バイオハザード6の二次小説を書いてます。
| HOME  | INDEX | PIXIV | ABOUT | BLOG | E-mail | 
06.どうしよう好きみたい
「シェリー!」
ジェイクの悲痛な声が聞こえたが、シェリーの足は止まらなかった。
銃弾が飛び交う中、シェリーの状況判断は"ジェイクを守ること"。
でもそれが――驕りだったことをシェリーは後に知ることになる。

パン!と頬を張られた。
「何する…っ」
打たれた頬を押さえてシェリーは反射で噛みついた。
でもジェイクの顔を見た途端にその勢いは急速に萎んだ。
何で――何でそんな顔してるのよ。そんな、自分の方が痛いみたいな顔――
「何で止まれって言ったのに止まらなかった」
疑問形なのに断定の口調で言われてシェリーは言葉が竦んだ。
「ジェ…イクを守らなくちゃって――」
「てめぇに守ってもらおうなんて思っちゃいねぇよ!女の身体を盾にするほど落ちぶれちゃいねぇぞ!」
「だって、私は撃たれても治る――」
言いかけた言葉は胸倉を掴まれて途切れた。間近で覗き込まれた瞳には怒気が帯び、真っ直ぐにシェリーを射抜いた。
「いいか」
低く呟かれた声は昏い。
「一度しか言わねェぞ。今度やったらお前とは二度とパートナーを組まない」
乱暴に襟を突っ放され、シェリーは後ろにたたらを踏んだ。シェリーから視線を逸らして後ろを向いたジェイクの背中を見ながら、シェリーは突然に理解した。

――違う。

ジェイクはシェリーを守ろうと思ってるんじゃない。ましてや、弾除けだと思ってるわけでもない。

――背中を預けるパートナーだと思っているんだ。

自分の背中を預けられる大事な相棒だと。
Gウィルスの力を借りればすぐ治るのに。戦場で盾があれば、と思うギリギリの場面なんか数え切れないほどあるのに。私は死なずにその盾になれるのに。
それでもジェイクはシェリーが盾になることを怒る。
宥めるでもなく諭すでもなく――怒る。

シェリーはジェイクの大きな背中を見つめながら、自分の中の想いが溢れたのがわかった。

どうしよう――私、ジェイクが好き――


BACK - INDEX - NEXT