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鬼蕎麦 (おにそば)
 
鬼蕎麦(おにそば)にはふたつの意味がって、ひとつは「江戸時代からいくつかの地域で栽培されていた在来種としてのソバの品種」としての鬼そばと、もう一つは(丹波)大江山の鬼伝説の地域に伝わるという手打ちそばの「名物鬼そば」をいう場合がある。
 
鬼そば(ソバの品種)
江戸時代に書かれた対馬藩の産物覚帳によると佐護郷の「鬼そば」と仁位郷でも「内山蕎麦 おにそば」とあり、他に佐須郷「はなたかそま」という記録になっている。このことから対馬国内での蕎麦栽培の品種は鬼そばが主であったのであろう。*内山蕎麦は同地名の盆地に産する鬼蕎麦のことか。
また、京都の河道屋が明治28年に刊行した「蕎麦志」に、九州では薩摩(鹿児島西部)には「多く鬼蕎麦を産す}とある。
*蕎麦誌は、京都の総本家河道屋・植田安兵衛13代当主が明治28年(1895)に刊行した江戸時代からのそばについての書物。例えば、諸国の蕎麦産地について、全国どの地域も産出するが品位に大きな差異があり、著名な地域として十七の産地をあげている。蕎麦志には「対馬国 産出多シ 朝鮮地方ニ之レヲ輸出セルアリ」と記している。*在来品種としての対州ソバの特徴は小粒。

江戸時代の享保20年(1735)頃から各藩から幕府に報告された産物帳のなかでも、上記する対馬藩の他に、陸奥国(田村郡三春)、水戸藩、和泉国の産物帳の蕎麦のなかに「鬼そば」も産することが報告されている。
 
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鬼蕎麦  大江山の鬼蕎麦
大江山(おおえやま)は京都府丹後半島の付け根にあって福知山市や宮津市にまたがる連山である。この大江山には三つの鬼退治伝説があり、なかでも源頼光が退治したという酒呑童子伝説が有名である。この大江山のふもとでは、もともとは自然薯をつなぎに打った歯ごたえのある鬼(き)そばだったという名物そばがあって大江山の鬼蕎麦という。
 
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