感じなくなりました。

4.使用方法: 我が家のメインレシーバー2台体制です。
 第1号機(初期導入機)は大体、ベランダロングワイヤーアンテナ+Active Pre-Selectorを接続して、主にハイバンドのワッチに使用しています。第2号機は、ΔLOOP7と接続して中波&120mb〜13mbの受信に使用しています。圧倒的に、第2号機の活躍の場が多いです。なお、どちらの受信機にも同じオプション(UT-106、FL-257、CR-282)を装着しています。

5.まとめ
 良い所や悪いところをメーカーさんにまったく遠慮なくコメントしてみました。非常に悪い部分のみ取り出すとこのレシーバー本当に大丈夫?と思われる方も多いかもしれません。しかし、実際はこの価格でこの感度&操作性、混信除去能力の向上が得られるとするとお買い得な1台だと申せましょう。宣伝ではないですが、ΔLOOP7との相性も本当に抜群です。事実、最近私が当サイトにUPしている受信音は、まぎれもなくこのレシーバーで受信した音そのものですから!
 でも、このレシーバーは大事に使いましょうね。実は第1号機が2005年の夏(保証期間中)に故障して、メーカーのサービスセンターに修理をお願いしたのですが、約2ヶ月も修理にかかりました。結局修理不能で代替機になってしまいました。これは、もし1台の使用状態であれば、待ちきれない時間です。この点、要注意です。

結局、オリジナルのIC-R75に対して追加したオプションは、455kHz IF-Filter "FL-257", DSP-Unit "UT-106", TCXO "CR-282", Carry Handle "MB-23"と言うことになります。

今後さらに写真入での解説を充実させます。ご期待ください。

トップへ
戻る