6日目(2002.12.28 Sat.)


 本日のスケジュール
ザルツブルク観光


行き先マップ

 12月28日、6日目。
 今日は、ザルツブルク観光の日。この旅初めての移動のない日だ。時間には余裕があったのと、旅の疲れが出てきてか、ルームサービスのノックの音で目が覚めた。


朝食。かなり盛りだくさんだ。テーブルもデカイので部屋のドアを通るために両端が跳ね上がるように設計されている。オーストリアへ入っても、朝食にはソーセージがついている。まあ、おいしいのでいいのだが。

 8:00過ぎにホテルを出て、旧市街行きのバスに乗るためにザルツブルク中央駅に向かった。駅前はバスターミナルになっており、バスには路面電車のようなパンタグラフのようなものがついている。電動なのだろうか?

 ザルツブルクを1日観光するには、『ザルツブルクカード』がとても便利だ。これは、1日、2日、3日のカードがあって、その間ならザルツブルク内のほとんどの博物館などに入ることができる。また、市内のバスも乗り放題になるので、主要交通機関がバスのこの町には、非常に有効なカードなのだ。
 私たちは1日券をほしかったので、駅のツーリストインフォメーションに行った。しかし、8:45に開くとのことで少し待つことに。

 ここで余談だが、駅には、鉄道インフォメーション(駅入口付近)とツーリストインフォメーション(鉄道ホーム付近)があり、観光関係はツーリストの方に行かなければならない。注意しよう。

 無事ザルツブルクカードも手に入れ、バスに乗り観光に出かけた。駅から10分もかからないで『ミラベルプラッツ(ミラベル広場)』に着いた。ここからすぐのミラベル庭園は、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台で、主人公のマリアがドレミの歌を歌いながら踊っていた庭園だ。
 
ミラベル庭園。石像がたくさんある。これらはギリシア神話がモチーフになっているらしい。後ろに見えるのはミラベル宮殿で、ザルツブルクを治めていた大司教が、1600年ぐらいに愛人のために建てた宮殿である。宮殿内部は見学できないが、愛人のために宮殿を建てるというのは、なんともすごい話だ。
 
ミラベル庭園。冬なので花はまったくなかった。夏なら赤い花がこの土の上にきれいに並ぶのだろう。ちょっと残念だが、芝生はとてもきれいだった。
 
ミラベル庭園の入り口から、丘の上のホーエンザルツブルク城を臨む。ここら辺は、『新市街』と呼ばれている。新と名前が付けられていても、私たちから言わせていただくと、十分古い町並みに見える。石の文化というものはなんとも歴史を感じさせられる。
 ミラベル庭園を後にして、旧市街へ行く前に1つ大事な目的があった。それは、『ホテルザッハーで、元祖ザッハートルテを食べる』ことだ。ザッハートルテは、改めて言うまでもないが、世界で最も有名なチョコレートケーキの一つで、お菓子の国オーストリアを代表するお菓子なのだ。ホテルザッハーは、ウィーンのザッハーが最も有名だと思うが、ザルツブルクのザッハーももちろん5つ星ホテルである。
正式名は『ザッハー・エステライヒッシャー・ホーフ』。ザッハートルテを買うならホテルの横側の入り口から入ると売店がある。日本への送付も可能だ。しかし、料金は倍ほどになるので、冬場なら可能な限り持って帰ったほうがたくさん買うことができる。
まだ朝早かったので、旧市街から帰るときにまた寄ることにして、偵察だけにしておいた。
 ザルツァッハ川を渡ると旧市街に入ることができるが、このあたりから川を渡るには3つの橋がある。ホテルザッハーからは『マカルト小橋』が一番近く、私たちはこの橋から渡った。

 旧市街へ入ると、今までの閑散さがウソのようにすごい人込みだった。中でも『ゲトライデ小道』は目抜き通りだ。道幅ははっきり言って狭いが、小さい店が所狭しと軒を連ねている。そのなかにひときわ大きなオーストリア国旗の垂れ下がっている家があった。

旧市街の『ゲトライデ小道』。看板もかわいい作りである。これらは鋳造の看板だそうだ。旅行のパンフレットを見ると、たいていこの道が写真に載っている。左側にひときわ大きなオーストリア国旗が垂れ下がっている。これは、モーツアルトの生家である。
 
『モーツァルトの生家』。白っぽい建物が多い町の中に、黄色い建物が目を引く。かわいらしい建物だ。中はアパートのようになっていて、モーツァルトが使っていたピアノも展示している。
モーツァルトは、1756年にここで生まれ、18年間この家で過ごしたそうである。
ザルツブルクは、町を歩いていると、ほとんどの店で『モーツァルトチョコ』が売られている。やはりザルツブルクの英雄なのだ。この国旗の大きさが、いかにこの国を代表する人物なのかを物語っている。
 ゲトライデ小道には『マクドナルド』もある。お昼も近かったので、マクドナルドでご飯を食べることにした。
 
マクドナルドの看板。ドイツでもいくつか見かけたが、その国々で違った趣があるのがおもしろい。
日本と同じようにバリューセットのようなものもあるが、日本よりやや高めの値段設定だと思う。ポテトは日本のものよりややフニャッとしていて、妙に長い。この国のジャガイモは細長いのか?それともめちゃくちゃデカイのだろうか?冷たい飲み物には、基本的に氷は入っておらず、飲み物がなみなみと注がれている。ちなみに、私はコーラを飲んだが、炭酸はほとんどないに等しい超微炭酸だった。気抜けのコーラはあまりおいしくはなかった。
  
 ゲトライデ小道を通り抜け、今度は『メンヒスベルクの丘』に上ってみたかったので、『メンヒスベルクのエレベーター』に行った。ガイドブックによると、「見つけるのがすごく難しい」と書いてあったので、ガイドブックに載っていた写真を見ながら捜し歩いた。

 写真を見ていたので、そんなにてこずることなく発見できたのだが、そのエレベーターの入り口は鉄柵で閉ざされ、中は明らかに工事中だった。『工事中』のドイツ語は読めなかったが、看板にはそう書いてあるんだろうということは、周りの雰囲気からも明らかに察することができたので、あきらめて『馬洗い池』へ向かった。
『馬洗い池』。ここも『サウンド・オブ・ミュージック』に出てくるスポットだ。ドーム状に包まれている石像はその名の通り、馬である。
 
旧市街内のメインの交通手段は、なんと馬車である。車が通るより、馬車が通る方が多いんじゃないか?と思うほど馬車が走っている。しかし、旧市街はあまり広い範囲ではないので歩いて十分回ることはできる。馬車に乗っているのはお年寄りが多かった。
 馬洗い池を過ぎ、旧市街の中心部方面へ歩いてみた。右手には祝祭劇場やフェルゼンライトシューレがあり、『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台にもなっているので中に入ってみたかったが、ガイドツアー形式になっており、時間の都合が合いそうになかったので、またの機会にすることにした。

 そのまままっすぐ進み、ザンクトペーター教会へ。この教会の墓地は、『ペータースフリートホーフ』と呼ばれていて、『サウンド・オブ・ミュージック』のラストでトラップ一家が隠れた墓地である。
『ザンクトペーター教会』。ここの墓地も映画の舞台だ。印象に残っている場面なので、どの墓の後ろに隠れていたのかを見つけたかったのだが、それらしきものはなかった。
街を歩いていると、いたるところに映画の舞台があり、名作の場面が脳裏によみがえってくる。すばらしい町だ。
 このザンクトペーター教会や、ザルツブルク大学と軒を並べて、『大聖堂』や『レジデンツ』がある。とりあえず、大聖堂へ行き、その後、レジデンツへ向かった。

 大聖堂は天井が高く、荘厳な雰囲気だった。ドーム入り口の右側の階段を上るとドーム博物館があるとガイドブックには書いてあったが、その階段がどこかはわからなかったので、そのままレジデンツへ向かった。

 レジデンツは、ミュンヘンでも訪れた『宮殿』のザルツブルク版である。こちらは、最近まで約1000年もの間ザルツブルクを治めていた歴代大司教の宮殿である。中は白が基調で、ミュンヘンで訪れたレジデンツの金ピカ装飾より落ち着いた雰囲気にまとめあげられている。

 若き日のモーツァルトもここで演奏を披露したそうである。モーツァルトの生家からここまでは、歩いて5分程度のところであるから、『ちょっとバイオリン弾いてくるわ〜』なんて言ってここへ・・・ってなことはないとは思うが。
レジデンツ『白の間』。ザルツブルクの雰囲気を伝えるかのような白さが印象的だ。奥に見えるのは陶器製のストーブである。暖房器具ひとつにも贅を凝らしている。
たいていの部屋には置時計が置いてある。それもすべて細かい細工の見るからに高価そうな置時計である。

レジデンツの入り口兼出口になっている部屋。まさに宮殿。天井画も美しかった。特にきらびやかな雰囲気はなかったが、美しい宮殿だった。
 レジデンツを出て、モーツァルト広場へ向かった。
モーツァルト広場の『モーツァルト像』。この広場はスケートリンクになっていた。広場に面して『グロッケンシュピール』という有名なカフェがある。そこの軒先には、ポテトの揚げ物の露店があって、にぎわっていた。


広場には、マグカップを持った人が大勢いた。寒いのでコーヒーでも飲んでいるのかと思い、露店で『コーヒー1つ』と頼んだら、『コーヒーはないよ』という。『じゃあ、あのマグカップは何なんだ?』と尋ねると、『ホットワインだよ』と。非常に興味深いので、ザッハートルテとホットワインを頼んだ。ホットワインは、飲むときに湯気の中のワインのにおいが鼻の中に強烈に入ってくるが、すぐに体中がポッポッと温かくなった。寒い地域の生活の知恵なのだろう。
 
体も温まったところで、丘の上の『ホーエンザルツブルク城』へ行くことにした。町中のいたるところから見えているので、ぜひとも訪れてみたいと思っていたのだ。
旧市街から見る『ホーエンザルツブルク城』。丘といっても、岩でできた崖のようなところに建っている。真っ白な白が美しい。
 
ホーエンザルツブルク城へは、ケーブルカーで上ることができる。私たちは『ザルツブルクカード』を持っていたので、ケーブルカーは片道タダで乗ることができた。往復乗るなら片道分料金を払わなければならないが、歩いて降りると無料で行けるのだ。
 ホーエンザルツブルク城に着き、早速場内へ入ることにした。この旅で何回目の城見学だろうか?考えてみると、ハイデルベルク城、ノイシュバンシュタイン城に続き3度目の城見学だった。
ホーエンザルツブルク城内。歴史博物館のような感じになっている。城の構造なども展示してあり、勉強にもなった。
現存する城塞の中では最もよく保存されている中世の城塞建築と言われている。
 
兵隊と大砲の展示。いままで、体のほとんどをカバーしている騎士の鎧ばかりを見ていたので、なんと無防備な鎧だこと・・・という印象を受けた。何年ほど前のものなのかは書かれていなかった(見当たらなかっただけかも)のだが、昔の姿をこの目で見ることができるのは、文化を知る上でもとても興味深い。
 
トロッコ。城は17世紀に完成したらしいが、こういった近代的な設備も備えていたようだ。石造りなので、たくさんの石がこのトロッコで行き来したのだろう。
 
城壁内は何重かになっていて、間の空間も意外と広い。斜めに走っている雨どいのようなものは、上の写真のトロッコの軌道である。
 ホーエンザルツブルク城内には、木のおもちゃの売店があった。木のおもちゃはオーストリアではよく見かけるが、ここにあったものは、特にかわいらしいものが多かった。思わずいくつか買ってしまった。
帰り道から見たホーエンザルツブルク城。崖に聳え立っている難攻不落の城という感じ。
 ホーエンザルツブルク城から旧市街の方へ歩いて降りていくと、途中で『ノンベルクこっち』という看板が現れる。『ノンベルク修道院』といえば、ここも『サウンド・オブ・ミュージック』のヒロインであるマリアのいた修道院として有名である。そんなに遠くないので行ってみることにした。
『ノンベルク修道院』。修道院の内部には入れないが、入り口は映画で見覚えがあった。トラップ一家の子供たちがマリアに会いに来る門だ。映画の舞台が観光地として看板で案内されることもなく、ごく普通の姿でいることは、日本人と考え方が違うと思う。
日本なら、大河ドラマの舞台になると、必ずパビリオンのようなもの建てますもんね。
 ノンベルク修道院から旧市街の町並みを見ながらザルツァッハ川に出た。川岸を散歩しながらモーツァルト小橋へ。川岸の散歩もなかなかいいもんである。少し雨っぽくなってきたが、異国の町並みを見ながら、ゆったりとした空気を感じながら散歩するのも、自由旅行の醍醐味だ。濡れて歩こう。
モーツアルト小橋。ここも映画の中でヒロインのマリアが歌を歌いながら渡る橋だ。
 雨は本降りになってきて、朝に通ったゲトライデガッセまでは行ったが、ゆっくりショッピングという雰囲気にはならなかったので、折りたたみ傘を買って一番大きな『シュターツ橋』から新市街へ戻った。

 このまま帰るかどうか迷ったが、やはり『本物のザッハーでザッハートルテを食べたい』という希望があり、雨の中、雨宿りついでにホテルザッハーへ行った。

 ザッハーのカフェは人でいっぱいだった。よく見ると、お年寄りの方が多いんじゃないかというぐらいお年寄り率が高く、おじいさんおばあさんが大きなケーキをおいしそうに食べているのである。こちらのお年よりは、『お茶にせんべい』ではないのである。文化が違う・・・

本場ザッハーのザッハートルテとウィンナーコーヒー。ザッハートルテはすごく甘いので、横にのっている山盛り生クリームと一緒に食べる。生クリームは味のない砂糖なしのクリームである。
オーストリアのカフェは、水が出てこない。コーヒーを頼むと水もついてくるのだ。それ以外は、改めて頼まなくてはならない。私たち日本人には慣れない習慣かもしれない。
 ホテルザッハーから朝に降りたバス停まではすぐだったので、ミラベル広場からバスで中央駅まで戻ることにした。バスに乗っている人を観察していると、みんなチケットを買って乗っているような雰囲気はなく、しかも降りるときも運転手さんにお金を払わずに降りたりしている。乗降口も、前乗り後乗りの区別もなく全部のドアで乗り降りができる。どういうシステムなんだろうか??最後までよくわからなかった。

 中央駅からホテルへ帰り、駅周辺にレストランがないことがわかっていたので、今日もホテル内の同じレストランで夕食にした。

オーストリア郷土料理のスープ『レーバーネーデルズッペ』。レバーの挽肉の団子が入ったスープ。コンソメスープっぽいものがベースで、かなりおいしい。
 
こちらもオーストリアの郷土料理だそうだ。名前は覚えていないが、平らなパスタにチキンとソースがかかっている。緑の野菜は、ブロッコリーだと思って食べたのだが、明らかにブロッコリーとは違う。生まれてこの方お目にかかったことのない野菜だった。
 
今日も、もう一皿は『ウィンナーシュニッツェル』。『名物にうまいもんなし』ということわざがあるが、本当においしいのだ。この旅で数々食べてきた郷土料理はうまいもんばかりだ。旅に出てよかったと思えるひと時だった。今日のワインもすごくおいしかった。
 一日鉄道の移動をしないで散策するのは、この旅初めてだったので、長い時間散策することができた。明日も一日ザルツカンマーグート方面への小旅行だ。自然の美しさを肌で感じたい。期待に胸が膨らむ。

 7日目へ続く・・・
TOP