フクシアの交配
hybridizing fuchsias
交配の魅力
新たな品種を、自分で作り出せたらどんなにかすばらしいことでしょう。
もちろんそれは容易ではありません。
だからこそチャレンジしたい人や、試しにやってみたい人のためにこのページを作ってみました。
交配の条件
交配を試みてまず気付いたのは、フクシアは開花すれば必ず交配できるわけではないことです。
気温が低いうちでないとうまく行かない品種、多くの花粉を提供してくれる品種、秋にしか花粉を提供してくれない品種、花粉自体がとても少ない品種など、フクシアの性質はまちまちです。
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思いつく条件をあげてみます。
- 気温に注意する。
Edwin Goulding による FUCHSIAS The Complete Guide 1) は、「交配時の理想的な気温は18〜26℃である」 としています。
また、「気温が低すぎると花粉管の伸長が阻害され、高すぎると花粉の寿命が短くなる」 と指摘しています。管理人の経験では気温が高くなると花粉自体ができません。
当地のような酷暑地では、春の交配は一番花から行った方が良いと思います。
- 実が成熟するまでの期間やタネまきの時期を考える。
実が熟す前に母株が枯れたり、不調で実を落とすことがあってはいけません。
採種時期まで母株の状態を保てるようなタイミングで交配してください。
実が熟すまでの期間は FUCHSIAS The Complete Guide によると「10〜12週間」ですが、あくまで目安として考えてください。秋に交配した場合、熟すまでにより時間がかかるように思います。
- 実を早採りしない。
十分に熟すまで、できれば自然に落ちるまで待ってください。
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受粉作業
受粉させるには、父株の花粉を母株の柱頭に付着させます。
花粉は、オシベの先端にある葯 (ヤク)
から出てきます。
花粉の出たオシベだけをピンセットでちぎるか、花全体を手でもぎ取り、葯を柱頭に触れさせて花粉を柱頭全体にまぶしてください。
フクシアはメシベが先に成熟して次にオシベが成熟します。
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実の成熟
右は Bornemann's Beste に止まった実です。
最初は緑色をしていますが、熟すにつれて透明感が出てきます。
ほぼ熟した実です。
実の形状や色は品種によってさまざまです。
フクシアの実は苺などと同様にベリーと呼びます。
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フクシアのタネ
右のように、フクシアのタネはミニミニサイズです (F. procumbens のタネは比較的大きい)。
私はピンセットで取り出します。
採りまきすると早く発芽します。
すぐに播種しないときは、紙袋に入れて自然乾燥させた後、湿気の入らない容器に入れて冷蔵庫の野菜室で保管しています。
タネまきの方法については、「Propagation」 -
「タネから育てる」を参考にしてください。
せっかく止まった実にも、発芽力のあるタネがほとんど入っていないことがあります。
熟したタネが少なくても、良さそうに見えたタネが発芽しなくてもがっかりしないでください。
珍しいことではありません。
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選別
育種の目的は、今までにない色や形の品種、色や形は似ていても既存の品種よりも優れた性質の品種を作ることです。
交配後の種を播いて、自分の目的にかなった苗を選別しましょう。
花付きの良い両親からでも、花をなかなか咲かせない苗が出現することがあります。
管理人はこのような苗は廃棄します。花が咲かない苗ではどうしようもありません。
また、育種家のサイトを閲覧すると、育種後数年の試験栽培を経てから発表しています。
品種の特徴が安定的に発現することを確認することが必要です。
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配合の表記方法その他
配合の表記方法には約束があります。先に母親、次に父親を書きます。
たとえば、品種A が母親 (種子親) で 品種B が父親 (花粉親) の場合は、A x B と書きます。
交配の参考書としては、Edwin Goulding による
FUCHSIAS The Complete Guide がお勧めです。参考サイトとしては、育種家の
Dave Clark 氏のサイト
2)があります。
日本語による適当な資料は残念ながら見つかりませんのでご容赦ください。
(2009年8月11日)
参考(数字をクリックするとページ内のリンク先へジャンプします):
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