◆【山行日時】 2005年3月27日 晴れのち高曇り
◆【コース・タイム】
野外活動センター手前・T字路駐車地点=40分=登山口=105分=三室山山頂
=60分=大通中江林道・大通峠=60分=駐車地点
◆【正味歩行時間+滑走時間】 4時間25分

◆【詳細】
昨秋、三室山を訪れた際、そこの様子が一変していたことに手放しで喜べないことはそのページでも書いたが、一方で展望が利くようになったことにより北方や西方の展望がことのほか良くなり、近いうちにここから見える尾根にトレースを残したいと思わせるきっかけとなったのも事実だった。
例年なら既に足を踏み入れることは不可能な時期とも思われるが、暖冬傾向との予報に反しいつになく積雪の多い今年をいいことに、三室山〜大通峠にトレースを残すべく自宅を出た。
ところが、登山口である青少年野活センターが近づくにつれ心配事がふつふつと沸いてきた。『るり寺』を過ぎ『道の駅』を過ぎても辺りの山には白いものは一切確認できない。
「思惑通り歩けるだろうか・・・?」
こんなことも思いながらも野活センター手前、T字路で林道方面の雪の状態を確認。
積雪量もほどほどで、除雪もされていなかったのでこちらから下山できることを確信し、予定通りのルートを取ることにする。
野活センターに荷物を置き、T字路に戻ったら装備を再確認。先週の氷ノ山山行で車中に忘れたことにより、とんでもなくひどい目に遭った”日焼け止めクリーム”をたっぷり塗ったら軽荷で少し歩く。
野活センターで再度、身支度を整えたら歩き出す。
ここではほとんど積雪は見られなかたものの、林道を歩き出すとすぐに雪が現れたのでシール歩行に切り替える。
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林道より熊岩方面を見上げる |
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植林帯を行く |
しばらく歩くと貯水槽のある登山口。
雪が切れ気味だが、つながっている箇所を選び登高する。
無雪期は沢筋を行くが今は植林の尾根筋を行く。
次第に植林帯から自然林帯を登高するようになるとともに傾斜は急になるので斜登高を繰り返し高度を稼ぐ。
先行者の足跡は沢筋を直登したからか既に見えなくなっていたが、シール登高のこちらは基本的には夏道を追う尾根筋ルートで登高する。自然林帯から再度、植林帯を登るようになると見覚えのある少し開けた箇所に出た。
『山頂まで40分』地点のようだ。
ここからはスキーからスノーシューに履き替え植林帯を直登。
露岩も現れだし、ようやく先行者の踏み跡を見るようになるとロックガーデン。
ここは左手から巻き、間もなく樹林帯を抜けると熊岩付近の巨大雪庇が出迎えてくれた。
挨拶程度の雪庇は左から巻き、ブナ林帯を緩やかに登る。
ここでは、わざわざ雪庇の上を通過した沢山の踏み跡があったが、あえてそんな危険は冒さず無難なルートを取った。
後方の展望はすこぶる良いが、それ以上に左前方に見えてきたこれから滑る尾根が眼前に見え出したことに、つい気持ちははやるが、その気持ちを抑えつつ慎重に登る。
『パラグライダー・滑走場』の雪庇は遠目に巻き主稜線に出れば山頂は目の前。
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山頂の雪庇 |
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三室山山頂より南望 |
山頂に着けば巨大な雪庇と存分な積雪、もちろん兵庫の主峰・氷ノ山が出迎えてくれる。
西には東山が大きく、手前にくらますや左手には沖ノ山や天児屋山の県境の山々。奥には那岐連山。
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氷ノ山へと続く県境の山々 |
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三室山山頂より東山、くらます |
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風当たりがきついばかりなので、短く休んだら西に延びる尾根に滑り込む。
もちろん方角はコンパスでしっかり確認することが必要だが、山頂西方には赤テープもあるので、これに従い滑り込めば特に好天時にはルートを見失うことはないだろう。
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三室山西方より遠くに沖ノ山と県境尾根上の山々を望む |
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氷ノ山 |
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ブナ古木と後山稜線 |
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三室山西方より氷ノ山を望む |
快適な尾根上を短く滑ったら広い尾根を行く。
シュプールはもちろん踏み跡も確認できないので独り占め。
思ったほど滑走を楽しむことは出来ないが、右手遠方に広がる扇ノ山〜氷ノ山は新鮮な景色なので飽きることはない。
さすがに時期が時期だけにササが顔を出しているので足をとられないよう慎重に滑る。
1,145先で遠く扇ノ山方面や梢越しに東山を見ながらブレイク。
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ブレイク・ポイントより扇ノ山〜青ヶ丸〜仏の尾遠望 |
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三ノ丸遠望 |
その後、快適に歩き1,132ピーク先でほぼ直角に左折したら、すぐそこの尾根に邪魔されて見えなくなっていた三ノ丸方面が右手遠くに再度、見えるようになる。左手には三室山と今、滑って来た尾根もみえる。(表題画像)
名残の展望を楽しみながら歩く。
1,111から短く滑ったらひょっこり峠の切り通しに出た。
しばらく休んだらあとは林道を下るのみ。
悪雪にスキーの滑りはよくないが上りよりはましと、のんびり下る。
途中、沢の水でのどを潤し、さらに林道を滑ると駐車地点の野活センター手前・T字路に出た。
山頂までに二人とすれ違ったが、それ以降は林道で出遭った”チャレンジャーな二人”と”野生のシカ”一頭以外には出会わなかった静かな山旅だった。

※ 先週の連休の三ノ丸テン泊山行の際、兵庫一とも思える大展望を提供してくれた落折山のことを、神戸・Sさんに話していたところ、この日、雪の消えないうちにと我々のたどったのと同じルートでそこに出向かれたらしい。
三室山からでも積雪充分の落折山山頂は容易に確認できたが、時を同じくしてそれぞれの山頂に単独で滞在していたことを思うと、なんだか不思議な気持ちにさせられた。
そのSさんから当日の落折山からの様子が届いたので貼っておきます。
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落折山より三室山 |
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落折山より氷ノ山 |
◆【後記】
大通中江林道でチャレンジャーな二人に出遭った。
林道をしばらく下り、とあるカーブミラーのあるカーブを左へ滑ると(具体的な地点は上記GPS軌跡参照)目の前遠くに何やらこちらに向かってくる物体。
てっきり除雪作業の車輌かと思ったが、よく見ると一般車両のようだった。
すっごいワイド・タイヤにチェーンで武装した車輌は我が愛車と同じ(型式違い)ランクル・70。
「やはりこのオーナーは物好きが多いのかな〜!?」
少し複雑な気持ち。
お互い近付き合い、話すと、朝7時頃に野活センターを発ってきたらしい。
ここまでの距離を考えると、どんなスピードでここまで来たのだろう。
わだちを見れば苦闘の跡がありありだが、それにしてもよくここまで来たものだ。
さらには、彼らはあわよくば鳥取まで抜けるつもりでここまでたどり着いたらしいが、いくらなんでも
「それは無理でしょう。」
と伝え別れた。
後日の連絡によると、遭遇地点より100メートルほど上った地点で引き返したらしいが、彼らはさらにとんでもないルートでも70を駆使しているようだ。
さすがは70。こんな乗られ方をされるも、きっと本望なのかもしれない・・・?!
◆【ワン・ポイント・アドバイス】
三室山から西に延びる尾根上の当ルート、所々、赤テープもあるが当てにせずコンパス確認しながら滑るのがベスト。
山頂からの展望はは云うに及ばず素晴らしい。
尾根上からの風景もこの時期ならではのものなので一見の価値はあるが、滑りが目的で入るには山頂までのアルバイトが・・・。
雪の締まったこの時期なら歩きでも入れなくはないが、林道歩きが長くなる。
林道は概ね1メートル前後の積雪。一度、短く板を脱いだ箇所あり。
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