Active Pre-Selectorについて

作成日:2004年5月16日

最終更新日:2004年6月12日

もともとハイバンドの感度UPを目的に製作した「Active Pre-Selector」についてまとめてみます。
しかし、ローバンドにもコイルを変更することで対応可能ですので、その方法についても述べます。

1.Active Pre-Selector ってなに?
  Active Pre-Selectorは、混変調などを避ける場合に良く使用するプリセレクター(受信機のアンテナ端子前段に挿入する同調回路)と感度を向上させるアンプを組み合わせたものです。
実は、ActiveBOXとLONG-WIREアンテナを組み合わせて使用してきましたが、マンションとはいえ8m長のロングワイヤーアンテナに非同調のActiveBOXがつながると、特に夕方の31mbや25mbでは受信機が混変調&飽和してしまい、結局受信機のアッテネータで感度を落として使う場合が増えてきました。そこで、混変調などを避けてかつ長さの短いロングワイヤーで、DXをやる目的でこれを製作しました。

2.ActiveBOXとの使い分けは?
  Active Pre-Selector は常設のプリセレクターとして、主に自宅で使用します。なお、もっと短いアンテナを使用するような環境やペディなどでは、コンパクトなActiveBOXが良いと思います。

3.受信周波数カバレージ
  ローバンド用コイルとハイバンド用コイルの2種類を製作してみました。私の場合、ローバンドはΔLOOP5を使用しておりますので、本Active Pre-Selectorはハイバンド専用で使用しいていますが、リクエストをいただきローバンド用コイルも製作しました
コイル名 同調範囲 使用ポリバリコン
ハイバンド用 9.2MHz−22MHz 160pF−3.4pF
ローバンド用 2.7MHz−6.4MHz 160pF−3.4pF
ローバンド用 2.25MHz−5.3MHz 242pF−7.1pF


4.回路図
  以下に回路図を示します。
 
  上図のように、ActiveBOXの前に同調回路を入れただけという構成になっています。
アンプ部は定番のMOS-FET(2SK439)を用いたシンプルなアンプになっています。図面左側が入力部にあたりバナナジャックと3.5Φモノラルジャックの2種類の入力端子を備えています。図面右側が出力部になっており、3.5Φのモノラルジャックを用いました。この端子から、受信機のアンテナ端子に接続することになります。電池は単4電池1個を使用しました。[T1]のコイルはトロイダルコアにエナメル線を巻いたものを用いています。このコイルについては以下に詳細を述べます。ActiveBOXに使用していた出力側のトロイダルコアは、どうも発振がきついため使用をあきらめ、シンプルな抵抗負荷として発振を止めました。バリコンも、ΔLOOP2で使用したものではなく、AM用2連バリコンというものに変更してより高い周波数に同調させるようにしています。上記周波数カバレージで、大きい容量(242pF)の時には2連の両方(同調側+局発側)を並列に使用し、小さい容量(160pF)の時は、2連バリコンの同調側だけを使用します。

5.外観
   
 あれーどこかで見たぞ!とおっしゃる方は、とても当サイトを良くご存知の方です。そう、このBOXはΔLOOP2のコントロールBOXだったものです。上記の回路図を見ておわかりのとおり、このActive Pre-Selectorは、ΔLOOP2のコントローラとActiveBOXの回路を重ね合わせたような回路構成になっており、最近出番が少ないΔLOOP2のコントローラBOXを思い切って改造しました。
 左下にSWが増えていますが、これは、アンテナスルーSWを追加して、このBOXの効果が確かめられるようになっています。また、強い局でアンプがいらない時にはスルーできます。あとは、右上のSWがアンプの電源SW、右下のつまみがバリコンの同調つまみです。
 裏面の写真の平ラグ板の一番左の部品がT1です。これについて、巻き方を以下に示します。

6.コイルの巻き方
 ハイバンド用とローバンド用の2種類のコイルを巻いてみました。それぞれに使用したトロイダルコアの材質と巻き数及び巻き線についてまとめますと。

コイル名 使用トロイダルコア 使用巻き線 巻き数
ハイバンド用 T25#6(黄色) 0.2mmエナメル線 1次側 5回、2次側 21回
ローバンド用 T106#2(赤色) 0.4mmエナメル線 1次側 8回、2次側 31回

ここで使用したトロイダルコアは、有名なアミドン製で最初のTがコアの材質で、TとFTの2種類があります。次の数字(25とか)はコアの直径をインチで示しています。25=0.25インチ、106=1.06インチということです。#の後の数字は、使用周波数帯を示しており、6(黄色)=10MHz−30MHz、2(赤色)=500kHz−10MHzとなっていますが、多少これから外れてもOKです。
 このトロイダルコアの取扱説明書を見たい方はお問い合わせください。

以下にこのコイルの巻き方を示します。
 


7.私の場合、どういう使い方をしているのか?(使用例)
 私はどんなふうにこのActive Pre-Selectorを活用しているかと言いますと、以下の2種類です。
    
アンテナ 組み合わせた場合のメリット
ロングワイヤー
アンテナ
単純に短いロングワイヤーの感度を向上させます。
ただし、受信周波数を変える度に本プリセレクターの方も同調操作をしなくてはなりません。DXが狙えるなら喜んで同調操作ですよね。
短縮ダイポール
アンテナ
以前製作した短縮ダイポールアンテナ(製作記事はまだUPしておらず)はHCJB日本語放送受信時に、その指向性の良さが威力を発揮して、混信を軽減してくれました。このダイポールの欠点は感度不足です。これをかなり補うことはできますが、指向性が必要ない場合は上記ロングワイヤーを使用したほうが感度が高いです。

8.まとめ
 なかなか良い結果が得られています。当サイトの「受信LOG」のコーナーのアンテナ表示のところに、P-LW(1の構成)、P-DP(2の構成)、と記載されているのは、このActive Pre-Selector を用いた受信である事を示しております。
 マンション住まいなどで長いアンテナを張れなくて困っているBCLファンの皆さん、どうか一度お試しいただきたいと思います。なお、アンプを入れるとノイズが増えるんじゃないか?と言う心配をお持ちの方も多いかと思いますが、本BOXはローノイズのMOS-FETを使用しており、ノイズの増加は軽微です。


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