虫をつつく
じゃれ合うふたり
このふたりの関係が、対立から協調へと、新たな段階を迎えています。
自我に目覚め、そして、周辺と関係を築いていく。子供たちは、それぞれのスピードで、そういうステップを踏みながら成長してゆきます。エリポンは、他の子よりもゆっくりとしていて、周囲に目覚め始めた時、丁度良いところに弟が居たと云うことだと思います。
勝手気ままで、みんなから迷惑がられることが多いタンタン。周りのことを配慮できないのは、この子がまだ4歳だから。個性もあるでしょうが。最近になって、自分が悪者になっている。叱られるのはそのせいだと云うことに気がつき始めている。危うい自分の立場を自覚し始めたのは、時々、申し訳なさそうに謝って、周りの顔色を伺うそぶりを見せだしたことからも明らか。一方、エリポンは、自分が叱られることより、他人が叱られることが気になって仕方がない。
トウサンも、カアサンも、エリポンを叱るときは、少しだけ手加減している。エリポンはそのことを感じていて、自分が叱られることよりも、やんちゃな弟が叱られるのが見るに忍びない。助けようとするのです。タンタンは、助けてもらった恩を感じるのか、お姉ちゃんの優しさに気が付いたのか、このごろふたりは妙に仲が良いというお話し。
終末に出かけた、伊丹の昆虫館で、ふたりで虫をつついているところ。宝塚の山で捕まえてきた「ゴキブリ」の一種なのだそうです。もう一枚の方は、昆虫館の出口で、弟をだっこしようとするエリポン。
頼られる立場になったエリポン。すごいねぇ、と目を細める私達。
白梅と青空
歩いて図書館へ
強い寒気が入り込み、積雪の予報が出ていたので、土曜日は電車で仕事に出かけました。
結局、雪は降りませんでしたが、雪の予報は日曜日まで。わくわくしつつ、日曜日の朝を迎えましたが、冷え込んではいたものの、見事な青空が広がっていました。結局雪は降らず。子供たちが云うには、土曜日に六甲山のてっぺん辺りが白くなっていたということですが、日曜日にはそれも消えていました。
今日は、子供たちと図書館に出かける日です。その前に、トウサンは床屋へ。昨日はタンタンの髪をトウサンが切りました。いつも短髪のタンタンですが、このごろ寝癖がつくようになっていました。ゴミ袋に頭を通す穴を開けて被らせ、櫛を当てつつ、はさみでチョキチョキと切ってゆくのです。タンタンが協力的であってくれれば、完璧に切りそろえる自信がありますが、10分ほどで、タンタンのカラータイマーは点滅を始めます。ここからは時間との勝負。結局、仕上げは後日ということになったのですが、今朝、鏡を眺めたタンタンは、「格好良くなった」と、満足げ。自分の風体を気にする様子を初めてみましたが、これも成長の証しということなのでしょう。ヘアスタイルに自分のアイデンティティを感じているようです。
昼食を終えると、興味深いスポーツ中継が目白押しなのですが、普段子供たちにつき合うヒマが少ないトウサンとしては、テレビなど見ている訳にいきません。二週間に一度の図書館通いを、まずは片づけることにしました。おまけに、小学校で環境委員を務めているナミンチの発表が、図書館のホールで開かれている環境パネル展で展示されているのです。まずはそれを見て、それから本を借りることにしました。昨晩、微熱があったナミンチはパネル展だけを見て、カアサンと一緒にすぐ帰ることにしました。ということは、トウサンが残り三人と本を借りるという役回り。
エリポンが、歩いて行きたいといいだしたので、トウサンもカメラを鞄に入れて歩くことにしました。トウサンが歩くと云うことは、タンタンも歩くということ。たいした距離ではありませんし、私は夙川沿いの景色が好きですから。考古資料館の塀越しに、庭に咲く白梅を撮らせていただきました。そして、香櫨園駅の脇、夙川の東岸の景色。先行するエリポンを追いかけるタンタン。機嫌良く歩いてくれるのは嬉しいのですが、問題は帰り道。
カアサンとナミンチが先に帰ってしまい、24冊の本が入ったカバン(往路はカアサンが自転車で運んでくれたのです)をしょって歩くトウサンには、もうカメラを構える余裕はありません。ふらり、ふらりと寄り道を重ねていたタンタンが、ちょっと遠慮がちにだっこして欲しいと言い出したのですが、残りの道のりと、荷物の重さと、体力を計算。結局、最後の100メートルほどをだっこしてあげました。(つづく)
オナガガモに囲まれるエリポン
コブハクチョウ
伊丹の昆虫館で過ごした話が、ここに続きます。
生き物の餌付けはわくわくして楽しいものです。我が家の近所の夙川にもカモが居ます。香櫨園の浜にはユリカモメが居ますし、片鉾池にはカメやアヒル、鯉が居ます。朝食に残ったたパンの耳をカアサンは袋に入れて取っておき、お出かけの時に持参するのです。
さて、昆陽池(こやいけ)は野鳥の宝庫。今は、冬の渡り鳥が、長旅に備えて最後の準備をしている頃です。昆虫館に寄る前に、まずは昆陽池で野鳥と戯れることにしました。
駐車場から公園に向かう途中、コブハクチョウが目につきました。早速、パンをちぎって、渡そうとしました。手から直接エサをやりたいのですが、ハクチョウは、サイズが大きいですし、なかなかの迫力です。ヨウカラは怖がって、なかなかパンを渡すことが出来ません。金網の下からこっそりとパンをつっこむヨウカラ。
ずんずんと、公園に向かって歩いていくと、舗道の上に、ハトと一緒にオナガガモが歩いていました。ベンチに腰掛けて、パンくずを蒔いている人の周りに集まっています。オナガガモは、夙川にも沢山いますので、何となく親近感が湧きます。
エリポンがパンをちぎろうとしますと、それを見つけたオナガガモに囲まれてしまいました。こいつらは、かなりなれなれしいというか図々しいというか。普段は大きな顔をしているハトもタジタジの突撃で、パン目指して飛びかかってきます。昆陽池には、他にも数種類のカモが居ますが、池から出て舗道でエサにありつくのはオナガガモだけです。
一応、野鳥ということになっていますが、昆陽池のオナガガモは、人に慣れきっています。こんなに警戒心が薄くて、この先、生き延びていけるのでしょうか。
ほかにも、マガモ、ハシビロガモ(この二つはよく似ています)、白黒のツートンカラーが印象的なキンクロハジロ、頭のてっぺんが黄色いヒドリガモ、そして、時々一斉に飛び立って周りを驚かせるユリカモメ、池に浮かぶ島には沢山のカワウがいました。
エリポンが「あのねちょう」に書いた、この日の日記を紹介します。
きのう わたしはこんちゅうかんととりにえさをやりました。
「コブハクチョウやハビビロガモやマガモやあひるやオオガモ、コガモがこやいけにいました。
いたみのこんちゅうかんのおんしつにちょうちょうがいました。
ごきぶりもさわりました。みつばちもみました。わたしは、つよかったです。
わたしは、つよかったです
の意味を尋ねたところ、「ゴキブリを触っても怖くなかったから」といっていました。この日記は、誰の助けも借りずに、全て自分で書いたのだそうです。
実は、昆陽池には、野鳥にエサをやらないで下さい。という看板が出ています。食べきれないほどのエサが池を汚すからということのようです。
お風呂洗い
先頭を切って走り出すタンタン
もうじき春休み。子供たちの一年が過ぎようとしています。
タンタンの入園、エリポンの入学という、激動の一年でありました。子供たちの適応力に驚かされるのはいつものことですが、今回は、ふたり同時でしたし、タンタンは、年少組から幼稚園に入れる、という、我が家にとって初めてのケースでしたから。
なにか、突拍子もないことをしでかすのではないかという心配をよそに、これといってトラブルもなく、職員室に呼び出されることもなく、無事に一年を過ごすことが出来ました。随分とご迷惑はおかけしたと思いますが、個性の一部として扱って下さった幼稚園のスタッフの皆さんに、心から感謝申し上げます。
一年が過ぎて、タンタンは随分と大変社交的な性格であることがわかりました。言葉も増え、自己主張が具体的になってきました。姉弟のなかで一番下ですが、自尊心は人一倍で、年齢を根拠とする差別的な扱いには敏感に、はっきりと言葉で不満を訴えます。それが聞き入れられないと、行動で抗議の意を示します。要するに、すねたり、ものを投げたりする訳です。そういった狼藉は見過ごす訳にはいきません。
姉たちと同等に扱ってあげなくてはなりません。ということで、タンタンにも家のお手伝いを担当させることになりました。お姉ちゃんたち3人で輪番制になっていた、お風呂洗いのメンバーに加えたのです。姉たちに手ほどきを受けて、なかなか上手に洗います。ただし、栓をしたり、ふたを閉めたり、は後で確認する必要はありますが。
年少から幼稚園に入れることに関して、この子が初めてでしたし、不安はありましたが、タンタンにとって大変良かったと思っています。成長ぶりは、嬉しくもある反面、一抹の寂しさも感じます。活動範囲が広がり、そのスピードについていくのも楽ではありません。油断をしていると、あっという間に走り出す息子を見ていると、子供たちの成長に親がついて行くのにも努力が必要と実感します。
ひらかな練習中
お手紙をもって
春休みに入り、一日中家で大騒ぎしているタンタン。
あまりのうるささに、みんな音を上げています。特に、カアサンはウンザリ。お姉ちゃんたちも、不満を漏らしています。エリポンだけが、淡々と無視しているというか、我が道を行くエリポン。邪魔さえされなければ平気らしい。
タンタンが、文字に興味を持ち始めました。お姉ちゃんたちは、毎日絵本やまんがを描き続けています。「新しいお話しが出来たよ」という言葉が、私が夕方帰宅した時の、挨拶代わりになっています。タンタンも仲間に入りたいのでしょう。あるいは、ビデオかなにかから、影響を受けているのかもしれません。エリポンの場合は、トムとジェリー「騎士道も楽じゃない」で、ジェリーが恋文を書くシーンに影響を受けて、手紙に興味を持っていましたから。
とにかく、タンタンも負けじと、裏紙にごちゃごちゃと書き込み、それをホチキスで留めて、「オハナシデキタデ」と、渡してくれるのです。微笑ましくはあるのですが、どうにも理解しがたい、まぁ、いわば落書きです。
そして、このごろ、文字というものに興味を持ちだし、とりあえず、自分の名前をひらかなで書くことを学んでいます。練習というか、お手紙を書くというか、本人の言うことを余りまに受けてはいけません。概念としての「お手紙」を、おそらくは理解できていないと思うので。
しかし、スポンジのように様々なことを吸収していく年頃です。小さな画像から、いくつかの文字らしきものが読み取れると思います。あっという間に、いくつかの文字を書けるようになりました。
幼稚園の終業式も間近に迫ったある日、書き上げたお手紙を持って、バス停に向かうタンタン。担任の先生に渡すつもりなのです。意気揚々として、嬉しそうです。
先日買ってきた、水性マーカーのセットは、タンタン専用になってしまいました。「使い終わったらキャップをすること」というきまりも、何とか守れているようで、大きな進歩です。
鮮やかな春
春が訪れる時、私はもう冬のことをすっかり忘れています。
冬は控えめに、いつの間にかいなくなっています。思い出す暇もありません。思い出に浸る余裕も与えてはくれません。
春の訪れは、日差しであったり、風であったり、雰囲気であったり。思い出であったり。一昨日まで、冬だったと感じることが、春であったり。
探しに行くと見つかるのが春です。忙しい人には、なかなか春は巡ってきません。
慎ましやかな青い花
探険しているみたい
これといって、計画のない週末でした。
高校野球の観戦、という手もあったのです。とりあえず、三週間前に借りた本を、図書館に返しに行こうと思って準備していたのです。どこか、行きたいところはあるかい?と尋ねると、エリポンは、王子動物園に行きたい、といいます。彼女が開いていた、「のびのびパスポート」を見せてもらいました。小学生に配られる、近郊の施設の案内です。パスポートを持参すると優待入場できます。行きやすい所。空いていそうな所。我が家は、料金のかかる遊園地のような所を好みません。
ぺらぺらとめくっていて、「神戸市立森林植物園」が目に入りました。カアサンに提案。図書館をキャンセルして出かけることにしました。
先日手に入れたiPodを車に積んで、出かけました。森林植物園は、まだ季節はずれなのでしょう。閑散としていました。もうじき、ツツジやシャクナゲ、それからあじさいなど、季節の花が咲き出すと、きっとお客さんで溢れるのでしょう。人が少ないので、ゆっくりのんびりと楽しめました。冬枯れの景色のおかげで、見通しが利きます。枯れた枝の先にむくむくと膨らむ新芽が、春の訪れを感じさせて、心地よいです。あと二週間ほどしてから行けば、その違いにビックリするはずです。春の始まりの瞬間を見つけたような気分でした。
ふと、足元を見ると、オオイヌノフグリが満開。満開とはいっても、とても慎ましやかに咲く花ですので、梢を気にして歩いていると、見逃してしまいそうです。ほかに、ホトケノザはそろそろ終わり、名前はわかりませんが、白い小さな花が沢山咲いていました。
脇道に入っていくと探険をしているようで、とても楽しいところです。植物園の詳しいことは、そのうちに別項で詳しく紹介するつもりです。