<土のバロメータであるミミズを生息させる>

道具も用意出来たし、栽培時期も解れば次は栽培する土の問題が出てきます。よく言われるのにミミズが嫌がる土はだめだと言われます。確かにミミズはぐねぐねしていますし、あまり気持ちの良い生き物のように思えませんが、実はミミズは2つの優れた点を持っています。1つは、有機質を栄養にしながらミネラルを探し出し、それを運んで来てくれる生き物です。2つ目は、土の中を動き回ることによりミミズのトンネルが出来ます。そのトンネルは酸素の通り穴となり植物などの毛根が伸びる働きを作り出します。また、そこにはミミズのネバネバ液によって微生物も存在してきます。その微生物は分泌液を出し、再びミネラルを生み出します。このことにより自然の循環作用を作りだしてくれる大事な生き物として考えられます。そのため土も元気で野菜たちも大きく育ってきます。

mimizu

ところでミミズって10〜20度位が成育適温ですので夏は地表10cm位、冬は40〜60cm位に潜っています。そのため耕運しにくい深く堅い層も壊してくれます。根張りの悪い場合はミミズ君の力でどうにかしてくれそうですね。

(雑学);ミミズの頭ってわかります?ミミズは1箇所だけ白い環状があって(環節、環帯と呼ぶ)、この白い環節がある方が頭です。またミミズって雌雄同体の生き物なので一匹 では卵を産む事が出来ません。そのため最低2匹のミミズが必要だそうです。


また、ミミズは堆肥などの腐熟度(有機物の分解程度)の簡易評価にも使われます。ミミズは未熟な未分解有機物に含まれているフェノール類、アンモニアなどのガスを嫌がりますのでこの行動を元に判定するやり方です。入れたとたんに逃げたり、嫌がったりまた、1日経ったら色が悪くなったり動きが悪い或いは死滅するなどは完熟に至っていない等です。ただ、水分が過剰気味の堆肥や、もともとの生育環境とよく似ている場合は注意が必要です。このように捕まえたミミズを放ってみて、その様子を観察するのも良いかも知れませんね。

<雑草でもある程度の土壌酸度がわかる >

野菜づくりには土の酸度も問題になってきます。多くの野菜たちは弱酸性から中性の土壌でよく育つ事がわかっています。さて、毎日の様に生えてくる雑草、草刈り作業も年中を通しての大変な菜園作業のひとつです。ところで小生もわからなかったと言うかアジサイの花の色をより鮮やかなピンク色にするか青色にするかは、土のpHを変える事によって得られますよね(青色のアジサイは酸性の土、ピンク色はアルカリ性の土)。畑に生える雑草も好みのpH(土の酸度)があるようです。これも他のHPから学んだ事なんですが、

・酸性土壌は、
スギナ、クローバ、ヨモギ、スミレ、オオバコ、の雑草
・アルカリ性土壌は、
ナズナ、はこべ、の雑草

が育つと言ったものです。また、スギナは酸性土が大好きなんですが、枯死したときは自らの多量に生み出したカルシウムで土を中性にする優れものらしいです。(日本の土壌は雨が多く酸性雨の為、ほとんどが酸性の土壌になっています。)

sugina

小生の畑でも一部スギナが生えている畝がありました。スギナは酸性土壌を好むので今は石灰を用いて抑制していますが、スギナには地下茎があり、根深く張っているので根元を潰す事や地下養分が無くなる対策を取らなければ根絶出来ないでしょうね。


<土質と野菜について>

小生の畑のような粘質土もあれば砂土の畑もあります。そのため、一般的に紹介されている畑の土質に応じた野菜を列挙してみました。

・粘質土
肥沃ですが、排水や通気性が良くありません。その改善策として粗大有機物を多く施します。
カボチャ、レタス、キュウリ、トマトなど
・・・>小生は、荒めの有機物で土の隙間を取る事と解釈しています。
・砂壌土
砂土と壌土(粘土含量が0〜15%で砂含量が40〜65%)の中間位の性質で野菜の生育も良い。
キャベツ、トマト、ニンジン、ネギなど
・砂土
排水が良く、地温も高まり易いのですが、肥料持ちが悪いです。その改善策として有機物を多く施します。
インゲン、エダマメ、コカブ、サツマイモ、トウモロコシ、トマト、ネギなど
・・・>小生は、肥料が流れやすいからだと解釈しています。

従って土質だけの特性をまとめると、下記のようになります。

◆土質の特性◆
土質 透水性 通気性 水分・養分保持性 粘着性
砂土 高い 低い 低い
壌土
粘質土 低い 高い 高い

<良い土とは>

さて、本題に入り、一般的に野菜作りに適した土壌とは、どう言った条件のものなのか、列挙してみましょう。

・水はけ(排水性)や水持ち(保水性)が良いこと。
・よくこなれた肥料分(有機物)が含んでいる事と肥料持ち(保肥性)が良いこと。
・柔らかい土(適度な重さ)で通気性が良いこと。
・弱酸性から中性の酸度を持つこと(土の適正酸度)。
・清潔な土であること。

これらを見ると相反する事が出てきますよね。例えば、水はけが良いと言うことはどんどん流れてしまうので水持ちが悪いですよね。これは小生も矛盾しましたが土の団粒構造と言うのがこれらに効くのです。お弁当のご飯が普通に言われる細粒(単粒)構造で、おにぎりにしたときが団粒構造となります。(別に土団子を畑に作りなさいよ・・ではないので念のため。)これは通気性、肥料分とも関わりますが、有機物の堆肥、わら、もみがら、腐葉土、ピートモス(酸度調整済みの物)等を土壌に施し、微生物によって分解させ、よく耕す事により出来る構造です。そうすることにより大きな隙間の割合が多くなり、個々の団粒構造により含水性や肥料の保持性、通気性が良くなるのです。また、良く耕しているので土も適度な重さを持ち、軟らかくなります。土の酸度については、もともと日本の土壌は酸性になっている所が多いため、弱酸性や中性に戻すために石灰(苦土石灰や消石灰等)を施します。野菜によっては石灰を多く吸収する物もあるし、肥料によっては酸性の物もあります。また、雨や灌水によって石灰が流れ出す場合もあるため、適度な矯正のため石灰を追加施用します。この石灰ですが、その効果は酸性の中和以外に有機物の分解促進、土壌粒子の団粒化、微生物の繁殖の効果がありますが、連続して施していると有機物の分解や消耗が激しくなって逆に土が固く締まってしまうので石灰を散布して荒起こしした1〜2W後に完熟堆肥を施して、よく混ぜておくことも忘れないようにしておきます。アルカリ性になってしまうとなかなか元の土壌に戻すのは難しく、窒素、りん、カリの3要素以外に必要な微量要素(鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛など)の欠乏や濃度障害を起こしますので野菜たちにはよくありませんので注意が必要です。清潔な土とは、あまり説明が要らないと思いますが、病害虫が混ざった土と言うのは生育不良や病気の発生原因となることを意味します。それでは土の種類と酸度、通気性、保水性、保肥性について表にしてみましょう。これはあくまでも参考ですのでお間違えの無いようにしてください。

◆用土の種類と特性◆
用土の種類 pH酸度(7が中性で、それ以下は酸性、それ以上はアルカリ性です) 通気性 保水性 保肥性
真砂土(山砂) 5.5〜6.5
田土 5.5〜6.5 ×
腐葉土 5.5〜6.5
ピートモス 3.5〜4.5
バーク堆肥 7.0〜7.5 ×

<土の酸性度と適応野菜>

それじゃ土の酸性度とそれに見合うような野菜を見てみましょう。酸度のどの辺位までかと言われるとちょっと辛いものがありますが、普通一般的に言われている事を抜書きしてみました。これより、栽培するにあたり土の酸性に弱い野菜はあらかじめ石灰などで矯正しておく必要があります。

◆土の酸性度と適応野菜◆
土の酸性度 野菜名
強い ジャガイモ、サツマイモ、イチゴ
やや強い キャベツ、ブロッコリー、小松菜、ダイコン、ニンジン、トウモロコシ、カボチャ
やや弱い キュウリ、トマト、ナス、ピーマン、枝豆、ソラマメ、ハクサイ、たまねぎ、落花生
弱い エンドウ、ほうれん草

<土壌酸度の矯正>

土の酸性度と適応野菜にも書かせて頂いたように野菜たちにはそれぞれ好みの酸度があります。そのため、栽培前にあらかじめご自分の土壌はどのようになっているのかを調べておく必要があります。その調べた結果をもとに酸度調整を始めます。なかには矯正が必要ない土壌かも知れません。それを闇雲に矯正するのはどうでしょう〜?(簡易的な酸度測定には酸度計やpH指示薬を用いたやり方等があります。)

@土壌が酸性の場合、酸性に弱い野菜のために石灰を用いますが、石灰は土壌をアルカリ性に変えるだけでなく、カルシウムなる養分補給も行います。そのため石灰は土壌の改良資材でもあるし、肥料とも言えます。この酸性土壌の矯正に用いられる石灰の施用量は土壌の種類や緩衝能力、腐植含量(肥料も含む)などによって異なりますので原則としては、石灰の使用量に対する酸度値なる土壌の緩衝曲線を求めてから決めるようです。手元の資料では1回の施用量は100グラム/1平方メートル以下のようですが、石灰の種類によっても施用量が異なりますのであくまでも参考値とします。特に生石灰や消石灰はアルカリ性が強いので使用には注意が必要です。

◆石灰質資材の種類と特徴◆
石灰質資材の種類 アルカリ分 特徴
生石灰(酸化カルシウム) 80%以上 アルカリ成分が高く中和反応が強い。水をかけると激しく発熱するので取り扱いに注意を要する。 強アルカリ性の資材です。速効性
消石灰(水酸化カルシウム) 60%以上 生石灰に水を加えて水酸化した物。水に溶けにくいが水に溶けると強アルカリ性になります。 また空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムに変化するので保存に注意する。速効性
炭カル(炭酸カルシウム) 50%以上 反応が緩やかで使いやすい。一般的な石灰資材です。空気に触れても変化せずに安定している。緩効性
貝化石 35%以上 貝化石を粉砕した資材で成分は炭酸カルシウムとほぼ同じ。粒径によって緩効性が異なる。
*表中:石灰質資材のアルカリ分とは、アルカリ性の強さを純粋な酸化カルシウムを100とした場合の比較値になります。

しかし、これら石灰だけの施用では相対的に苦土欠乏を招くので、時には苦土成分を含む苦土石灰やケイカル(ケイ酸カリ肥)、ヨウリン(溶性リン肥)や苦土質肥料の施用も考えておく事が必要なようです。また、これ以外に特殊肥料として貝殻粉末などの有機石灰もあり、微量要素等の供給が見込まれます。小生は(炭酸)苦土石灰や有機石灰が使い易いのではないかと思っています。

A土壌がアルカリ性の場合、石灰の施用は出来ないので硫安などの生理的酸性肥料を施用したり、過リン酸石灰を用いてpHを下げるようにするそうです。(過リン酸石灰は生理的中性肥料だと思っていましたが、アルカリ性土壌では生理的酸性肥料として働くようです)それ以外に硫黄華や硫酸があるようですが、硫酸は劇薬で耕耘機などに錆びが出たりして取り扱いが難しそうな気がします。ピートモスなどの酸性土の投入も考えられるのですが・・・色々と調べて見ましたが酸性土壌に比べて資料は少ないようです。


TOP 表紙へ戻る