バイオハザード6の二次小説を書いてます。
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日常の好き
リンゴ好き

「ジェイクってホントにリンゴ好きよね?」
シェリーは今まさにリンゴに齧りつきかけてるジェイクに聞いた。
一緒にいる間、何度か食べてる姿を見てる気がする。
「何でリンゴなの?」
「ああ?1日1個のリンゴは病気知らずって言うだろ?」
知らねーのか?と言わんばかりに答えるジェイクにシェリーは吹き出した。
「な?何で笑う?」
本気で分からない風のジェイクが更におかしい。
「だって…おばあちゃんの知恵袋みたいなこと言うから」
「あー…おふくろがちっちゃい頃からそう言ってたから…」
ふてくされた顔をしてるけど、実は照れてることは付き合いだしてから知った。
ジェイクが愛されて育ったなと感じるのはこういう時。そんな些細な母との思い出を大切にしている優しい彼が好き。
シェリーは微笑むと立ち上がって、座ってるジェイクの頭を抱き締めた。



坊主

「ねぇ、ジェイクは何で坊主なの?髪伸ばしたりしないの?」
目の前にあるジェイクの頭を触りながら、シェリーは聞いた。
「めんどくせぇ。戦場行ったら頭なんか洗えねぇからな」
やっぱり機能的な理由なのね、と思いつつ返事をしなかったら、
「…伸ばさねぇからな?」
疑問形で返された返事にシェリーは笑った。
きっと「伸ばして!」と頼んだら悪態つきながら結局は伸ばしてくれるんだろう。可愛い人。
「私も伸ばしてほしい?」
「別に」
簡潔な言葉には色んな意味が込められている。その意味を汲める程度にはもう一緒にいる。
(どんな髪型だろうとお前なら何でもいい)
「私も同じよ」
シェリーは同じ意味を込めて、ジェイクの頭にキスを落とした。





「ジェイクって考え込む時、絶対顎に手をやるよね」
突然の質問にジェイクは目を瞬かせた。
「そうか?」
「うん、気づいてなかった?」
「無意識だろ、そんなの。そういうお前こそ――」
「なに?」
聞き返したシェリーをいきなり抱き上げると歩き出した。
「ちょ!何するのよ!?」
ベッドまで来て腰を下ろすと、シェリーを横抱きにしたまま額をくっつけてくる。
あまりの顔の近さに――
「不意打ちだとトマトみたいになるよな?」
ニヤニヤしながら覗き込む瞳がいたずらっ子のようで――
「もう!バカ!!」
と怒りながらも、こんなに近くにいるのに慣れない私を想って手を出さないでいてくれる紳士な貴方が大好きよ。



What?

「ジェイク」
呼んだら声を出さずに彼は振り向く。
「ジェイク」
もう一度呼んだら、表情で「何だよ?」と答える。
「ジェイク」
更に呼んだら、やっと声が出る。
「何だよ(What)?」
その声が聞きたくて何度も呼んだの、って言ったら怒る?
「何でもない」
そう言って前を歩くジェイクに並んで、彼の腕を取った。
指を絡める仕草が気遣わしげに感じる。
「本当に何でもないの」
笑顔でそう言うと、ホッとした顔になる。

ねぇ、ジェイクは私のことわかりやすいって言うけど、貴方も相当わかりやすいわよ?




愛しい彼女
「ご挨拶に行きたいんだけど」
「どこに?」
そう聞いたジェイクにシェリーは言った。
「あなたのお母さんに」
ジェイクは虚を突かれた。
「お墓とか、あるなら会いに行きたいなと思って。ホラ、やっぱりお付き合いしてますみたいな報告というか…」
ジェイクはシェリーのどこが好きかと聞かれれば、こういうところかもしれないと思う。
「墓はないけど…そんな余裕がなくて。教会の好意で埋葬はさせてもらってる」
「じゃあ、そこに行きましょ」
軽い調子で買い物に誘うかのように言うシェリーを抱き締めた。
「ありがとう」
そう言ったジェイクに心底訳が分からない顔をしたシェリーを更に愛しく思った。



やきもち

「ジェイクは何でピアノが弾けるの?」
「傭兵になる前に酒場の皿洗いしてる時に習った」
「そうなの?てっきりお母さんかと思ったわ。誰に習ったの?」
「通いで来てた、ピアノで稼いでた女」
そう言った途端、シェリーの動きが止まった。
「そうなんだ」
言いながら平静を装って離れようとするシェリーの手を掴むと、引き寄せた。
本当にわかりやすい女だな。
「…気になるか?」
腕に抱きとめたシェリーの顔を覗き込むと「別に」と素っ気なく返された。
そのふてくされたような表情が珍しくて、嬉しい、なんて、俺も相当いかれてるよな?



筋肉

「ジェイクって細身なのにすごい筋肉よね」
いつの間にか後ろに立っていたシェリーに触れられ、ジェイクは驚いた。
着替えの最中で、上半身は裸。肩甲骨のあたりを盛んに「綺麗ね」と撫でている。
「腰が細いからかな、そんなに細く見えるのは?」
と、今度は脇腹を触りだす。
(こいつ、絶対何も考えてないんだろうな)
そう思いながらもされるがままでジェイクは我慢した。
「綺麗に筋肉ついてて羨ましいなー」で締めくくったシェリーを抱き締めて、
「じゃあ、次は交代な?」と顔を覗き込むと、意味を悟ったシェリーが慌てた。
「こ、交代って何?」
「何って、お前が今やってたことを俺もやる」
「無理よ!そんなの!!」
「やり逃げは卑怯だぜ?」
シェリーはニヤリと笑うジェイクに本気で膝蹴りを見舞って、一瞬の隙を逃さず脱兎の如く逃げ出した。
一気に部屋の隅に逃げた兎は、警戒心も露わにこちらを睨んでいる。
冗談なのにそんな本気で逃げる彼女が可愛い。いや――結構本気か、俺?





酒を飲んだことがないと言うから、飲みに連れて来てみた。
軽い1杯で赤くなった頬を見て、弱いなコイツと思った。
それでも2杯目を勧めてみたのはほんの出来心。酔ったらどんな風になるんだろう、そう思って。
まさか、こんな風になるなんてな――
ジェイクは酒場から家までの徒歩50分の距離を寝落ちしたシェリーをおぶって歩くハメになった。
もしかしてちょっとはガードが緩くなるかも、という期待がなかったわけではない。
その疾しい気持ちを知ってか知らずか、シェリーは勢いよく2杯目を飲み干して――そのまま眠った。
明日には裏に置いてあるバイクを取りに戻らないとな、めんどくせぇ。もう二度とコイツには飲ませねぇ…と自分の行動を棚に上げて内心毒づいていたら――

「…く…き」

自分の耳元で聞こえてきた呟き。よく聞き取れなくてもう一度背負い直した時、ハッキリ聞こえた。

「…ジェイク…好き」

寝言で呟いたその一言で、コイツに飲ませるのも悪くないかもな、とジェイクは思い直した。


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