2日目(2002.12.24 Tue.)


 本日のスケジュール
 ハイデルベルク       バートフリードリッヒシャル-ヤークストフェルド      ヴュルツブルク
 12:58   (RE3837) 13:47             13:58 (RE19156) 15:19

 ヴュルツブルク          シュイナッハ              ローテンブルク
 15:41   (RB20023) 16:23 16:37 (RB70147) 16:51


行き先マップ

 12月24日、本日はクリスマスイブである。午前中はハイデルベルク城は開いているという情報を日本で聞いていたので、午前中はハイデルベルクの旧市街の観光をすることにした。

 8:00、チェックアウトを済ませ、バッグをホテルに預けて観光へ。

 ホテルから旧市街までは真っ直ぐの通りで、歩いて5分ほどのところだった。昨日は、暗くなってから『地球の歩き方』の地図を頼りに、あっちへ行ったりこっちへ行ったりして、えらい遠回りをしてたどり着いたのに、明るくなって見ると、目の前だったりするのである。特に方向音痴という自覚はないのだが、少し笑ってしまった。

ハイデルベルク旧市街。旧市街はこの『ハウプト通り』がメインストリートであるが、朝早いので人はまばらだった。昨日の夜は、若い人たちで大賑わいだったのだが、それがウソのように閑散としていた。

 ハイデルベルクは、古くから学生の町として知られていて、古城街道の町としても有名である。ハイデルベルク中央駅から旧市街への入り口にあたる『ビスマルク広場』までは、市電も走っており、近代的な建物もあり、経済の中心都市でもある姿も垣間見られるが、ビスマルク広場から『ハウプト通り』を歩いて旧市街に入ると、中世の繁華街が
姿を見せる。歴史の重みをずっしりと感じる街並みである。

ハイデルベルク大学旧校舎。ハイデルベルク大学は、ドイツで最も古い大学で、1386年に創立されたそうである。学生牢も有名だが、この日は残念ながら休館。以前来た時も入れなかったので、『三度目の正直』を期待するとこにしよう。
 
旧市街のパン屋さん。こちらのパン屋さんは、宮崎アニメの『魔女の宅急便』に出てくるようなパン屋さんである。カウンターの後ろに大きなパンが並んでいて、お客さんは、籐のカゴのような、木を編んだカゴをぶら下げてやってくる。日本のように個包装はせず、カゴからフランスパンがニョキニョキ!っと出ている風景は、本当に何気ないのだが、本当に心癒される光景なのだ。


ハウス・ツム・リッター。この建物は、ハイデルベルクで一番古い市民住宅である。現在は、ホテルになっており、1階にはレストランもある。1592年に建造されたルネッサンス様式の建物らしい。きれいな色の建物が並ぶこの通りにおいて、ひときわ異色な建物である。この地は、赤色砂岩がよく採れて、この旧住宅も赤色砂岩でできていると聞いたことがある。


 ハウプト通りを抜けるとマルクト広場に出る。荘厳な聖霊教会と、広場を取り巻くかわいらしい街並みのギャップがステキである。
マルクト広場。ドイツの町には、たいてい『マルクト広場』なるものが存在する。そこには、たいてい市庁舎があって、真ん中にはモニュメントorでっかい木があるのである。この広場に立っているのは誰の像かはわからなかったが、クリスマスイブということもあってか、どでかいリボンが飾ってあった。
 マルクト広場から、今度はハイデルベルクのメインスポット『ハイデルベルク城』へ向かった。
 マルクト広場から少し奥へ入ると、ケーブルカーの『コンマルクト駅』がある。しかし、この日は、10時過ぎからの運行だったので、1時間ほど待つことになる。結局、徒歩で登ることにした。ハイデルベルク城までは徒歩で10分ほどなので、少々急な坂道だが、歩いて登るのもいいだろう。タイムスリップしたかのような石畳の坂道を一歩一歩登っていくと、中世の世界にいるような感覚に浸れるのである。

マルクト広場から見たハイデルベルク城。ドイツは古城がたくさんある国だが、いわゆる『おとぎの国』の話しに出てくるような城ではない。むしろ『ルパン三世』に出てきそうな感じである。写真では伝わらないところが惜しい。


ハイデルベルク城入り口から見たハイデルベルク旧市街とカールテオドール橋。この橋も超有名な橋である。ハイデルベルクのパンフレットを見たら、たいていこの橋が写っている。
 急な坂道は、結局誰にも会うことがなかった。そのまま場内へ入ったが、誰もいない古城は、朝とはいえ、お化け屋敷級の不気味さである。赤い岩をくりぬいたような回廊を入り、薄暗い中を進むとチケットセンターがある。昨日入国したばかりで、手持ちの現金がほとんどなかったため、トラベラーズ・チェック(以下 T/C)を崩せるかどうか聞いてみたら、今日初めての客だったらしくおつりがないとの事だったので、しぶしぶ4ユーロ(2人分)を払った。

 嫁と『今日はじめての客らしいよ』、『不気味だよな〜』なんて話しをしていたら、チケットセンターの人から、『そうなんですよ〜』と日本語が飛んできた。その女性はなんと日本人だったのである。失礼な言い方だが、ちょっとエキゾチックな顔つきをしていたので、日本人とはわからなかった。結局T/Cは崩れなかったが、楽しい経験をした。

 城内へ入ると中庭に出る。そこは日本人のツアーだらけであった。入り口は2ヶ所あり、私たちが登ってきた坂道方面と、ケーブルカーの駅方面から入ることができる。ぶらぶらと歩いている人は私たちぐらいだった。
ハイデルベルク城中庭。この城は、ここらへん一帯を治めていたプファルツ伯の居城だったらしい。中には、この城を描いた中世の絵画が所狭しと展示されている。城内はガイドツアーで回らなければいけないらしいが、いろいろなところを勝手に入って楽しんだ。

 城内にはトイレがほとんどなく、係員に「トイレはどこですか?」と英語で尋ねると、どうやらドイツ語しか話せないらしく、結局トイレがどこなのかわからず、我慢しながら回っていたのだが、中庭に小さく「トイレこっち」というような看板を発見し、ダッシュでスロープを降りて地下室らしき部屋に入っていった。するとそこは・・・

 『ワインの大樽』の部屋だった!
 ハイデルベルク城へ来たら、必見のものである。が、とりあえずトイレに行きたかったので、その後ゆっくりと見学することにした。
ワインの大樽。世界最大で、22万リットル入りである。この上にも上れるが、ちょうど私たちがそこにいたとき、人っ子一人いない状態で、誰もいない、何も聞こえない状態で、こんな空間にいることは、この上なく不気味で、背筋がひや〜!っとする感じだったので、一応上には上ったが、あまり長居はしなかった。
ちなみに、この樽の隣にも巨大な樽があり、それは約4万リットル入りなのだが、十分デカかった。
 ハイデルベルク城を堪能し、今度はもと来た坂を降りて『カールテオドール橋』へ向かった。
カールテオドール橋。橋の入り口には塔のようなものが建っている。これは18世紀に選候帝カール・テオドールによって建造されたからこの名がついているそうである。
ここから対岸へ出て、丘を上ると、そこは『哲学の道』という名がついている小道で、かのゲーテも歩き思索にふけったそうである。そこまでは行かなかったが、この橋から見る景色でも十分、『あ〜なるほどな〜』と納得できる景観である。
 ハイデルベルク市内観光を終え、ホテルへバッグを取りに帰り、電車の中で昼食を取るために、パン屋さんでサンドイッチのようなパンを買い、駅へ向かった。

 ハイデルベルク中央駅を12:58に出発した。今日の移動はローテンブルクまで、その間、全てローカル線での移動である。ハイデルベルク〜ヴュルツブルク間は、『RE(Regional Express)』と呼ばれる準急で、ヴュルツブルク〜ローテンブルク間は、『RB(Regional Bahn)』と呼ばれる各駅停車である。
 
 ドイツのローカル線は、乗ってみるとびっくりするくらい快適である。ほとんどの電車には、1等2等の区別があるのだが、2等で十分ゆったりなのである。どれくらいかと言うと、関西の方はわかるだろうが、新快速の座席ピッチを10センチぐらい広げた感じで、なんといっても、座れないことがないのである。
ドイツのRE車内。見てわかるだろうが、がらすきである。ちなみに、本日はクリスマスイブである。
車内はとにかく快適!しかも、きれい!
こんなにゆったり乗れるのは、北海道に帰ったとき以来ではないか?
 16:51、無事ローテンブルク駅に到着。ローテンブルクは、電車で行く人が少ないと思っていたが、意外とシュタイナッハ駅から日本人をよく見かけた。電車で行く際は、『ローテンブルク・オプ・デア・タウバー駅』なので注意しよう。

 駅から、いわゆる市街地までは、緩やかな坂をずっと上って『レーダー門』をくぐって入る。タクシーを使う人がほとんどで、スーツケースをゴロゴロ引っ張っていたのは私たちぐらいだったが、10分程度なので歩いても知れている。ちなみに、駅からレーダー門の間は、目を引くようなものは何もない。

 本日泊まるのは、ローテンブルクで最も有名なホテル『ホテルアイゼンフート』である。王族・皇族も利用する泣く子も黙る高級ホテルである。16世紀に建った建物で、400年の歴史があるホテルである。レセプション、廊下など、彫刻などがいたるところに置いており、歴史の深さを感じる。

ホテルアイゼンフート室内。あまり広い部屋ではないが、ベッド、シャンデリアなど、中世の面影を感じる造りである。窓からはクリスマスのライトアップがきれいに見えた。
 とりあえず、おなかがすいたので夕食を食べるところを探しに出かけた。しかし、クリスマスイブというのは、ドイツ人にとって家庭で過ごすものと決まっているらしい。民家の窓には、温かい光が漏れているのだが、町はひっそりとしている。店も、みごとなほど閉まっているのである。日本では考えられないことである。

 レストランは数軒開いていて、その中でも一番雰囲気のよさそうな店に入った。
ドイツなんだから、とりあえずビールだろう。ドイツのビールは、日本人が『生中!』といって出てくるようなジョッキではなく、スタイリッシュなグラスに入って出てくる。メニューには何ミリリットル入っているかがはっきりと表示されており、グラスにも必ず、『1/4mL』というようなラインが引かれている。「ごまかしてませんよ」という意志表示だろうか?きっちりしているもんである。
気になるお味のほうであるが、これまたうまい!ドイツのビールは、製法、原料など、法律で定められているらしく、日本のビールとは違う味がする。
 メニューは英語もあったので、なんとか理解はできた。やはりドイツなので、ソーセージは食べたい!ってことで、ソーセージ盛り合わせのクリスマスディナーを楽しんだ。
ソーセージの盛り合わせ。やはりドイツのソーセージはおいしい。プリプリしていて、全体的にも大きめで、十分メインディッシュになるのである。日本では、ソーセージというと、弁当のおかずorビールのつまみ程度の扱いであるが、メインで出てくるとソーセージも本望だろう。


ドイツといえば、ポテトだろう。マッシュポテトもこのサイズで出てくるのである。これだけでおなかいっぱいになる量であるが、周りのドイツ人はいとも簡単に平らげるのである。おじさん、おばさんは恰幅のいい人をたくさん見るが、こんな量を食べ、ビールもたくさん飲んでということなら、そうなるだろうという印象を持った。
しかし、何を食べてもうまいので、ついつい私たちもドイツ人並みに食べまくったのであった。


デザートの『アイスクリーム ホットラズベリーがけ』。これがまた最高にうまかった。バニラアイスクリームなのだが、ちゃんとバニラビーンズが入っているし、あつあつのラズベリーソースも甘酸っぱくてアイスクリームとよく合っていた。
 ウェイターの兄ちゃんは、とても親日家のようで、私たちが頼み過ぎだろうと思うほどいっぱい食べたので、『オナカイッパイ』とか、『ドウイタシマシテ』とか、片言の日本語をしゃべってくれた。楽しい夕食のお礼に、日本から持っていった千代紙で鶴を折り、そのウェイターにプレゼントしてあげた。

 余談だが、海外に行くと、折り紙はかなりの威力を発揮する。鶴や兜といった日本では誰でも作れるようなものでも、興味津津で見てくれる。なかなかいい異文化コミュニケーションのアイテムだと思った。

 レストランを出て、マルクと広場へ向かった。
 マルクト広場には市庁舎の建物が2棟があり、下の写真は16世紀に建てられたルネッサンス様式の建物らしい。時計は仕掛時計になっていて、『マイスタートルンクの伝説』が仕掛になっている。しかし、実際見てみると、かなりいまいちな仕掛である。

〜マイスタートルンクの伝説〜
 1631年、三十年戦争のさなか、ローテンブルクを占領した皇帝軍の将軍が、市参事会員たちの首をはねることになった。たまたま、将軍が市のワインを勧められた時、将軍は、『この大ジョッキを一気に飲み干すものがあらば、斬首はやめよう』と言った。ヌッシュ旧市長がこれを受け、見事に飲み干し、この窮地を救った。そのジョッキはなんと、3.25リットルだったらしい。

マルクト広場と市庁舎。ちょうど食事を終えて広場にさしかかったとき、仕掛が動き出した。マイスタートルンクの仕掛だが、どこが動いているのかと思って目を凝らしたが、横を向いて口をあんぐりあけている市長の腕が上下に動いているだけの、ごく単純な仕掛だった。
まあ、それはさておき、広場の木はライトアップされており、クリスマスムードいっぱいだった。シンプルな中に温かさがあって、ステキな雰囲気である。
 あまりにきれいな街並みなので、そのままクリスマスのライトアップの中を散策してみた。クリスマスイブの夜である。一生に一度のクリスマスの過ごし方だろう。いい思い出になった。
ローテンブルク名物、『シュネーバル』、英語で「スノーボール」。小麦粉を練ったものをボール状にして揚げたものに粉砂糖やチョコレートやシナモンなどをまぶしたものである。
何度か食べたが、おいしい。
ローテンブルクへ行かれる人は、是非お試しあれ。
ちなみに、これは『白い恋人』のように、どこへ行っても売っているような名物おみやげではない。ここでしか売っていないので、是非食べてみよう。
6週間程度日保ちするので持って帰ってくることも可能だ。
 これも余談だが、今まで、『マッチ売りの少女』という物語を、架空のものとしてみていたが、ローテンブルクの街並みを歩いていると、物語の背景がすごくよくわかる。
 外は寒く、店は全部閉まっている。しかし、通りの脇の家々の窓からは、クリスマスツリーの温かい光が見え、ディナーを囲む家族の声。マッチの火で暖を取る少女の気持ちもわかる気がした。

3日目に続く・・・

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