発売日 昭和60(1985)年2月15日
マルチスクリーンシリーズ
本体色 ワインレッド
発売価格 6,000円
中古品参考価格 4,000円
(中程度、本体のみ)
☆ 国内最終作は異色のトランプゲーム
前作、クラブグラブの発売から約１年。この年ゲーム界ではスーパーマリオブラザーズが発売されるなど、ファミコンが一つの大きな時代を確立した年となりました。
ゲームウォッチなど忘れ去られようとしていた時、国内最終作となるGAME&WATCH マルチスクリーン ブラックジャックが発売されたのです。
☆ マイクロVSシステム
実は、この空白の１年の間にも「マイクロVSシステム」というシリーズが発売されていました。VSが示す通り、対戦型の携帯ゲーム機で、コンパクトなコントローラーが２つ細いコードでつながっているという機種でした。
ゲームのラインナップとしては、ボクシング 、ドンキーコング３、ドンキーコングホッケーの計３種類。
このマイクロVSシステム、確かに時計もアラームもありますし、モデルナンバーも着いていますから、ゲームウォッチには違いないんですが…
コントローラーを引っ張り出してプレイするのをゲームウォッチと呼ぶにはちょっと辛いですね。ゲーム内容も少々辛いものがあります。
元々、海外向けに発売されたシリーズを逆輸入して発売されたシリーズであり、日本向けに作られたものではなかったようです。
勝手ながら、マイクロVSシステムシリーズについても本稿では取り扱わないこととします。気が向けば、番外編としてゲーム紹介いたします。
☆ ブラックジャック＋スロット？
さて、本作に戻ります。久しぶりのマルチは、トランプ＋スロットの２つのゲームが楽しめる仕様になりました。
GAME Aは、ブラックジャックです。数字を21に近づけるゲームですね。
最初に賭け金として手持ちが500ドル渡されます。これを最高109ドル、最低1ドルを賭けて勝負していきます。勝てば倍になり、負ければ賭け金没収です。ルールは一般のブラックジャックとほぼ同じです。
GAME Bは５つの数字を合わせるゲーム。いわゆるスロットですね。最初は500点からスタートです。
この数字合わせでは合わせた数字により配当が変わります。
① 3 3 3 3 3 … 50点
② 4 4 4 4 4 … 100点
③ 5 5 5 5 5 … 150点
④ 6 6 6 6 6 … 200点
⑤ 7 7 7 7 7 … 250点
⑥ 3 4 5 6 7 … 300点
⑦ 7 6 5 4 3 … 200点
3から7までの数字が回転していますが、3の表示時間がいちばん長く合わせ易いので得点が低く、7がいちばん短く合わせにくいので得点が高くなります。
数字を合わせられなければ、マイナス25点となり、0点になればゲームオーバーです。
最高得点はGAME A・Bとも9999点(ドル)です。
☆ ゲームウォッチの寂しい最期
国内最終作品は、大人向けの作品となりました。当時は、ファミコンに注力していた時期であり、若年層向けには逆輸入したマイクロVSシステムを売り出していました。しかし、マイクロVSシステムの売れ行きは芳しくなく、大人向けのゲームウォッチを発売したものの、大人にもファミコンがかなり売れたため、思惑は外れたようです。
そんな状況で発売された国内最終作品でしたが、さすがに売れ行きは芳しくなく、ファミコンにひっそりと引導を渡して終売となったのです。
４年後、任天堂からゲームウォッチのノウハウを生かした携帯ゲーム機、ゲームボーイが発売され、爆発的な売れ行きを記録したことは皆様ご承知の通りです。また、現在も進化を続けているニンテンドーDSシリーズも、間違いなくゲームウォッチのノウハウが引き継がれていると思います。あの折り畳みの２枚液晶に十字キー。間違いなくドンキーコングですもん！
☆ 素晴らしいGAME&WATCH
ご紹介してきました国内版のゲームウォッチは本作で最後となります。国内発売された33作の魅力を伝えきれなかった部分も少なからずありますが、ご紹介に当たり改めて全作品をプレイしてみて、その素晴らしさを再度実感しました。私の思いが少しでも皆様に伝われば幸いです。
日本国外向けには本作以降も開発が続けられ、番外編最終作としてご紹介する平成3(1991)年のマリオ・ザ・ジャグラーがGAME&WATCHとして最後の作品となります。
次項から番外編としまして、海外で発売された作品を中心に特徴的な作品を何作かご紹介いたします。どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。
