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烏賊と電脳の綜合百科事典
烏賊の王様

烏賊の分類と各論

分類に依る索引(コウイカ目)

(赤文字の部分をクリックすると詳細説明が表示されます。)

(分類は、主に須山三千三、鴻巣章二、浜部基次、奥田行雄各氏共著、恒星社厚生閣刊『イカの利用』に依る)


コウイカ科

形態上は見誤る事の無い扁平で楕円形を仕た肉の締まった外套膜を有し、其の全周に鰭(ひれ)が發達して居る。外套膜背面の筋肉内には 舟型を仕て幅の廣い石灰質の甲を有して居る。コウイカ類は水深150米以淺の海底近くで生活して居る爲、主としてトロールや底曳網漁法で 漁獲されるが、産卵期には棲處を離れて沿岸内灣の淺處に接近する産卵回遊をし、亦、産卵習性として木の枝や竹の束等に卵を1箇宛産み 附ける爲、此れを利用して鼠取り式の『烏賊籠』漁法や定置網で漁獲される。

奇妙な事にコウイカ類は南北米大陸沿岸には分布して居ない。多くの種が印度洋から太平洋、オーストラリアの温帯から亜熱帯域に集中して 居て、2,3種が北欧、及び、日本北部に分布する。コウイカ類の分布地理學的知見を纏めると、印度洋乃至太平洋に59種(全域8種、印度洋 から紅海に懸けて24種、ニューギニア沖からマレー沖に懸けて9種、日本から中國に懸けて18種)、オーストラリア沖に40種(西岸7種、南岸 4種、其他29種)、南アフリカ沖に15種、大西洋乃至アフリカ西岸に6種で有る。各地域には外套長20糎以上の大型種が數種宛棲み、 オーストラリアコウイカ(45糎)、コブシメ(50糎)、カミナリイカ(38糎)、ヨーロッパコウイカ(30糎)等は最大級で經濟價値は大きいが、一般 種は外套長10糎以下が多く、餘り利用されて居ない。4属。

トグロコウイカ科

貝殻は多室螺旋形。外套膜は円筒形。鰭は後位で兩葉片の間に發光噐を有す。1属1種トグロコウイカ而巳。

ミミイカダマシ科

外套膜は短く丸い。石灰化した貝殻も軟甲も欠く。頭脊側は外套膜と癒着して續いて居る。腕吸盤は基部寄り2列、先端に向かい4列と成る。 交接腕は左第4腕。2属。


コウイカ属

貝殻は長卵円形。内円錐、外円錐共明瞭で、後端に棘が有る。外套膜後端に尾腺開口が無い。約80種、内日本産約20種。

ハナイカ属

貝殻は菱形で薄質、内円錐は痕跡的。外円錐は狭く、尖るが棘に成ら無い。尾腺は無い。2種、内日本産1種。

シリヤケイカ属

貝殻は長楕円形で、外円錐は擴がり、淺い匙状。棘は無い。外套膜後端に尾腺開口が1箇有り、此處から赤褐色粘液を分泌する。6種、内 日本産1種。

ヘミセピウス属

貝殻は後域に石灰化する而巳で脆弱。外套膜後方に尾腺開口が數對有る。南アフリカに5種、日本産は無い。

トグロコウイカ属

トグロコウイカ只一種。世界の温熱帶の水深500乃至700米(昼間)や100乃至300米(夜間)の中層に棲息。日本では南西日本に希に死 殻が漂着する事が有る。

ミミイカダマシ属

鰭は短く耳型。漏斗軟骨噐を欠き、外套膜と漏斗は靱帶で接着して居て離れ無い。交接腕先端は吸盤を欠く。6種、内日本産1種。

セピオロイデア属

鰭は長く粗外套膜の全長に及ぶ。漏斗、外套膜の接着は軟骨噐に依る。交接腕先端は横皺と楔型の乳嘴を持つ。オーストラリアとニュージー ランドに2種。