A.58 すべての血球試薬と反応?

追加情報
直接クームスは陽性です。
一応、パネルセルに当ててみたのですが、それもすべて陽性でした。
交差試験、抗体スクリーニング、抗体同定で用いた検体は、すべて同じものです(交差試験と抗体スクリーニングをまず同時に行ってました。)
疾患名は、今のところ上部消化管出血、貧血、甲状腺機能亢進症(軽度)です。
輸血歴は、10年くらい前に輸血を行い、副作用(発熱、浮腫)などの副作用があったみたいです。
使用薬剤は、プレドニン、 甲状腺関係の薬(すみません、名前を忘れてしまいました)、便通関 係くらいです。
血液検査では、多少肝機能が高いくらいくらいで、TP、ZTT、TTTは正常でした。


コメント
生食法が陰性とのことですので、冷式自己抗体(抗I)などは否定できるかと思います。
また、TP・ZTT・TTTなども正常範囲とのことですので、連銭形成も否定できるかと思います。
投与薬剤にもこれといった輸血検査に直接影響の出そうなものはなさそうですが、たまたま、その検体を採血された時に投与されていた薬剤(輸液)が影響していた可能性もありますので、できればもう一度採血してもらい別検体で再検査する必要もあるかと思います。
あと、施設内にDT解離液をお持ちなら抗体解離試験を実施しておかれてはと思います。

すべての血球と反応してしまう場合の原因ですが、
1.非特異反応によるもの
ブロメリン非特異反応とPEGの非特異反応が起こった。

2.温式自己抗体による影響
投与薬剤の中に「プレドニン」というステロイドがあるので、何か自己免疫疾患的な既往があるのではないでしょうか?
溶血所見があれば、実は貧血の原因は「AIHA」によるもかも....?

参考ページ
AIHA

3.複合抗体または高頻度抗原に対する抗体によるもの
高頻度抗原に対する抗体の場合ですが、比較的よく検出されます抗JMH、抗Jra、抗Diabなどはクームス法で反応しますが、ブロメリン法では反応しないことが多いようです。
従いまして、
高頻度抗原に対する抗体+ブロメリン非特異反応
高頻度抗原に対する抗体(例えば抗Jra)+複合抗体(抗E+抗c)などのようなケースも考えられるかと思います。
高頻度抗原に対する抗体を同定するのは血液センターさんでないと難しいと思います。

参考ページ

高頻度抗原に対する抗体