4日目(2002.12.26 Thu.)


 本日のスケジュール
                     フュッセン           ミュンヘン     
ノイシュバンシュタイン城観光  15:05 (RE21257) 17:07 


行き先マップ

 12月26日、日本ではもうクリスマスも終わり、年末に向けて忙しいときだろう。しかし、ドイツでは、まだクリスマスの祝日が続いている。
 
 今日は、この旅前半のハイライト、ノイシュバンシュタイン城の観光日だ。朝早くから、城のチケットセンターに並ばないでいいように、日本で10:25入場の予約を入れておいた。
 前日に、ホテルのフロントでバスの時間を調べてもらい、8:00過ぎにフュッセン駅前発のバスに乗ることにしておいた。
 チェックアウトを済ませ、いつものことながら、フロントにスーツケースを預けてフュッセン駅へ。ホテルから駅までは歩いて5分ほどの距離で、メインストリートを歩いているはずなのだが、、8:00過ぎでもまるで人気はなかった。


フュッセン駅。ノイシュバンシュタイン城への玄関口となる駅だが、ぱっと見た感じでは駅とはわからない。あれほど有名な城がすぐ近くにあるというのに、バスを待っている人は、私たち2人と、沖縄からきたという日本人のおじさん1人だけだった。たいていの人は、バスツアーでいくのだろう。でも、現地の人のように、バス停でバスを待っているのもなかなかいいもんである。

 
ノイシュバンシュタイン城へ行くには、『ホーエンシュバンガウ』行きのバスに乗り、10分程度『ロマンチック街道』の最終地点の風景を楽しむ。バス代は、往復2人で5.60ユーロである。
 
ホーエンシュバンガウの村。ここら辺はバイエルン州に位置し、ドイツとオーストリアの国境の町でもある。この州は、壁画を描く伝統があるらしく、この家にも”ノイシュバンシュタイン城の建設者”ルートヴィヒ2世の肖像画が描かれていた。
 バスの運転手のおやじは、かなり陽気な人だった。50ユーロ札を出しても嫌がることなく崩してくれた。その間ずっと鼻歌を歌いつづけていた。さらに、ホーエンシュバンガウに着くまで、そのハイテンションぶりは持続しつづけたのである。
ロマンチック街道からノイシュバンシュタイン城を臨む。薄暗い空の中、何もない山の中腹に白亜の城が聳え立つ。幻想的だ。中世から時間が止まっているかのような雰囲気に浸れる瞬間。
 ホーエンシュバンガウに着き、バスを降りるとすぐにチケットセンターがあった。予約は入れているものの、本物の入場券と引き換えなければならない。まだ時間が早すぎてチケットセンターが開いていなかったので、そこらへんを散策することにした。
麓からホーエンシュバンガウ城を臨む。この城は、バイエルン王ルートヴィヒ2世が幼年期を過ごした城である。内気なルートヴィヒ2世は、ワーグナーのオペラの世界にのめりこみ、城から見える山におとぎの城を建てようと思ったらしい。この城だけでもすばらしいが、2つの城が見えるのは、贅沢なことだ。
 ホーエンシュバンガウ城を横目に、さらに奥へ歩くとアルプ湖が見えてくる。あまり寒くなかったので、前回この地を訪れたときより雪が少なかった。しかし、ドイツアルプスの風景は、変わらず美しいままで出迎えてくれた。
アルプ湖からドイツアルプスを臨む。あの山の向こうはオーストリアである。昔の人たちは、この山々を越えて移動していたのだろう。大陸の広さを感じた。
 チケットセンターで本物のチケットに引き換え、いよいよ城へ向かうことにした。前回ここを訪れたときは、ガイドさんがついていたので、自分で城へ向かうのは初めてだった。ホーエンシュバンガウの村からノイシュバンシュタイン城までは山道で、冬季は凍結の恐れがあるのでバスは走っていない。移動手段としては、徒歩か馬車ということになるのだが、馬車は徒歩と同じぐらいの速さで、しかも、登り4ユーロ、下り2ユーロがかかる。帰りはみんな徒歩で降りるのでディスカウントプライスなのだろうか?
 結局、馬車は人数が集まらないと出発しないので、徒歩で登ることにした。

 夏季はバスも運行するため、城へ向かう途中に『マリエン橋』に寄ることができ、美しい角度から見ることができる(詳しくは『さすらいの一人旅編』にて)のだが、冬季はバス道が閉鎖されるため、マリエン橋へ行くことはできない。妻は「どうしても行きたい」と柵を乗り越えようとしたが、違う国でマナー違反をするのはやはりまずいのであきらめることにした。

ノイシュバンシュタイン城への山道からホーエンシュバンガウの麓を見下ろすと、遠くにフォルッゲン湖が見える。この湖のほとりには、ミュージカル劇場があって、そこではルートヴィヒ2世のミュージカルだけを専門的に上演するらしい。地平線に湖が広がるスケールの大きさは、日本では体験できないだろう。木がなかったらもっときれいに見えただろう。
 さらに山道を登っていくこと数分、天に向かって力強く聳え立つ塔が見えてくる。『また来ちゃったよ、ノイシュバンシュタイン城』という気持ちだ。
山道から見たノイシュバンシュタイン城。白い城はやはりきれいだ。
 
同じく、下から見たノイシュバンシュタイン城。

前から見ると、塔のひとつが改修工事中だった。きれいな塔が四角い鉄柵で囲まれているのはなんとも興ざめなのだが、石造りのこの美しい城を維持するためには必要なことなのだろう。
 上の写真の赤い部分が正門なのだが、その城門をくぐると美しい城の中庭に入ることができる。バイエルン王の城らしく、ここにも壁画が描かれていた。

 中庭へ入ると、半分以上は日本人ツアー客だった。ちなみに、昨日ローテンブルクでうろついているときに見た顔がたくさんいた。ということは、ツアーと同じプランを立ててしまったということなんだろうか?
ノイシュバンシュタイン城中庭からの眺め。塔が感動的に美しく見える。写真では伝わらないのが非常に惜しい。ぜひ一度行ってみてほしいところの1つだ。
 
ノイシュバンシュタイン城から見たホーエンシュバンガウ城。右がシュヴァンゼー湖、左がアルプ湖、その間にかすかに見えるのがホーエンシュバンガウ城。この城は、右のシュヴァンゼー湖をとりまくように横たわる竜の王冠のように見えるらしい。
ノイシュバンシュタイン城からは3つの湖が見える。山の中腹に建設した理由がよくわかった。
 10:25、入城時間。入り口はゲート式になっていて、ガイドツアー形式になっている。ドイツ語、英語、日本語など、いろんな言語のツアーがあるようだが、時間を急いでいるわけではなかったので日本語にしておいたのである。英語なら10ほど前に入ることができたのだが、一番よくわかる言語が安心だろう。さあ、場内へ。

 城内は完全にカメラ撮影禁止である。見たかったら自分の目で見に行ってくださいということであるが、ちょっとパンフレットを使って中のご案内をしよう。でも、絶対に自分で見るほうが感動するので、どんな感じかというぐらいにとどめてほしい。
 まず、騎士の間などを通り、4階へ。そこには、ノイシュバンシュタイン城を代表する空間、『玉座の広間』がある。
『王座の広間』。大理石階段の上には玉座ができるはずであった。しかし、建設途中にして、バイエルン国王ルートヴィヒ2世は謎の死を遂げてしまう。その直後、すべての建設は未完成のまま終えられてしまった。玉座も1度たりとも置かれたことはなく、ルートヴィヒ2世も玉座に座ることはなくこの世を去ったのである。このきらびやかな光景が、悲劇の舞台にもなっているとは考えにくい。
 玉座の広間からさらにらせん階段を上り、最上階5階へ。そこには『歌人の広間』がある。
『歌人の広間』。国王ルートヴィヒ2世は、どうしてもこの『歌人の広間』がほしく、この広間を中心にしてノイシュバンシュタイン城を建てさせたそうである。音響もすばらしく、何度かコンサートも開かれたそうである。
 見学コースは、計352段の階段があるという。とにかくらせん階段が多く、目が回るほどだ。しかし、完成部分は全体の1/3程度で、残りの2/3は未完成だというからとんでもない話である。
ノイシュバンシュタイン城の完成予想図。国王が権力を持ちつづけ、財政も豊かだったら、現在私たちも、もっと大きな城を見ることができたのだろう。しかし、未完成というところに、より想像をかき立てられ、魅力を感じるのも事実である。
 ノイシュバンシュタイン城を出て、もと来た山道を下りホーエンシュバンガウへ戻った。昼時は、朝には考えられなかったような人込みだった。レストランもどこも満員で昼飯を食べるのもたいへんそうだったので、おみやげを買ってフュッセンへ戻ることにした。

 フュッセンへ戻り、昼食を食べるところを探すことにした。メインストリートを通り抜け、結局繁華街から少し外れたブロイハウスへ入った。

まずは『とりあえず生2つ!』である。ブロイハウスは自家醸造をしているビアホールで、毎日少しずつ違う味のビールが楽しめる。この日もおいしいビールに出会えた。ドイツ最高である。


この日の昼食は、南ドイツの郷土料理『ケーゼシュペッツレ』。パスタにチーズをかけて焼いたものである。これで2人分というので、あまり多くはないような気がしたのだが、めちゃくちゃお腹がいっぱいになる。サラダも、日本にはない植物がのっていて、「あ〜外国に来ているんだな〜」という食生活だ。
 昼食後、裏の丘を散歩しながら『ホーエス城』へ行った。ホーエス城は営業しているようだったが、1人も人の気配がなかった。『入り口こっち』の看板はあったが、誰もいないのでビビッて入らなかった。
ホーエス城中庭。出窓のように見えるのは、全部だまし絵である。
 フュッセンの市内観光(といってもブラブラ歩いていただけだが)も楽しみ、ホテルへ戻りバッグを受け取ってフュッセンを出ることにした。
私たちの宿泊した『ホテルヒルシュ』。フュッセンでも最も有名なホテルのひとつだ。
 再びフュッセン駅へ。今日はクリスマスで休日なのだが、駅の窓口はあいていた。がらんとした駅舎内に数名の旅行者がいるだけだった。ミュンヘンまでは1本で行けるので、窓口での毎回の乗り継ぎチェックはしないですんだ。
15:05発の列車。ドイツの駅のホームは、地面から階段を1段か2段ぐらい上ったぐらいの高さである。めちゃくちゃ低いのだ。当然、車内に入るには3段ぐらいのステップを重いスーツケースを引きずり上げるようにして乗らなければならない。大きい荷物を持つと、乗り降りするのも一苦労なのだ。
 一路ミュンヘンへ。
世界の車窓から。窓から見える風景は、限りなく広がる草原と、遥か彼方のドイツアルプスだけ。大陸の広さ、時間の流れの穏やかさを感じた。
 列車に揺られること2時間、ミュンヘンに到着。ここでの宿は、『エデン・ヴォルフ』。駅から道路をはさんで向かいのホテルで、歩いて1分で着くのでとても便利なホテルだった。
かなり大きなシティホテルだった。部屋数もかなり多く、最初に通された部屋がタバコ臭かったので、別の部屋に替えてもらった。室内は暖かい色で落ち着いた雰囲気なのだが、ベッドと椅子の中国を思わせるような色は、なぜかドイツらしさを感じなかった。
 晩御飯を食べるために、早速街へ繰り出した。この日は、どうしても食べたいものがあったので、行きたい店は決まっていた。その店は、『ツム・シュペックマイヤー』というビアホールである。ミュンヘン名物の白ソーセージの発祥の店として知られている。ミュンヘンの白ソーセージは本当においしいといううわさを聞きつけ、せっかくなら発祥の地で食べてみようということになったのである。

 ツム・シュペックマイヤーは、ミュンヘンの中心地『マリエン広場』のすぐ近くにある。駅からマリエン広場までは、ノイハウザー通りという広く明るいメインストリートを歩いて行く事ができる。地下鉄でも行けるが、街歩きは、ウィンドーショッピングを楽しみながら歩くのが好きなので、人通りの多いノイハウザー通りを歩き、マリエン広場へと向かった。
ツム・シュペックマイヤーのビール。毎日ビールを飲んでいるが、やはり旅先でのビールはうまい。しかも、ドイツビールといえば、ミュンヘン!そのミュンヘンのビアホール!うまくないわけがない!最高である。
 
まずはパン。ここではくるくる巻いたパンが出てきた。『魔女の宅急便』に出てくるようなパンなのである。
テーブルは、赤く彩られて、クリスマスムードが残っていた。
 待ちに待った白ソーセージが出てきた。
ミュンヘン名物白ソーセージ。こんなソーセージは見たことがなかった。アツアツのお湯の中にプリプリとしたソーセージが入っている。やわらかさは耳たぶぐらいだろうか。すごく弾力感があって、それでいてやわらかい。生涯食べたソーセージの中で一番おいしいと断言できる味だった。
ソーセージに感動したのは初めてだった。
 
デザートのアイスクリーム、ホットラズベリーがけ。ローテンブルクでもアイスクリームのラズベリーがけを食べたが、ここでも味わうことができた。こちらのバニラアイスクリームは、ちゃんとバニラビーンズが見えている。最初から手作りなんだろうな〜と感心してしまう。
 ドイツ最後の夜のおいしい夕食を楽しみ、ホテルへ帰ることにした。店を出ると、マリエン広場のライトアップと市庁舎が美しく見えた。
ミュンヘン市庁舎。夜のミュンヘンもきれいだ。ミュンヘンは、ドイツの中で最も治安のいい町といわれている。といって、夜にうろつきまわってもいいということはないと思うのだが、やはりフランスなどと比べて、治安のよさはドイツの誇れるところではないかと思う。
 ホテルへ戻る帰り道にミュンヘン中央駅を通るので、駅でおやつを買うことにした。ミュンヘン中央駅は国際特急もたくさん乗り入れているドイツの玄関口の駅だ。ファーストフードや売店もかなり多く、夜に町へ行って食材を買うより、明日の朝食やおやつ程度なら駅の中で十分なのである。当然コンビニなどはないので、駅をうまく利用できると便利である。
この日買ったのは、ポテトチップス、ファンタオレンジ、ガス入り水。ガス入りの水は飲んでみたかっただけの話である。やっぱりうまいものではなかった。ポテトチップスは日本のものより塩辛く、ファンタオレンジも日本の味とは明らかに違う。やはりその国で受ける味というものがあるのだろう。
 5日目へつづく・・・
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