足の指の間が痒くなる心意気

2002年10月14日(月) 「マッチポンプ」

マッチポンプ…自らマッチで火をつけ、その日を自らポンプで消火する、という意味。


 何だか吉野家がキャンペーンしてるという。こう言うのにとにかく弱いワタクシは、いそいそと件の牛丼屋に向かう。

 最寄りの吉野家までは歩くと30分くらいかかるので、いつもならば車を使うのだが、最近お腹の贅肉が気になるワタクシは、えいやっ、と一念発起。自転車でかの店に向かうのであった。
 ふだんのオーダーは「特盛りつゆだく。みそ汁、半熟(卵)」なのだが、いかんせんお腹が気になる身。今日は、今日こそは「並!」と一言だけ言ってカウンターにどっかと座ってやる。もう絶対絶対「並!」なのだ。そのシーンを充分イメージトレーニングしつつ、ペダルをひたすらに漕ぐ。

 既に腹はぺこぺこ。準備は万端である。秋の夕暮れの風が頬に心地良い。坂を越え(下り坂だが)、谷をわたり(橋が架かっている)、万難を排してたどり着いた吉野家。オレンジの看板が相変わらずまぶしい。タマネギと牛肉を煮るあまい香りが鼻腔をくすぐる。自転車のスタンドを立てるのももどかしく、ドアを開ける。一気に香りの密度が濃くなる。もう、口中はよだれであふれそうだ。

「いらっしゃいませー! ご注文お決まりでしたらどうぞー」

…「並」だぞ。「並」と言うんだぞ!いつの間にか握った両の拳は汗でじっとりとしめっていた。

「と、特盛りつゆだく。みそ汁、半じゅ、く…くっ」
「はいーかしこまりました。特盛りつゆだく、みそ、半熟イッチョーーーっ!」

あああああああああ。言ってしまった。
またやってしまった。

 ほどなくして目の前にどしりと置かれた見慣れた大きなどんぶり。反射的に手に取りその重みにまた嘆息しきり。しかし意に反してすでに右手は箸を割り、早くも臨戦態勢を整えている。こうなったら仕方がない。俺も漢だ。喰ってやる。あとはもう、どんぶりを抱え込み、一気に流し込む。半ばまで喰ったところで半熟としょう油を流し込みしっかり味わう。

またしてもお腹パンパン。
また…またやってしまった。

 帰り道、来た道よりもがむしゃらにペダルを踏み、マンションの階段を一気に駆け上がる。
 せめて、特盛り分が燃焼されることを念じつつ。
 無駄だとは判ってるが、腹肉にはなるなと願いつつ。
 そして次こそは、絶対絶対「並」と言える度胸を持とう、と祈りつつ。

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片言隻句

今一度 せめて最後の 一杯を
この一杯がなくなれば 僕はもう終わりなんだね
まうまうさま

食べちゃったなら 歩け2時間!!
麗-reiさま


そして最後の 二杯三杯
アキラさま


あっさり食べて 嗚呼、もう一杯  3太郎
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