5日目(2002.12.27 Fri.)


 本日のスケジュール
            ミュンヘン       ザルツブルク     
ミュンヘン観光  16:37 (EC84) 18:28 


行き先マップ

 12月27日、ようやく平日に戻った。

 今日は、ミュンヘンを観光し、夕方に国境を越えてオーストリアのザルツブルクへ向かう。陸地を通って国境を越えるというのは初めての体験なので、国際列車に期待が膨らむ。

 9:00少し前にホテルをチェックアウトし、いつものようにスーツケースを預け、観光へ向かった。

ミュンヘンのメインストリート、『ノイハウザー通り』。昨夜は人でいっぱいだったが、朝早いのだろうか、人はあまりいなかった。クリスマスも終わったので、装飾が撤去されていた。壁をよじ登っていた巨大サンタさんも赤いトラックの荷台に山盛り状態になっていた。

 
ノイハウザー通りを歩いていくと、マリエン広場に着く。ここはミュンヘン市街のの中心地で、ミュンヘン新市庁舎が姿を見せる。
 
ミュンヘン新市庁舎。150年ほどの歴史というが、中世の建造物を思わせるような雰囲気を感じる。新市庁舎というぐらいだから、当然旧市庁舎も隣にあるのだが、こちらのほうが古いように見える。
市庁舎の塔へ登れるとあったので、中へ入ってみたが、最後のエレベーター前に休業の看板が・・・一番下の入り口に書いてくれよと思ってしまったが、中が見れたので、まあよしとした。
中はちゃんと近代的な感じになっていて、市役所として使われているようだ。市役所勤務の公務員がうらやましい。
 市庁舎は11:00と12:00にからくり時計が動くので、それまでレジデンツへ行くことにした。

 レジデンツはバイエルン州を統治していたヴィッテルスバッハ家の居城だったところである。12〜20世紀にかけて統治していたというから驚きである。正面から見ると黄色い外壁が目に付き、レンガを組み合わせたような模様が印象的だ。
レジデンツ中庭。歴代国王の居城といっても、外から見るとベルサイユ宮殿のようなきらびやかさは感じない。しかし、中に入ると、数百年間の歴史と、権力を肌で感じることができる。
 
ヴィッテルスバッハ家とその親戚の肖像画のかかっている『先祖の画廊』。金の装飾が惜しげもなく使われている中に歴代国王などの絵が並べられている。昔、小学校の廊下に、歴代校長先生の肖像がかかっていたが、そんな庶民的な感覚では考えられない世界だ。
 
ホールの1つ1つもとても手の込んだつくりなのだ。床一つにしても、これは色違いの木を組み合わせた寄木細工でできている。天井は金で装飾され、数々の天井画が描かれている。巨大なシャンデリアがホールを照らし、貴族文化の舞台裏を見ている感じだ。
きっとここで舞踏会やオーケストラの演奏会などが開かれたのだろう。
国王の権力を垣間見ることができる。
 
出口近くの部屋。何のための部屋かはわからなかったが、ほとんどの部屋には、細部まで天井画、金装飾、床の寄木細工などで飾られている。
小さい頃、おとぎ話などで読んだ王様の物語などの世界が、本の中だけの世界ではなかったんだと感じる場所だ。
 レジデンツの栄華を堪能したら、12:00になっていた。「そういえば12:00に市庁舎のからくり時計動くんだった!」と、猛ダッシュで市庁舎へ。

 市庁舎へ到着したのは12:05。市庁舎の塔にあるからくり時計は、すでに動いていた。市庁舎前のマリエン広場は、人でいっぱいになっていて、朝の閑散さがうそのようだった。『どこからそんなに出てきたんだ?』

ミュンヘン新市庁舎のからくり時計。人形は32体あり、その一つ一つは等身大だそうだ(しかし、とても高い場所にあるので、等身大といわれてもよくわからない)。これはドイツ最大のからくり時計らしく、ミュンヘンに観光に行ったら、このからくりは必見といわれる。
 マリエン広場の周りには、いくつかの教会が建っている。中でも、一番近くの教会である『ペーター教会』に入ってみた。
 
ペーター教会。中は白い色がとてもきれいで、天井にはやわらかいタッチの天井画が描かれている。シンプルな中に重厚さがあって、イギリス、フランスといくつかの教会を見たが、やはり『ドイツらしい』という印象だ。
キリスト教教会は、単に教会というだけでなく、芸術作品のようで、こう言っては怒られるかもしれないが、美術館にいるような気分になる。
  
 お昼も過ぎて、とりあえずお腹がすいていたので、あまり時間をかけないためにもカフェに入ることにした。レストランは結構あるのだが、カフェは店の2階というパターンが多い。結局、ノイハウザー通りをうろうろして、靴屋の2階のカフェで軽く昼食を取ることにした。
本日の昼食は、ハムサンド、トマトチーズサンドとクリームチーズケーキ、コーヒー。最初、店のシステムがわからなくて、前で注文している人の動きをじっと観察していたのだが、よくわからなかったので店の人に聞きながら注文した。
サンドイッチは、日本とは違い固いパンに挟んである。ショーケースの中のサンドイッチを選ぶと、店員さんがワッフルを焼くように2枚の鉄板でパンを押しつぶすようにして焼き目をつけて運んでくれた。
 
 今度は、ノイエピナコテークという美術館へ行きたかったので、歩いて行くことにした。地図で見るとそんなに遠くはないような気がしたが、マリエン広場から歩くとかなり遠かった。
ノイエピナコテークへ行く道の途中、オベリスクがあった。
パリにも大きなオベリスクがあるが、ミュンヘンのオベリスクは、それより少し小ぶりだった。塔を中心にロータリーになっているのはどこも同じようだ。
ヨーロッパ的なものの1つだろう。
 ノイエピナコテークは、ゴッホの『ひまわり』があるので行きたかったのである。ヨーロッパは芸術大国であるから、名作が近くにあるなら、時間の許す限り見てみたいという気持ちがあった。実際行ってみると、ゴッホの『ひまわり』は最後の部屋にあり、そこに行き着くまでに見たことのある作品は1枚もなかった。
 しかし、ひまわりはちゃんと見ることができた。美術の教科書で見るのとは違い、生き生きとした筆の跡がわかった。しかし、結局のところ美術を専攻しているわけではなく、評論するほどの見る目はないので、『ほ〜・・・』と感心する程度のものである。

 ミュンヘン観光も、もう1日あればもっとたくさん見るところはあったのだが、全体のプランを立てた時点でミュンヘンの観光を短くしてしまったので、ホテルへ戻り、スーツケースを受け取り、ミュンヘン中央駅に向かった。
国際列車EC84。ミュンヘン〜ザルツブルク間は1等車のチケットを持っていたので、大きなシートで広々空間に座ることができた。どのくらい広いかというと、大きいサイズのスーツケースを足元に置いてもちゃんと座れるぐらいシート間が広いのだ。日本のグリーン車並みだろうか?
 18:28、定刻にザルツブルクに到着。ザルツブルクの駅では、入国審査があるのかと、降りてからあたりをうろうろしてみたのだが、そんな気配はまったくなかったのでそのまま駅を出た。
 
 駅を出ると、あまり人がいなく殺風景で、少し怖い雰囲気を感じた。今日のホテルは『ルネッサンス』。オーストリアでは何軒かあるチェーンのようだ。駅のすぐそばにあり、5分ほどで着くことができるとても便利なところだった。
ルネッサンス室内。とても落ち着いた雰囲気で、しかも広い。調度品も品がいい。3連泊なので、心地よいホテルでよかった。
 19:00ぐらいになり、お腹がすいていたので晩御飯を食べるところを探すことにした。駅の近くでちょっとしたレストラン風のところがあるのを見ていたので、そこへ向かったのだが、店のシステムがよくわからなく、英語で尋ねてみたのだが、自分の英語が全然通じていないというハプニング発生!
 妻は全然しゃべらないし、私の英語も通じない。向こうも「何を言ってるのかわかんないよ」という顔で、3人で困り顔になってしまった。
 自分の英語がほとんど通じないということは、この旅や前回の『一人旅編』でもあまりなかったのだが、これほど英語に困ったのは少しショックだった。店の店員も多少冷たいところもあったのだろうが、誰も助け舟を出してくれないところに、少しへこんだ。

とりあえずビールは頼めた。しかし、ビールを飲んでいる間に食事を頼もうとしていると、ズカズカと料理人さんが出てきて、『今日はもうキッチン閉めたから、もう何もできないぞ!』と、威圧的に言ってきた。こちらも聞き直そうとしたら、『No!Finished!』と言い捨てて、またズカズカと去っていった。結局、ここで頼めたのはビール1杯だけで、すきっ腹にビールという、最悪の食事になってしまった。
 腹が立ったので、他のレストランを探したのだが、駅の周辺にはレストランが見当たらなかった。結局ホテルへ戻ってホテル内のレストランへ行った。

 ホテル内のレストランは、気のいいカッコイイお兄さんとスキンヘッドのシブめのお兄さんがウエイターをしていて、どちらも気さくな人そうだった。やっとおいしい食事にありつけそうな予感がする。とりあえず、オーストリアの郷土料理を聞きながら夕食の注文を考えた。

オーストリアに来たんだから、名物料理『ウィンナーシュニッツェル』は食べてみたかった。
ウィンナーシュニッツェルは、豚をたたいて延ばしたものに衣をつけて揚げたもので、外はサクサク、中はジューシーで、シンプルな味付けだが本当においしかった。


これも郷土料理だという。チキンの薄く切ったものとサラダが組み合わさっている。盛り合わせもおしゃれだ(と思う)。
 オーストリアの郷土料理もおいしかった。ここザルツブルクは、ドイツとの国境の町であるにもかかわらず、今まで過ごしてきたドイツとの文化の違いがうかがえた。それは、ソーセージがない!
 これは大きな違いだ〜。

 オーストリアは、ワインで有名らしい。オーストリアで生産されるワインの95%は国内で消費されるため、日本ではめったにお目にかかることはない。というか、私はオーストリアワインなるものを見たことがなかった。しかし、オーストリアのワインは本当においしい。ちなみに、生産されるワインのほとんどは白ワインだそうだ。
 この日以降、ドイツでビールを昼夜問わず飲んでいたように、昼夜問わずワインを飲む生活にシフトしたのであった。

 明日は一日ザルツブルク市内観光。世界文化遺産の旧市街、モーツアルトの生家、日本で予習した『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台など、見どころいっぱいの旧市街地区を堪能したい。

 では、6日目へつづく・・・

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