昨日からの雨により薬師沢小屋のすぐ下を流れる薬師沢、黒部川の轟々とした流れは、昨日にも増して大きな音を立てていた
雨は今朝になっても降り続き、まだまだ止みそうな気配はない
今日は好天なら薬師沢小屋から雲ノ平に上がり祖父岳、岩苔乗越経由しワリモ岳、鷲羽岳のピークを踏んだあと三俣山荘の建つ鷲羽乗越までの行程の予定だったが、この雨模様の天候では眺望は期待できず、稜線部を見上げても雲が低く垂れ込め展望も期待薄
薬師沢小屋主人・坂本さんの
「荒天時は鷲羽岳稜線は風がきつく歩きにくいので黒部源流廻りの方がいいでしょう」
との助言どおり、祖父岳・巻き道ルートで一度、黒部川源流部に下りそこを渡渉、再度上り返して鷲羽乗越を目指すことにした
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7時00分
まずは薬師沢小屋をあとに目の前を流れる黒部川に架かるつり橋を右岸へと渡る |
薬師沢出合に建つ薬師沢小屋 |
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鉄ハシゴを降りたら高巻きして慎重に難所をこなす
(黒部川をへつるルートは昨夜の大雨でひざ上まで冠水、通行不能だった)
ザックが大きかったこともあり(あ)のものと共にザックを先に下ろし、空荷で慎重に難所を下る
すぐ先にある高天原への大東新道分岐を右へ取る
7時20分 |
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正面が薬師沢、左右の流れが黒部川本流 |
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沢と化した登山路を雲ノ平へと急登
足元が悪いので滑らぬよう注意が必要だ
(下りで利用の場合はなおさら) |
雲ノ平へ向け慎重に登る |
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約2時間奮闘すると見上げるほどに見えていた稜線がようやく前方に見えるようになり、針葉樹林帯の木道を歩くようになると間もなくアラスカ庭園のベンチに到着
9時20分着
9時40分発 |
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アラスカ庭園 |
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木道を緩やかに歩くと奥日本庭園
終始雨が降ったり止んだりなので展望のないことが残念でならない
相変わらず雨は降り続いていたが、ついこんな言葉が口をついて出た
「母さんも何の苦もなくここにこれたら喜ぶやろな〜」
もちろん、(あ)の返事は
「そうやなぁ〜」 |
奥日本庭園 |
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ここはそれほど素晴らしいところだった
アルプス庭園の祖母岳は割愛し、
雲ノ平山荘方面へ左折
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雨中ではこの付近がもっとも雲ノ平らしい雰囲気だった |
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10時10分
雲ノ平山荘に到着
この頃が降りはもっともひどかった
あまりにひどいので昼食を摂りがてら、正午頃まで休む
出発しようとしたちょうどその頃、祖父岳方面から二十数名の団体が到着した
瞬く間に玄関の土間は踏み場もないほどになってしまったが、辛うじて入れ違いのようにしてここをあとにできたので混雑に巻き込まれなくて済んだ(フーっ・・・)
11時50分発 |
雲ノ平山荘にて |
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雲ノ平はどこも水浸し
これだけの高所の台地にもかかわらず水流の多さ、激しさにはびっくりさせられるが歩くにあたっては木道が整備されているので全く問題なし |
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ギリシャ庭園は大洪水 |
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ウサギギク |
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チングルマとイワギキョウ |
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スイス庭園も、眼前に見えるはずの水晶岳を想像するにとどまりアルプス庭園同様、パス
雲ノ平テント場内を横切り、しばらく上ると祖父岳分岐
12時40分
天候回復は期待できそうにないので、今朝予定変更したとおり山頂へは向かわず直進、巻き道を歩く
12時45分発 |
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祖父岳巻き道・第1雪田 |
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お花畑の広がる日本庭園を過ぎると、ともすれば自分たちの置かれている状況が解らなくなってしまいそうな場所に出くわした
よくよく冷静になって考えると、それはガスの中に霞んで見える雪田(第2雪田)だった
この付近では、植物の根から大量の水が露岩の上に湧き出ていた |
大量の水がしたたり落ちる |
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黒部川に向け急坂を下るようになると今日初めて少しガスが切れてきた
左上方から下方には黒部川源流部が岩苔乗越から流れ出す様子が見えるようになり、正面上方には想像以上に高い位置に鷲羽岳山頂部がかすかに見えるようになる
黒部川はそれなりに増水していたもののフィックス・ロープのお陰で辛うじて難なく渡れた(今朝の薬師沢小屋前の黒部川の高巻き道に比べれば問題なく渡渉できた)
14時10分着
14時25分発 |
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黒部川の渡渉地点 |
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黒部川源流地標の広場を過ぎるとお花畑を左右に見ながら鷲羽乗越へ向け最後の登り
傾斜が緩むとテント場に出た
山荘はハイマツを縫って左へすぐ
15時00分着 |
黒部川流域にはあちらこちらにお花畑がある |
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今日はここでテン泊予定だったが、止まぬ雨とあまりのずぶ濡れさに急遽小屋泊に変更
余計な出費となったが、そんな中でも食事は自炊としたことで少なからずも荷物の軽量化と金銭的な節約に貢献出来たことは助かった
日の入り前には雨が上がり北鎌〜槍〜樅沢岳がくっきりと姿を現せた
三年ぶりに見る槍は想像以上に大きく、他の山とは比較にならないほどの威厳を持って眼前に鎮座していた
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三俣山荘前より見る北鎌尾根と槍ヶ岳 |
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薬師沢小屋前の黒部川右岸の高巻き、雲ノ平への沢登り状態に近い急な登り、黒部川源流部の渡渉、いずれも増水した上の雨中ながら無事歩き通せて何よりだった |