うらさんの”本棚 ”
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2012/
9/9
パブロ・カザルス
鳥の詩
筑摩書房
2012
2/15
モーツアルト・無常ということ
 (新潮文庫)
 小林秀雄
とにかく、小林秀雄という人の文章は読みにくい。モット平易に書いてくれれば、よいのだが。ともあれ読んで見た。このなかで、これがモーツアルトだ!と身震いした箇所がある。モーツアルトの手紙の引用部分である。書き留めておく。

★ー構想は宛も本流の様に、実に鮮やかに心の中に姿を現します。然し、それが何処から来るのか私にも判らないし、私とてもこれに一指も触れることが出来ません。ー後から後から色々な構想は、対位法や様々な楽器の音色にしたがって私に迫ってくる。丁度パイを作るのに、必要なだけのかけらが要るようなものです。こうして出来上がったものは、邪魔の入らぬ限り私の魂を興奮させる。すると、それは益々大きなものになり、私は
それをいよいよ広くはっきりと展開させる。そして、それはたとえどんなに長いものであろうとも、私の頭の中で実際にほとんど完成される。私は、丁度美しい一幅の絵或いは麗しい人でも見る様に、心のうちで、一目でそれを見渡します。後になれば、無論次々にじゅんを追うて現れるのですが、想像の中では、そういうぐあいに現れず、まるで全てのものが皆一緒になって聞こえるのです。たいしたご馳走ですよ。美しい夢でも見ている様に、全ての発見や構成が、想像の中で行われるのです。−いったんこうして出来上がってしまうと、もう私は容易に忘れませぬ、ということこそ、神様が私に賜った最上の才能でしょう。だから、後で書く段にになれば、脳髄という袋の中から、今申し上げた様にして、蒐集した物を取り出してくるだけです。−
2012
1/7
「モーツアルト」再読」 ★語録 :ドボルザークが弟子に向かって、空を差しながらいったという
「諸君、モーツアルトはあの太陽なのだ!」
アインシュタイン:「・・・死とは・・・・、モーツアルトを聴けなくなることだ」
2012
1/5
「モーツアルト」再読」 ★モーツアルトの音楽は、大変簡潔で、強靭な音楽である。これは、小林秀雄があの美しいエッセー「モーツアルト」ですでに、強調していることだ。彼はそのうえ、その強さが、いかにしなやかな手つきで扱われているかも、見逃していなかった。
★モーツアルトが友人に語った言葉。
「僕がらくらくと作曲していると思ったら大変なまちがいだ。僕ほど、作曲の勉強をしたものはない。おそらく有名な作曲家で僕が繰り返し熱心に研究しなかったものの名はあげられまい」
2012
1/3
「モーツアルト」再読 リリークラウスのモーツアルトについて次の記述がある。私がクラウスについて感じ、彼女を好きになった気持ちを、そのままを明確に捕らえて、言い切っている。けだし、名文であるので以下に期す。

★リリークラウスは《原典に忠実》に演奏する。その結果、ここには実に鋭くて精緻なダイナミックをもったモーツアルトが出現する。これはまた、クラウスというピアニストの特性でもあるが、彼女のタッチはやや硬くて、線は明確だが、どちらかといえば音楽にもうるおいが欠ける傾向がある。とくに彼女のフォルテがそうである。だが、またこの人は極めて頭脳の働きが明晰で細かく、その上妥協を許さない芸術家なのだろう。・・・・・。こういうぐあいで、彼女が演奏するとき、モーツアルトの演奏は、どこをとっても、明確な日当たりと日陰の区別が生じてくる。そこには、一点のごまかしも、あいまいもない。
2011
12/30
「モーツアルト」
吉田秀和著
講談社文
ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルト(1756-1791)
★3歳でピアノを弾き始め、5歳で既にピアノの名手.。6歳で習ったことの無いバイオリンを手に持って、合奏に飛び入る。36年の短い生涯に 数百の作品を残した。それも、いつも、何か他のことをしながら、楽譜を猛烈なスピードで埋めていった稀有の天才
★P163に 興味深い記述がある。
『モーツアルトはピアノという楽器を自分の仕事部屋に具えつけるようになった最初の大作曲家であり、彼のピアノ作品はハイドンの数曲を除けばピアノのために書かれた最初の大音楽なのである。ただし、この楽器がほかの楽器を押しのけたといっても、彼の孤独の伴侶になっていたという証拠は無い。ベートーヴェンの場合には彼が心の底を打ち明ける最大の友になっていたが: A.Hutchings』 
まさに、私がおぼろげに感じていたことが、そのままズバリと表現されている。モーツアルト、ベートーベン、ブラームスにとっては、ピアノ曲が まさにその真髄なのだ。
★この本の中で、グルダのモーツアルトピアノソナタ15番について書かれている。これもまた、私がグルダについて、おぼろげに感じていたことが見事に表現されている。リリークラウスの全集とピリスの数曲を持っているが、グルダが無性に聴きたくなった。
2011
12/22
ブラームス」続き 作者のブラームス像  {秋のソナタ}
もし、ある人間の芸術を季節にたとえることが許されるならば、彼の音楽はさしずめ暗く長い冬を目前にした美しい秋の一瞬と言えないだろうか。どんなに哀しみをたたえていようと、決して春の香りを失わないのがモーツアルトだとすれば、ブラームスの音楽は、それどんなに喜びに満ちたものであっても、常に秋の翳りを帯びている。


私には、もっともっとブラームスは聴き込んでみないと分からないのだろう!
2011
12/21

ブラームス」
(新潮文庫)
カラー版作曲家の生涯)
三宅幸夫著

ブラームスはどんな作曲家なのだろう?
レコードやCDの写真で見るかぎり、鬚にくるまった熊男のような堅物親父である。およそ、メロディーとは無縁な、屁理屈親父と思ってきた。交響曲を聴いても、長ったらしく、理屈で曲を書き連ねているようで少しも好きになれなかった。しかし、世の中には”ブラームス大好き人間”がワンサといる。何かがあるに違いないと思い、この本を読むことにした。


なんと、この本に収録されているブラームスは物思いにふける、神経質そうな、細身の青年だ。まるっきり違う。興味津々と読み進んだ。

なんと、ブラームスは ピアノの名手で”天才”だったのだ!
★ブラームスは4歳のときに、自分の聴いた曲を書きとめようとし、父の演奏にも興味を示した
★6歳で父から音楽の手ほどき(主としてバイオリン)を受け、7歳でピアノを学び始め、すぐに才能を認められ、10歳のとき、父の主催する演奏会で ベートーベンの「ピアノ五重奏曲」とモーツアルトの「ピアノ四重奏曲」を弾いて、天才の片鱗をあらわした。