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君と一緒に歩きたい


私は,誰にも連絡しなかった.
だって,連絡してどうするの?
苑田君はもう,諦めている.
それに私の出る幕じゃない,余計なお世話に決まっている.

私は携帯電話を握り締めて,彼氏とレジへ向かう美津子さんから目を逸らした.
私には,関係ない…….

あれから,竹村とも苑田君とも会うことはなかった.
けれど美津子さんは,たびたび見かけた.
どうやら,近所の高校らしい.
彼氏と楽しそうに歩く美津子さん.
苑田君から騙し取った二十万は,もう使い切ってしまったのだろうか.

苑田君の優しい笑顔が,竹村の怒りに満ちた顔が蘇る.
私には,何もできない.
何も,できないんだ…….





――END(無力)
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