バイオハザード6の二次小説を書いてます。
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01.好きって言ったらどうする
ずっと言えない言葉がある。
ジェイクが合衆国に協力という形で一緒に仕事をするようになって既に1年。
会えば軽口を叩く彼にシェリーも軽口で返す。いつでも会える――少なくとも仕事をしている間は次に会う目途は立っているから不安に思うこともなかった。

「え?」
シェリーは耳を疑った。
「――終わるの?」
「らしいぜ。俺もそんなに暇じゃねぇし。今回の任務で俺はお役ご免だな」
シェリーは小さくそう、と呟きながら視線を逸らした。
「何だよ、寂しいのか?」
ニヤニヤしながら顔を覗き込まれて、シェリーは反射で睨んだ。
「そんなわけないでしょ!ジェイクのお守りは大変だったから、せいせいするわよ」
「あのな、お守りをしてやってたのは俺の方だぜ?」
ジェイクの指がシェリーの額を弾いた。いたっ、と額を押さえてシェリーは憮然とした。
「よく言うわよ。いっつも私が先を歩いていたじゃない。私がジェイクを守ってたのよ!」
敢えてそう言うと、ジェイクは鼻で笑った。
「そりゃありがてぇこった。お前のヘタクソな射撃で守ってもらえて光栄だな」
もう!とシェリーは怒ったふりで応戦する。

――知ってる。

ホントは先に行かないのは後ろを警戒してるから。
一度、後ろから攻撃されてジェイクとはぐれたことがあった。それ以来、ジェイクは決してシェリーを自分の後ろに回さない。シェリーの姿を常に視界に入れている。
憎まれ口を叩きながらもジェイクは常にシェリーを守っていて、シェリーがジェイクを守ると息巻いていても、実際には逆だ。
こんな風に仕事のパートナーとしての信頼は絶大だ。ただ、それじゃ物足りない自分がいるのに最近気づいた。

もし、もし――

好きって言ったら、ジェイクはどうするのかしら――


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