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25 第25作 ML-102 マリオズ・セメントファクトリー

発売日 昭和58(1983)年6月16日
ニューワイドシリーズ
本体色 ホワイト+ダークレッド
発売価格 4,800円
中古品参考価格 11,000円
(中程度、本体のみ)
 
 
☆ テーブルトップ≠ゲームウォッチ?
 
 ほぼ同時発売した前2作、ドンキー2とマリオですが、不振に終わったことは既に述べた通りです。
 さて、あれから3か月が経過し、何のゲームも発売されなかったのでしょうか。実は4月末にドンジュニのアレンジ版とビン詰め工場をクビになったマリオがセメント工場に転職したゲームが同時発売されました。しかもカラーで。
 実は、任天堂は新たなシリーズとして、カラースクリーンテーブルトップというシリーズを展開し、2タイトル同時発売したのです。
 テーブルトップというだけあり、携帯ゲームとは思えない大きさ。コントローラーもボタンはあれどスティックタイプもあり、さながらアーケード版。自然光を採り入れ、複雑に組み合わされたカラーフィルムを挟み込んだことで実現した完全カラー液晶。単二型電池2本使用で驚異の3年交換不要のバッテリー。賑やかなぐらいの効果音。技術という点ではさすが任天堂、素晴らしいとは思うのですが…当初のコンセプトであったサラリーマンが時間潰しに楽しむことなどすっかり忘れ去られたのです。
 そんなコンセプト無きテーブルトップなど、ゲームウォッチの名は冠すれどゲームウォッチに非ず。テーブルトップとして発売した4作品(うち海外向け一作品)は、1作品を除き、数か月後にはコンパクトな完全カラー液晶を実現したパノラマスクリーンで再発売されることとなりました。このコラムでは、テーブルトップシリーズについては、それぞれ同じゲームであるパノラマスクリーンの当該ゲームの項で述べたいと思います。
 ところで、パノラマスクリーンに移植されなかった唯一の作品というのが、今回ご紹介するマリオズ・セメントファクトリーです。ニューワイドシリーズとして2か月後にリメイク発売されたため、カラーではない点やゲームのレイアウトの一部に若干のアレンジがなされたものの、ゲーム内容はほぼ同じものです。
 
 
☆ 新しい職場で心機一転、しかし…
 
 さて、ゲーム内容ですが、前作のビン詰め工場を恐らくクビになったのだろうと思われるマリオ。職安で相談したのかどうかわかりませんが、自身の経験を生かし新たに就職したのがセメント工場。どんどん作られてくる生コンクリートをホッパー(タンク)2つに移し替え、最後にミキサー車に流し込む労働が課せられています。しかも、ミキサー車は2台、生コンのラインも2つ。これをマリオだけで切り盛りしていかなくてはならない過酷な職場です。
 作られてきた生コンは、まず左右それぞれ上段のホッパーに流されてきます。ホッパーの容量は、生コン3段分まで。3段溜まるまでにレバーを操作してバルブを開き、下のホッパーに流しておかないと、溢れて下のドライバーがセメントまみれになってしまいます。
 下のホッパーも容量生コン3段分。バルブを開きすぎると、やっぱり溢れます。下のホッパーにもバルブがあり、ミキサー車に流すことになります。この車は容量がでかいらしく、セメント流し放題です。どんどん流してください。
 このセメントラインが左右2本あるのですが、2本の製造ラインの左右移動と、上下段の移動には、真ん中を2本それぞれ上下一方通行に動いているエレベーターをうまく使う必要があります。エレベーターに挟まれたり、落ちてしまうとミスになります。
 
 
☆ エレベーターアクションを思い出す
 
 タイトーのゲーム「エレベーターアクション」をご存知でしょうか。ファミコンで結構人気だったゲームの1つです。初めて本作をプレイした時、携帯版エレベーターアクションだなと思いました。ゲーム内容はだいぶ違いますけどね。
 ところで、本作はニューワイドシリーズ2作目として発売されました。ニューワイドは、マルチスクリーンシリーズ以降に発売されたワイドスクリーンとほぼ同サイズ・画面1枚の本体です。価格は4,800円となり、従来のワイドやマルチに対し廉価版として製作されたものです。しかし、国内向け作品は以前ご紹介したドンキーコングJR.と本作の2作しか発売されませんでした。
 本体色はドンジュニと同じく、2色分けされました。表面がホワイト、裏面がダークレッドとなり、裏面およびフタの色がオクトパスと同じ色になっています。これまでも色が同じというものはありましたが、フタの色と形が全く同一であるものは、ゲームウォッチでは本作とオクトパスのみです。あとは微妙に形が違ったりするので、共通には使えないんです。
 表面化粧版は、メタリックレッド仕上げとなり、画面枠内のみシルバーになっています。
 本作は、スヌーピーテニス以来の三つ目ボタンです。右側にレバー操作ボタンが1つ、左側にキャラクター操作ボタンが2つ並んでいます。
 
 
☆ コンパクトながら詰まった内容
 
 得点パターンは2つです。
@ 上のホッパーから下のホッパーに生コンを一段移すと1点
A 下のホッパーからミキサー車に生コンを一段移すと2点
 ミスパターンはいくつかあり、
@ ホッパーから生コンを溢れさせてドライバーを生コンまみれにさせる
A エレベーターの乗車ミス(ジャンプ等はできない)
B 上行きのエレベーターで天井に挟まれる
C 下行きのエレベーターで一番下に落ちる
これらのパターンすべてでミスとなります。
 最高得点は999点、ミスクリアは300点、ミスクリア時にミスが無ければチャンスタイムとなり次にミスをするまで得点は2倍です。
 ミスパターンが多いのと、上下するエレベーターのタイミングが同じではないことなどが、このゲームの難易度を上げています。すぐ溢れそうになるホッパーも気になるし、でもエレベーターのタイミングは合わないし。難しいゲームですが、完成度はマリオ前作並みにいいものだと思います。
 
 
☆ テーブルトップ版との違い
 
 先にも述べましたが、今回の作品はテーブルトップ版を若干アレンジした作品です。大きく異なる点は、カラーではない点や、左下と右上の2か所あったエレベーターの避難所が、左下1か所になったことです。他にもキャラクターデザイン等が若干異なります。
 価格はテーブルトップ版の7,800円から4,800円と大きく下げられたものの、大ヒットした家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」発売前夜だったこともあり、生産も少なく、売れ行きも芳しくはなかったようです。ゲーム内容が前作マリオ同様面白いだけに、当時評価されなかったことは非常に残念です。
 現在では、マリオの辛い下積み生活を体験できるゲーム機の1つとして評価されています。中古市場では製品があまり無いこともあり、かなり高額で取引されています。実物でプレイするには少々手に入れにくい状況です。
 うれしいことに、この作品はDSiウェアで配信され、DSで楽しめます。実物を持てなくてもぜひ、DSでこのゲームを楽しんでみてはいかがでしょうか。
 
 


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