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これは自己対照陽性の原因によって対処法が変わってきます。
輸血をしても問題がさほど無いものから問題を起こすものまで様々です。
まず、CBC用のEDTA採血検体を使って直接クームス試験を実施しましょう。直接クームス試験は、輸血検査のクームス血清さえあれば院内で検査が可能です。
また、自己対照に影響を与える患者さんの疾患(自己免疫疾患、SLE、AIHA、など)、投与薬剤(セフェム系、ペニシリン系の抗生物質など)、輸血歴(過去3ヶ月以内)を確認することも大事です。
直接クームス試験が陽性になった時、厳密に言いますと抗IgGクームス血清との反応が陽性になった場合には、可能であれば、DT解離(血球に付いているIgG抗体をはがす)を実施して解離液中に赤血球と特異的に反応する免疫抗体が無いかを確認しておきましょう。
特に3ヶ月以内に輸血歴がある場合は、最近受けた輸血により不規則抗体を産生しはじめ、輸血した血球と反応している可能性がありますので要注意です。

最終的に赤血球製剤の輸血で一番大事なことは、患者血清中に不規則抗体(同種抗体)が存在しないことです。

また、輸血を実施した場合、輸血による副作用が起きなかったか?溶血所見(LD、AST、T-Bilなどの上昇)がないか?輸血効果(Hbの上昇など)があったのか?などを必ず確認しておきましょう!
輸血効果の目安ですが患者さんの状態(出血傾向など)や体格(循環血液量)によっても変わりますが、大体 MAP1単位の輸血で翌日のHb値は約0.5g/dl上昇します。MAP2単位ならばHb値は約1.0g/dl上昇します。

先日他院2施設から直接間接クームス強陽性(どちらも4+)症例について輸血検査精査方法の問い合わせがありました。
どちらもAIHA疑いの患者さんで、精査をしても血清中の抗体も解離液中の抗体も特異性がなく、輸血を実施することになりました。
1症例は輸血効果が有り貧血は改善されましたが、もう1症例は輸血しても輸血効果が余り得られず、すぐに輸血前のHb値になってしまったとのことでした。

参考ページ

自己対照陽性時の検査の進め方、輸血副作用の確認

AIHA患者へのについて