
発売日 昭和55(1980)年7月31日
シルバーシリーズ
本体色 ブルー
発売価格 5,800円
中古品参考価格 4,000円
(中程度、本体のみ)
☆ ゲームウォッチ人気の立役者
ファイアは、オクトパス・ドンキーコングと並ぶ不動の人気タイトルで、初期シルバーシリーズの中ではダントツの人気を誇りました。このファイアからマンホールあたりまでがゲームウォッチ第1期黄金期と言えそうです。
実際、このゲームをきっかけに液晶携帯ゲーム人気に火がつき、大人から小中学生まで売れに売れました。任天堂のみならず、他のメーカーからも子ども向けにアレンジした機種やアニメのキャラクターをモチーフにした機種が多数発売されるきっかけとなった機種と言えるでしょう。
事実、当初は大人向けであったゲームウォッチも、ワイドスクリーン以降、子どもも対象となるようアレンジして発売せざるを得ない状況となりました。
当時のCMでもファイアが強くアピールされていたようです。残念ながらフラッグマンは早々に消されたようですが…
☆ ゲーム内容は非常にシュールな状況
今回の舞台は、前作までの3作とはうって変わって、何と炎が燃えさかるビルの火災現場。これまでの主人公が中心に配置された状況から、一筆書きみたいな人がビルからジャンジャン落ちてくるという、過去3作にはなかったとんでもない状況。落ちてくる人を3バウンドで受け止めて救急車に放り込むという、乱暴かつ危険な役割がプレイヤーには与えられています。
救急車に1人乗せれば1点。最高得点はGAME A・Bとも999点です。GAME AよりBの方が落下スピードが速くなって難易度が上がっています。
☆ やはり芸が細かいゲームウォッチ
主人公が中央に配置されなくなり、背景が大幅に変わった本作。特筆すべきは曲がった火災ビルとメラメラと燃えさかる動きのある炎、そして1人救出するごとに点滅する救急車でしょう。
ビルを曲げたことでよりビルらしく見えるし、炎に動きを持たせることでより火災現場である印象が深まったと言えます。
そして、ファイアとは切っても切れない最もシュールなミスマーク、それが天使マークでしょう。飛び降りた人を落としてしまうと、地面に叩きつけられる訳ですが、直後に右上に天使マークが表示されます。恐らく、あの世に行かれたということなのでしょう。
現代では社会的に許されないだろうこういった表現も、当時では問題にされなかったものと思いますが、この後の作品にもこういった現在では表現できないものがしばしば登場することになります。こういった事情のある作品は一部内容を変更されて復刻されるか、もしくは未だ復刻されていません。本作は後者に当たり、名作ながら実物を持たなければ楽しむことはできません。
☆ あまりの人気にリメイクまで
本作発売から1年半後、子ども向けにリメイクされた同名タイトル「ファイア」がワイドスクリーンになって登場します。
ワイドスクリーンはシルバー・ゴールドシリーズよりも画面が広がって、より細かな表現が可能となったシリーズです。
残念ながら、二匹目のドジョウとなったワイドスクリーン版はあまり売れ行きは芳しくなかったのですが、液晶と偏光板(液晶を表示させるスクリーン)の間にカラーフィルムを入れて色鮮やかな液晶画面としただけでなく、キャラクターにも表情を持たせるなど、ワイドスクリーンならではの美しい液晶になりました。
また、シルバー版ファイアでは救急車に運んで1点だった得点が、1バウンドにつき1点になり、ゲームバランスが良くなりました。得点しやすくなったことで、より子ども達への支持につなげたかったのかもしれませんね。
ワイド版ファイアはただ得点しやすくなって難易度が下がった訳ではなかったのがさすがはゲームウォッチ。実は、GAME Bではある決定的な状況の変化により、ワイド版の難易度が上がることとなりました。これは後にご紹介するワイド版ファイアで解説いたします。
☆ まだまだ書き足りないけれど…
ファイアは名作と言われるだけに、書くこともまだまだたくさんあるのですが、最後に有名な裏技をご紹介して終わりにしたいと思います。
裏技・電池ガチャガチャです。裏の電池のフタを締めずに電源を入れたり抜いたりします。それを繰り返してGAME Bを押すと…
信じられないスピードで大量の人が飛び降りるようになります。しかも、GAME Aをしなければ電池を入れ替えるまでGAME Bではずっとこの状況になります。
壊れる可能性もあるので、あまりオススメはできませんが、もし壊してもいいファイアをお持ちならぜひどうぞ。ちなみに私はやりません…