君と一緒に歩きたい
――あぁ,そっか.
私は,やっと理解した.
竹村が私とミツキに,嘘の告白をしてきたのは,このためだったんだ.
苑田君のために,誰でもいいから女性というものに,復讐したかったんだ.
子供だな,と思う.
それに馬鹿だな,と思う.
おっちょこちょいで,メールを送り間違えるし,テーブルに足を打つし…….
けれど…….
翌日,私は噂の美津子さんを再び見つけた.
「嘘……,」
信じられない確立の偶然に,我が目を疑う.
彼女は,デパートの一階のブランドショップの中に居た.
制服姿なので,店内では目立っている.
彼氏らしい男性と一緒だった.
嬉しそうな顔で,高級ハンドバックを手にとっている.
――まさか.
私は,背筋がぞっとした.
苑田君から騙しとったお金で,それを買うの……?
私は慌てて,携帯で竹村に連絡した.
私は慌てて,携帯で苑田君に連絡した.
私は誰にも連絡しなかった.