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4-2.継手の原理と目的
木を突き合わせて繋げれば、一番簡単な継手が出来ます。
お互いに押し合う力があれば、これは離れません。

鉄のように溶接したりする事の出来ない木は、
何もなければ木は離れます。
この『お互いに離れないように押し合う力』
木の継手には必要となります。

伝統の継手は、この押し合う力を利用するように使うことが大原則として存在します。
今、一般的に使われている金物を使った接合は、
殆どがボルトを横に使う接合になっています。
例えば、左図4-5ですが、
離れないように金物で接合してりしても、離れないだけで、引付けあっていません。
これでは木が痩せてきた時に接合には隙間が生じますし、
継手が引張られてもすぐに隙間が出来てしまいます。
隙間はガタとなって、継手の強度を落としますし、
建物自体の耐久性も落ちてくるのです。
鉄が貴重で、一般的でなかった時代の大工さんは、
(鉄(ポルトなど)が今のように使われたのは、産業革命以降の大量生産が可能となってからのことです。)
継手の内部にいかにして引合う力(ストレス)を持たすのかに悩み、苦心してきました。
この「引付けて締める」ことをいかに取り入れるのかが伝統の継手の基本にあります。
木造の継手と仕口は使うべき場所が決まっています
どこにでも使えて、圧縮にも引張りにも効くような魔法の継手は存在しません。
その中でも、重要な継手場所は桁と胴差の継手です。ここは、建物の耐久性に関わってきます。
この場所に引張りに効く継手を使わなければ、建物は長持ちしません。

私が教わった大工さんによれば、
 100年以上現存している民家などを解体・修理すると、桁や胴差は1本物が使われているそうです。
 50年以上の建物を修理に行けば、追っかけ継ぎを使っているそうです。
 20年〜30年くらいの修理に行けば、カマ継ぎに会うのだそうです。

このことからわかるのは、追っかけ継ぎが古い継手てカマが新しい継手だということではなくて
何らかの都合でカマ継ぎを採用した建物は長い年月に建物が耐えられなかったのではないか?
ということなのです。
引張りのかかる桁や胴差には継手を造らないことが一番良いのだろうけど、
材料の運搬や、建前や、予算などから継手を造る場合には、追っかけ継ぎを使うべきで
今一般に使われているカマ継ぎは2番手であることを意識しておくベきです。

  『修理から学べ』が伝統木造の基本です。
横架材の継手として使われる『アリ』『カマ』『追っかけ』を比べれば、
『アリ』『カマ』『追っかけ』の順に引張り強度が高くなります。
継手の強度とその形の関係を簡単に説明します。
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