雲ノ平と黒部源流の山々 その3

水晶岳付近より鷲羽岳、ワリモ岳、双六岳、三俣蓮華岳、祖父岳、黒部五郎岳(中景の鞍部は岩苔乗越 右端、雲ノ平)
◆【山行日時・天候】 2005年8月14日〜17日
□8月16日  鷲羽乗越(〜鷲羽岳〜水晶岳〜鷲羽乗越)〜三俣蓮華岳〜双六岳〜双六テント場

         曇り(ガス)時々晴れ
パタゴニア



◆【第三日(8月16日)の山行記録】
三俣山荘より見る朝の槍ヶ岳
鷲羽乗越より朝の槍ヶ岳
昨日、午後になって黒部川源流付近や夕刻にようやく槍ヶ岳が姿を見せてくれたものの、今回の山行の最大の目的である「雲ノ平の雰囲気を楽しむ」にいたっては日中にほとんど展望を得られなかったこともあり、全くとは言わないまでも当初の目的は達成できないでいた

今日になり再度、雲ノ平に足を向けることは日程的に出来ないので、ここは入山前に予定していた双六から笠ガ岳まで足を延ばすことを取りやめ、昨日歩けなかった鷲羽岳、ワリモ岳と、元来予定にはなかった水晶岳にも足を延ばすことにより遠巻きにではあるもののそこを眺め、いくらかでも雰囲気を味わうルートをとることにした

まず鷲羽乗越からそれらの山をピストン
鷲羽乗越に戻ったあと双六まで歩く

時間的に少し無理がなくもなかったが朝7時前、三俣山荘をあとにした

鷲羽岳登山路より鷲羽乗越を俯瞰 6時45分
三俣山荘をあとに、湯俣方面からの風に乗って吹き上がるイオウのほのかな匂いを嗅ぎながら鷲羽岳へジグザグ道を急登

朝は見えていた槍ヶ岳だったが(上画像)、この時すでにガスに覆われていた

それでも振り返れば双六〜丸山〜三俣蓮華岳が大きく見え、裾野には鷲羽乗越の三俣山荘やテント場に張られたテントが色鮮やかに濃い緑の山容に映える
三俣山荘を俯瞰  (稜線は丸山〜三俣蓮華岳)
右手下方に鷲羽池を見るようになると、やがて鷲羽岳山頂  7時42分着

山頂から鷲羽池の彼方に見える北鎌を従えた槍を見ることが今回の山行の第二の目的だったので、
しばらくここにとどまったもののこの想いは往路では叶いそうもなく、あえなく先を急ぐ  7時55分発
鷲羽岳〜ワリモ岳より鷲羽岳を振り返る
ワリモ岳方面より鷲羽岳を見る
ブロッケン出現 鞍部まで下ったらワリモ岳へ上り返す

ワリモ岳〜岩苔乗越分岐では見事なブロッケンに遭遇
ブロッケン出現
この頃には後方に黒部五郎岳方面の眺望も利くようになっていた

下方には昨日歩いた黒部川源流付近も望め、
昨日の鬱憤を晴らすかのような大展望を楽しみながら歩行出来るようになった
黒部五郎岳方面を見やる(あ) 右は祖父岳 右端の雪渓が黒部川源流
黒部五郎岳と祖父岳
右端の雪渓が黒部川源流
荒涼とした山稜を行く(帰路) 左、鷲羽岳 中央、ワリモ岳 祖父岳、雲ノ平への分岐を右へ取り、ワリモ岳を回り込むと荒涼とした二重山稜の道を緩やかに登る

「水晶小屋まで20分」の小さな標識を見ると
水晶小屋の建つ赤岳へは実質15分ほど
9時10分着

ここからは東に見える岩のゴロゴロした野口五郎岳が大きく北の眼下には黒部湖が碧く見える
ワリモ岳〜赤岳間は荒涼とした二重山稜
水晶小屋の「おしるこ」で腹ごしらえしたら水晶岳(黒岳)へ

お花畑や岩稜をしばらく歩くと水晶岳山頂に到着
9時50分

下方の黒部湖はよく見えるものの
赤牛岳後方に見えるはずの立山、剱方面はガスの中

展望を楽しんだら、
これから赤牛から読売新道を経て奥黒部ヒュッテを往復するという青年と別れ、こちらは水晶小屋へ戻る
10時05分発
水晶小屋で「おしるこ」で腹ごしらえ
「おしるこ」で腹ごしらえ
水晶岳山頂より赤牛岳方面を北望 水晶岳山頂 後方は野口五郎岳稜線
北に赤牛岳と遥か下方に碧く輝く黒部湖が見える 東には野口五郎岳
10時30分着
水晶小屋まで戻り少し休んだら復路を急ぐ
10時35分発

前方に黒部五郎岳の大きなカールや祖父岳の真ん丸い山頂部から雲ノ平にかけてのたおやかな稜線を見ながらの歩行に、昨日の悪天の印象は何処へやら

ルート変更したことも幸いしたし、さらに水晶岳まで足を延ばした甲斐があった

祖父岳、雲ノ平分岐付近まで戻ると
うしろに薬師岳が岩苔小谷の奥にでーんと居座る

天気がいいと
「この先が高天原か・・・」
次回のお楽しみ
岩苔小谷と薬師岳
岩苔小谷の奥に大きな薬師岳が居座る
この分岐でルートに二つの選択肢

ひとつは鷲羽岳から槍ヶ岳を見ることをあきらめ、昨日踏めなかった祖父岳山頂に立ち岩苔乗越まで戻ったのち黒部川源流を歩き、昨日のルートと渡渉地点で合流、鷲羽乗越へ上り返す

もうひとつは、もちろん鷲羽岳や稜線上から槍ヶ岳が見えるのを期待して歩いてきた往路を引き返す

概ね天気は回復したものの標高の高い部分、特に槍、穂高連峰等についてはガスに覆われ、朝とあまり状況は変わっていない様子

遅くとも13時頃には三俣山荘を双六に向け出発しないといけない時間的な問題と、黒部川のルートをとると足を向けた時点で鷲羽岳から槍ヶ岳を見ることが出来なくなってしまうことから、ホンの少し悩んだものの今山行の第二の目的をミスミス自ら拒否することは出来ず、後者のルートで鷲羽乗越へ戻ることとした  11時00分
祖父岳と雲ノ平 奥は北ノ俣岳〜太郎兵衛平稜線 ワリモ岳〜鷲羽岳より水晶岳と薬師岳
祖父岳と雲ノ平 奥は北ノ俣岳〜太郎兵衛平稜線 ワリモ岳〜鷲羽岳より水晶岳と薬師岳

この位置の縦走路からの展望はぐるりと見えているので、何の文句の付けようもない

問題は鷲羽岳から槍が見えるかどうかだが・・・

鷲羽岳直下の急坂を上り切ると、そこには・・・、

槍は見えなかった―  11時40分着

結局、「カメラが故障したことで写真に収めることができなかったここからの光景を写真に収める」という、25年来の想いを果たすことが出来ないまま鷲羽岳を下山せざるを得なかった  11時45分発

鷲羽池 鷲羽岳南面より黒部五郎岳 下方は黒部川 右に見える登山路が昨日歩いた祖父岳巻き道
鷲羽池と硫黄尾根下部 黒部五郎岳と北ノ俣岳
下方は黒部川、右の登山路は昨日下って来た祖父岳・巻き道
それでも下りだすと鷲羽池や硫黄尾根は何とか姿を見せてくれ、かつて見た光景を少しばかり想い起こさせてくれた

三俣山荘テン場より鷲羽岳、ワリモ岳、水晶岳(右より) 12時20分  三俣山荘着
何とか許容範囲内の時間に鷲羽乗越に戻ってこれた

急いで昼食を摂ったら、もうひと歩き

肉眼でも確認できるほど近くに見える双六小屋の鞍部だが、そこに到達するには実際には3時間は必要だ
13時10分発
三俣山荘テン場より今日歩いてきた鷲羽岳、ワリモ岳、水晶岳を望む
テント場を通り抜け黒部五郎岳への巻き道を右へ分けるとハイマツを縫った登山路となる

しばらく歩くと三俣峠
13時50分着
13時50分発

双六岳・巻き道を今度は左へ分けると三俣蓮華岳への最後の登り

お花畑を左手に見ながら歩くと南北に長い富山、岐阜、長野・三国境の三俣蓮華岳山頂  14時15分着
三俣蓮華岳山頂と鷲羽岳、ワリモ岳、水晶岳
三俣蓮華岳山頂にて岐阜県側より富山県側を撮影
たおやかな丸山〜双六稜線をのんびり歩く 三国境の景観を楽しんだらこれまでの富山、長野県境に代わり岐阜、長野県境となった双六岳稜線を歩く
14時30分発

左手遠く時折ガスの中に姿を見せる槍の穂先を見ながら、たおやかに延びる稜線をのんびり歩く

雪渓の脇を歩く際には涼しげな風が肌に気持ちよい

中道を左へ分けると双六岳へ向け今山行中、最後と言っても過言でない登り
双六岳と双六南峰
双六岳山頂は双六小屋から散歩がてら出向いてきたと思しき人たちで賑やかだ  15時45分着

ここでも槍〜穂高連峰は見えそうにないので早々に双六小屋目指し下る  15時50分

双六岳特有の景観を見せる稜線を歩き、ガレ場の急坂を下ると中道と、すぐ先では巻き道と出合う

もうしばらく潅木帯の急坂を下ると双六小屋前の広場に降り立った  16時30分

予定より少し遅れたものの何とか双六小屋にたどり着けてひと安心
双六岳中腹より見る祖父岳、水晶、鷲羽の奥黒部の山々
双六岳中腹より祖父岳、水晶岳、鷲羽岳と鷲羽乗越を望む
双六テント場の our tent 小屋でテン場の受付を済ませたら、最終日の三日目にしてようやくテントの出番となった

昨日の三俣山荘ではかなりの混雑ぶりで、それなりに賑やかだったが、今日はテントを張れたお陰で狭いながらも二人でゆっくり眠ることが出来た

明日はもう最終日、下山の日だ

早々に就寝
中ほどのオレンヂ色のテントが our tent
後に見えるのは双六小屋(夏期診療所)

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