足の指の間が痒くなる心意気

2002年9月17日(火) 「紙切れの重さ

 朝、出勤するとき、スピード違反でケーサツに捕まった。50キロ制限の道で、ついつい76キロ出していたようだ。
 にこやかなケーサツ官達に取り囲まれ、実に楽しく朝の一時を過ごすことが出来た。くそ。

「はい、おはようございます!」
「お…おはようございます」
「急いではりますのん? ちょっと出てましたですねー、スピード。」
「え? そぉですか? あはあはあはは」
「うん。ハイ、車降りて、コッチ来てくださーい」
「は、はい…」
「申し訳ないですねぇ」
やたらと腰の低いケーサツ官。怖くなくてほっと一息するも、その柔らかさが、実は最上級の居心地の悪さだと気付くのに、さほどの時間は要しなかった。

…ケーサツに取り囲まれ次々と柔らかく訊問を浴びせられる。
「うーん、26キロオーバーですね。18,000円ですわ。あはは、災難やね」
「今日一発目ですわ、お宅さんが」
「そうそう、ココに張って、ホンマにすぐですねん。もう、張った途端ですわ」
「はい、免許証見せてもらえますか? すいませんねぇ」
「休みの日やさかい。デートでっか? うひひ」
「え? 仕事でっか? どこに勤めてはりますのん?」
「ハイ、ココに署名して下さい」
「いやーおもろい携帯ストラップしてはりますなぁ」
「ほんまやほんまや」
「えっと。ガンダムでっか? え? ザク…ふーん」
「はい、ちょっと汚れますけど。ココに左手人差し指の指紋を押して下さい」
「そやけど、雨降りそうな天気ですなぁ」
「お宅さん、傘持ってはります?」
「はい、以上です。ありがとうございました」
「じゃ、お気をつけて!」

 …さすがに「またお願いします」とは言いよらんかったモノの、まるで数人の床屋の親父に取り囲まれて、頭をいじくり回されてるような感じ。何とも気持ちの悪い中身の薄い会話を終え、車に乗り込んだときには、正直ホッとした。

 生ぬるい居心地の悪さのあとに残ったのは、しっかりと反則切符、18,000円。チクチクと栗のイガのような痛みを放ちつつ、これだけはどっしりと存在感を感じさせる。
 人との関係が希薄な分だけ、紙切れの重さは増していくのだろう。でもケーサツ関係の方とは、今後とも出来るだけ希薄な関係でいたい、と思い直しつつ、次の給料のやりくりを頭の中でガラガラポンしている。

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片言隻句

お給料 入るシリから 逃げて出る

ドンと構えて 去るもの追わず
志さま


いつの間にやら 愛も苔むす  3太郎
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