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君と一緒に歩きたい


「まだ分からないよ.」
私は,ため息を吐いた.
そのとき,携帯電話が明るいメロディを奏でて,メールの着信を知らせる.
竹村からだ.
――さっきの話,マジだから.俺のこと,真剣に考えてくれな.
どうしよう,短いメールの文面にどきどきする.
竹村なんて,友達としか思っていなかったのに.

ふと気づくと,兄がにやにや顔で私の方を見つめている.
「もうお兄ちゃんには相談しない!」
なぜか恥ずかしくなって,私は兄の部屋から出て行った.

翌日,私は同じクラスのミツキに相談した.
ミツキとは同じ中学で,ミツキも竹村のことは知っている.
ただ,私とミツキは高校からの友人だ.
たまたま同じクラスになったのがきっかけで,仲良くなった.
今では,一番の友人.

竹村のことを話すと,ミツキは眉をひそめて,何か考え込む.
「その電話があったの,昨日の夜?」
「うん.」
どうしたのだろう?
私は不安になる.
「あ,あのね,」
ミツキは鞄の中から携帯電話を取り出して,机の上に置いた.
「私も告白されたの,竹村君に…….」
「へ?」
告白された,ミツキも?
「昨日の夜,いきなりメールが来て,電話していいか? って…….」
そして携帯を,私の方へ押し出す.
着信履歴やメールの受信箱を見て,確かめろ,と.





私は,ミツキの携帯を見てみた.
私は悲しくて,ミツキの携帯が取れなかった.
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