<馬糞での土作り>
土作り(2)で紹介させて頂いたように土作りは色んな方法があり、記載していませんが、中には耕耘だけで何もしない無肥料の栽培まであったように記憶しています。そのような事から「土作り」は非常に奥が深いというのが実感です。一番理想的な「土作り」は、生まれ育った野菜の故郷の環境土または、自然でミネラル豊富な山の腐葉土に近づける事ではないかな〜って思っています。しかし、あくまでも手短に人間が手を掛けることには変わりがないので同じ様な土にはちょっと無理な感じもします。ところで今回紹介する馬糞での土作りは、試行・実験的な面もあり全面積でこのやり方をしている訳ではありません。たまたま知り合いから、おがくず入りの馬糞堆肥が手に入り「これはいいぞ!やって見よう」と言うのがきっかけです。土作りに対してのやり方は稲ワラや野菜くずを用いた物、緑肥となる物を用いた物、EMやぼかしなどを使った物、等、色々なやり方があるようです。追々勉強し、追記していきたいと思います。
土作りは土を肥やすために行うのでミミズや微生物が繁殖しやすい、ゆっくりと分解する有機質の物を使います。小生は馬糞堆肥が手元にありますのでこれを使います。ところが馬糞に関してはこのごろ畜産農家が少なくなってきたのでしょうか?なかなか資料が入手出来ませんでしたが・・・ようやく手にすることが出来ました。ただし、これらは飼料や副資材などの条件によって異なる可能性がありますので参考として見て頂ければと思います。
以下の資料(表1〜4)は、千葉県農林水産部畜産課発行の「畜種別堆肥の特徴」から引用させていただきました。詳しくは千葉県のホームページを見て頂ければと思います。
牛ふん堆肥の製品の特徴 | 水分 (%) |
有機物 (%) |
窒素 (%) |
C/N 比 |
りん酸 (%) |
加里 (%) |
石灰 (%) |
苦土 (%) |
pH (1:10) |
EC (mS/cm) |
分析 点数 |
主な堆肥材料と 製造工程 |
ふん主体(水分50%以上) | 61.0 | 26.2 | 1.06 | 13.2 | 1.02 | 1.40 | 1.62 | 0.61 | 8.8 | 3.2 | 38(12) | 乳牛ふん・発酵再堆積 |
ふん主体(水分50%未満) | 35.9 | 42.4 | 1.72 | 12.9 | 1.75 | 2.95 | 2.81 | 1.12 | 9.1 | 5.8 | 68(30) | 乳牛ふん・ハウス乾燥 |
ふん+副資材 | 49.1 | 33.7 | 1.02 | 17.3 | 1.24 | 1.55 | 1.55 | 0.63 | 8.3 | 3.4 | 37(29,28) | 肉牛ふん |
注1)有機物は強熱減量として測定.
注2)C/N比は強熱減量の1/2を炭素量として計算.
注3)分析点数のカッコ内数字はpHおよびECの分析点数.
豚ぷん堆肥の製品の特徴 | 水分 (%) |
有機物 (%) |
窒素 (%) |
C/N 比 |
りん酸 (%) |
加里 (%) |
石灰 (%) |
苦土 (%) |
pH (1:10) |
EC (mS/cm) |
分析 点数 |
ふん主体 | 31.1 | 48.9 | 3.0 | 8.4 | 5.3 | 2.3 | 5.4 | 1.8 | 8.5 | 5.3 | 36(28,26) |
ふん+副資材 | 47.9 | 35.1 | 1.4 | 13.1 | 2.8 | 1.6 | 3.2 | 1.0 | 8.3 | 4.4 | 18(16,15) |
注)表1と同じ。ただし、ふん+副資材の有機物、石灰、苦土の分析点数は17点。
鶏ふん堆肥の製品の特徴 | 水分 (%) |
有機物 (%) |
窒素 (%) |
C/N 比 |
りん酸 (%) |
加里 (%) |
石灰 (%) |
苦土 (%) |
pH (1:10) |
EC (mS/cm) |
分析 点数 |
ふん主体 | 17.6 | 39.2 | 2.5 | 7.9 | 6.6 | 3.6 | 16.6 | 1.4 | 8.9 | 7.2 | 39(32,32) |
ブロイラー乾燥ふん | 17.4 | 71.3 | 4.6 | 7.8 | 3.3 | 2.3 | 2.9 | 0.7 | 8.3 | 4.6 | 5( 5, 5) |
注)表1と同じ。
馬ふん堆肥の製品の特徴 | 水分 (%) |
有機物 (%) |
窒素 (%) |
C/N 比 |
りん酸 (%) |
加里 (%) |
石灰 (%) |
苦土 (%) |
pH (1:10) |
EC (mS/cm) |
分析 点数 |
馬ふん堆肥 | 60.7 | 11.2 | 0.6 | 20.4 | 0.6 | 0.6 | 0.8 | 0.3 | 8.2 | 1.3 | 19(16, 14) |
注)表1と同じ。
これらの表から馬糞堆肥は、C/N比が高く、養分が低いので土作りに適した資材と思われます。
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1.さて、手元に搬入されてもまだまだ発酵している様子で、中の方をかき混ぜると湯気が立ち上っていました。この状態でしばらく寝かせておきます。発酵が足らなければ米ぬか等を入れてビニールシート等で覆ってやれば良いと聞きます。道路の縁一杯まであった馬糞の高さが段々と低くなってくるので発酵が進んでいる様子が分かります。またそれにつれてアンモニアまたは酸味の様な嫌臭は段々と薄れ、無臭の状態になって来ます。また、触っても汚くはありません。(なかには馬糞堆肥に籾殻、藁、肥料、菌類を混合して土作りをされている方もおられるようです) |
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2.「土作り」はこの寒い農閑期に行います。あらかじめ畑の土を耕運しておき、その上に一輪車で馬糞堆肥を運んで行きます。馬糞の量については敷物の種類や飼料、処理方式、含水量などにより成分量が異なるのでしょうか?量についてかなり広範囲に渡っており一意的に決めにくそうです。小生は同じ物を過去から実際に使っている人の意見を聞きながら畝全体に軽く広がる程度で毎年の作物の生育状態を見ながら少しずつ進めています。(厳密には土壌分析・試料試験を行い、それに基づき堆肥施用量を考慮するのが正当なやり方かと思います) |
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3.レーキで畝となる部分に均一となるように馬糞をならして行き、完熟を進める為にしばらくの間、土の上で馬糞を寝かせておきます。 |
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4.ここから再度、耕耘します。まだまだ混ざり合わないので、さらに耕耘して土とよく馴染ませます。(土と有機物とで腐植部分を作り、団粒構造を促進していく為に行います。また、耕耘作業は土が乾燥しているときよりやや湿った状態の方が土と有機物の接触や微生物の繁殖が良いと思われます。) |
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5.この状態で秋から始めた土作りの作業を春の植え付け時期まで何回かに分けて耕耘作業を繰り返します。ここまで来ますと耕耘作業が嘘の様に軽くなり物理的改良が成されたことが実感出来ます。後は作物に応じた肥料を加えて栽培に備えます。これらの畝は2005年のサツマイモ、オクラ、キュウリ、ホウレン草、ナス、トマト、ピーマンを育てた畝となりました。 |
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6.馬糞堆肥も1年程寝かしておくと、かなり良くなって来たように思えます。また馬糞の山をスコップで少し掘るとミミズがいつのまにか大量に繁殖していました。今年もこれを使って土つくりを始めています。 |
<野菜くずでの土作り>
野菜を収穫した後はどうしても葉っぱや根っこ等が残ってしまいます。害虫の卵などが付いた野菜くずや伝染病などの病気で枯れてしまった野菜くずをそのまま土に混ぜ込むと具合が悪いので処分しなければいけませんが、それ以外の野菜くずはゴミではなく立派な堆肥として使えますので利用します。堆肥化するのに小生はまだやったことはありませんが、コンポストなどを使って、そこに野菜くずや生ゴミを入れて堆肥づくりをするのも良いかも知れません。少し脱線しましたが、これらを畑に鋤込み、微生物やミミズの助けを借りて土を肥やして行きます。
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1.野菜くずでの土作りも馬糞堆肥での土作りと同じ冬場に行います。まず、野菜の残査を入れるために畝の中央に溝を掘ります。 |
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2.冬場に収穫しているハクサイ、キャベツ、ブロッコリなどの野菜の残査を剪定バサミで適当な大きさに切断した後、先ほど作った畝の溝の中入れて行きます。 |
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3.精米所や無人精米所で容易に手に入りやすく、豊富な栄養成分が入った米ぬかをあらかじめ用意しておき、野菜の残査にふりかけます。米ぬかは微生物による分解促進も兼ねています。 |
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4.その後、土を被せて終了です。非常に簡単な作業です。 |
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5.2ヶ月も要らないと思いますが、野菜くずを入れていた畝を掘ってみると野菜くずの硬い部分や筋を除いて綺麗に跡形もなく分解しています。 |
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6.これは根っこの硬い部分で分解まで時間が掛かると思います。 |
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7.ミミズ君も活躍していたようで、春からの野菜たちの生長が楽しみです。 |