バイオハザード6の二次小説を書いてます。
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02.あんな奴好きじゃない
ジェイクと付き合ってるの?と聞かれることが多くなった。
仕事と称して一緒にいることが多かったからに加えて、ジェイクがシェリー以外のエージェントだと協力しないと合衆国に言ったからだろう。
シェリーはそう聞かれれば反射で「まさか!」と答える。
実際に付き合っていないから、その答えは間違っていない。いないけれど――

「でも好きなんでしょ?」
更に突っ込んで聞いてくる女性陣にはうんざりする。
私がジェイクを好きなように見える?
見えないようにどれだけ努力してるか知らないくせに、一番近くにいるというだけでそう牽制してくるあざとさが癇に障る。
ジェイクは初めて会った頃に比べて表情も柔らかくなったし、時折見せる笑顔も前のようにシニカルじゃない。棘が取れて接しやすくなったからか、女の子たちが騒ぐようになった。
それに対して、シェリーは池に落ちた小石が水面を揺らすように、胸に広がる波紋を見て見ぬふりをしながら付き合うしか術がない。ジェイクとは仕事仲間で、そんな感情など邪魔だけだ。そう何度も自分に言い聞かせる。
エージェントとして評価して指名してくれるジェイクにそんな感情を悟られるわけにはいかない。
でも自分でわかっている。そんな風に仕事を建前にして逃げるのは――ジェイクの気持ちを知るのが怖いからだ。

――あんなお節介なヤツ、好きなワケねぇだろ

たまたま通りがかった廊下で聞こえてきたジェイクの言葉。
シェリーに聞いてきた質問は、そのままジェイクにも向けられていたようだ。
それに対するジェイクの答えが――

シェリーは目を固く瞑って涙を奥に押しやった。


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