Audio BOX (専用IC版)

最終更新日:2006年3月11日

 現在本格稼動中の"Audio BOX"の詳細を公開します。ノッチフィルターの設計に時間を取られましたが、れで完璧です!

1.Audio BOXとは?
 日頃通信型受信機の音が、「硬い」と感じていらっしゃる方も多いかと存じます。この、Audio BOXは5点グラフィックイコライザにより、自分の好みの音に受信音を加工できます。結構効果があります。また、ノッチフィルターも内蔵しており、ビート音の除去も可能です。このノッチフィルターは50Hz〜5kHzの周波数の可変ができ、Q(除去周波数幅)も2〜30まで、それぞれ独立して変えられる為、非常に使い勝手が良いばかりか、ノッチでビート除去を行っている場合の受信音に与える影響を最小限に抑えることができます。
 最後に、ヘッドホンアンプを入れており、好みの音量で聞くことができるようにしました。なお、入力は受信機のREC OUTから取ります。ICレコーダー等にはこのAudio BOX背面のREC OUT端子から接続することになります。このAudio BOXのREC OUT端子は、SW3により入力そのものかノッチとグライコを通ったものにするかを選択できるようにしました。

 以下に、本AudioBOXを使用した音の実例をUPして見ます。以下のストリーミングファイルを再生開始し、5秒後にNOTCHフィルターをONしています。開始から5秒間聞えているビート音が、スパッと消えていることがおわかりかと思います。これは、NOTCH FILTER (Parametric Equalizer)の効果ですが、グライコについては、ON/OFFスイッチが無いためちょっとON/OFFでの効果UPは難しいです。とりあえず、NOTCHの効果をご確認ください。
 Effect of the Notch Filter
 
(注意)今回の、AudioBOXについては実体配線図は体力的に製作&UP不可能なため、腕に自信がある方のみ以下の回路図と部品表をご覧になってご自身の責任でお作りください。

2.回路図

 
 J1:受信機のREC OUTより音声を入力する端子
 J2:レコーダーに接続するREC OUT用の端子
 J3:ステレオヘッドホンを接続するAUDIO OUTの端子
 VR1:音量調整ボリューム、VR5:ノッチフィルターのノッチ周波数調整ボリューム
 VR2:ノッチフィルターの帯域幅(Q)調整ボリューム
 VR3:100Hz中心のイコライジング、VR4:250Hz中心のイコライジング
 VR6:633Hz中心のイコライジング、VR7:1.6kHz中心のイコライジング
 VR8:4kHz中心のイコライジング

 オペアンプには、(旧)三菱のM5218Lを使用しましたが、現在廃品種のため入手できませんが、新日本無線のNJM4565L、NJM4558Lが互換品です。こちらはまだいっぱい売っているようです。また、5点グライコ用ICには、三洋のLA3600を使用しました。これも入手可能ですが、大阪では手に入りませんでした。
 電源は、12V200mA程度のACアダプターを使用します。ΔLOOP6で使用したのと同じもので結構です。

3.製作時の注意事項
(1)VR5について
 VR5は100kΩのAカーブの2連ボリュームを使用しました。これは、高い周波数(1kHz〜5kHz)でのノッチ操作をしやすくするためです。本来はCカーブにしたかったのですが、現在市販されておりませんので、Aカーブを反対に使います。よって、感覚とちょっと違いますが、反時計方向回しきりで一番高い周波数(5kHz)となりますが、操作性を重視しました。
(2)VR2について
 VR2は、ノッチのQの調整用です。ビートを落とす幅を決定します。このVRの調整のコツは、まずQを落として(抵抗値の大きい方にする)幅を広げてノッチでビートが落ちる所に上記VR5を調整します。その後、VR2によりQを上げる(VRの抵抗値を落とす)と急峻なノッチとなり、受信音に与える影響を抑えることができます。
(3)VRT1の調整方法
 今回用いたノッチフィルターの回路は、「パラメトリックイコライザー」といわれるもので、ノッチ特性の他、バンドパス、ローパス、ハイパスフィルターの特性も回路の小変更で可能です。このうち、VRT1を回すとバンド強調〜バンド除去(ノッチ)に変化させることができます。AM放送を受信しながら、SSBモードにして同調をずらしてビートを発生させ、これが落ちるのがノッチです。このノッチ特性にVRT1を置いておき、上記VR2&VR5により、ビートが落ちるように調整します。しかし、VRT1の調整が悪いといくら調整してもビートが残ります。よって、VR2&VR5の調整でのベストポイントで、半固定のVRT1を回してビートが完全になくなるように調整をします。1kHzくらいのビートで1回調整すればOKです。
なお、調整中にバンド強調に行った場合に発振をすることがありますので、あまり調整中に音量を上げすぎないように注意しましょう。
(4)基板写真
 基板の拡大写真です。
 

 基板をケースに取り付けて、ボリュームやスイッチに配線を終わった状態。
 

4.外観
(1)操作面
 
 一番上の5個並んでいる小さいつまみが、グライコ用、左から100Hz、250Hz、633Hz、1.6kHz、4kHzと並んでいます。その下の中くらいのVR2個が、ノッチフィルター用で、左側がQ、右側が周波数調整用、右下の一番大きいVRつまみが音量調整です。また、下のスイッチが電源で、上のスイッチがノッチフィルターON/OFFです。電源ONを表示するLEDは、今回は「黄色」を使用しました。

(前面)
 
 左の端にある端子が、ステレオのミニジャック3.5mmφです。ここにダイレクトにヘッドホンを接続します。

(後面)
 
 一番左の黒い端子が、ACアダプター接続用のジャック。右に2個並んでいるのが、受信機と接続するMono3.5mmφの入力端子とICレコーダ等を接続するREC OUT端子です。どちらをどちらに使っても良いようにしています。REC OUT端子横に近く、REC OUT SELECTスイッチ(SW3)を増設予定です。(回路図にはもう入っています)

5.部品表
  


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