盛野直樹ヴァイオリン教室

肩当て(肩台)について

 

肩当て(肩台)をとろうと思ったきっかけ

私はヴァイオリンを習い始めてから音大に入学するまでずっと肩当て(肩台)をつけていました。入試も終わってほっとした頃、いろんなレコードのジャケットを見る余裕が出てきました。「その当時の名ヴァイオリニストたちは誰も肩当てをつけていない」ということにふと気付きました。本当にこんな風にヴァイオリンが持てるのだろうか?それ以来ずっと肩当てなしでヴァイオリンを弾く方法を模索し続けてきました。そして今でははっきりと「肩当てをつけない方がより良い演奏ができる。」と確信を持つようになりました。

肩当て(肩台)をつけない決定的な理由

 ーそれは自分の出している「音」がちゃんと聞こえているかどうかの問題ー
ある時生徒さんの弓選びに立ち会いました。10万円台から100万円台の弓7〜8本の中から1本を選ぶ作業でした。その生徒さんはよその先生の所から移ってきたばかりで肩当てをつけていました。私も肩当てをつけたままの生徒さんの楽器で弓を弾き比べました。ところがどの弓もこの弓も出ている音や弾き心地の違いがよく分からない。そこで私は試しに肩当てをはずして弾き比べをしてみました。そうしたところ、今度は弓の特徴やヴァイオリンとの相性までがはっきり体で感じられるようになりました。無事弓選びはうまくいったのですが、この時の体験から「肩当てをつけていると自分の出している音が実は良く聞こえていないのだ」という事がよく分かりました。肩当てなしでヴァイオリンを弾くことで、自分が出している音を直接体で聞く(感じる)ことができ、広いホールでも小さめのサロンでもコンスタントに自分の演奏ができるようになるのだと思うようになりました。

肩当て(肩台)をつけないでヴァイオリンを弾くために。

肩当てをつけてヴァイオリンを弾くというのはちょうど補助輪をつけて自転車に乗るようなものです。自転車は走っているから補助輪をつけなくても安定します。ヴァイオリンも弾いているから肩当てをつけなくても楽器が安定するのです。楽器を固定するのではなく弾くのに最適な状態を保つために楽器と体の関係を常に変化させながら弾く。こういうイメージを持つ事が肩当てをつけないででヴァイオリンを弾く第一歩です。

「首の長さ」と「なで肩」の問題

まず、首の長さは楽器を持つこととなんの関係もありません。体の捻り方と、ヴァイオリンのエッジ、鎖骨、あごの関係を工夫することで大抵の問題は解決します。その工夫とは「てこの原理」「回転軸」をうまく利用することです。

次に、ヴァイオリンを肩を上げて、あごで押さえつけるようにして持っている姿をよく見ますが、これでは左手の動きを不自由にするだけでなく右手の弓の運びにも悪影響を及ぼします。
しっかりしたヴォリューム感のある美しい音で自由に音楽を表現するためには、立つ姿勢、体の重心位置、体の回転運動、呼吸、楽器の位置、楽器の角度など、全てが固定された状態ではなく、いつでも最善のバランスを保つようにコントロールされている必要があります。これがヴァイオリンを弾くための基礎テクニックであると私は考えています。

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              電話 06−7492−9418  盛野 直樹(もりの なおき)