バイオハザード6の二次小説を書いてます。
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ツイッター小話【か行】
「かすり傷だから」と病室のベッドの上で笑ったクリスの顔に思わず気が抜けた。「そんな重傷だと聞いたのか?」自分の呆け具合に怪訝そうに聞いたクリスに「瀕死だと聞きましたよ!」と思わず怒鳴る。その情報を流した奴の顔を思い浮かべて舌打ちする。あのハゲ、覚えてろ!

きっと罰が当たったんだと思った。昔は肩を並べて戦場に立てることが誇らしかった。でも自分が後方支援に下がって初めて思った。あの人の帰還を毎回祈って不安のあまりもう行かないでほしい、なんて。そんなことを思ったからだ、と病院に向かう道すがら更に祈る。俺からあの人を奪うな、と。

クリス、と呼ぶ声に振り返った。もう大丈夫だというのに病室に縛られて既に3日。退屈で死にそうだ、とこぼしたら少しの時間でも顔を出そうとするピアーズに「忙しいんなら別に来なくてもいいぞ」と言ったら思い切り悲しそうな顔をされた。お前な、本音と建前の使い分けをそろそろ覚えろ。素直すぎだろ。

喧嘩するほど仲がいいというが、あれは嘘だな。コイツとは喧嘩しかしていないが、絶対に仲なんかよくない。クリスの容体で偽情報を掴まされた記憶は新しい。文句を言ったらしれっと「そうだったか?」ととぼけやがった。シェリーのことでからかったのを根に持ってたらしい。大人げないにも程があるだろ!

「こっち来いよ」と言われて心臓が跳ねる。ベッドに寄ると頭を引き寄せられた。「心配するな、俺は死なない」そう言ったクリスの声がピアーズの心臓を貫いた。死んでほしくないから行くな、という本音を看破された上に、それでも行くという決意が声に籠っていて、ピアーズはもう何も言えなかった。

//か行全部でピアクリ。結局「行くな」という言葉は先手を打ってクリスに封じられたわけですが、それでなくてもピアーズは絶対に言わないよね。ウン。次の話はこれの長編バージョンになる予定。予定は未定だけど。


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