足の指の間が痒くなる心意気
2002年9月7日(土) 「初顔合わせ」 |
両家両親の初顔合わせ。これほど緊張する瞬間もない。 その初顔合わせの取り組みが行われたのは、式場に予定している芦屋山の手のレストラン。現地集合で予定時刻より少し早めについたワタクシが、一人ポツン、と土俵上ならぬテーブルで待つ。こういう待ち時間は就職試験の面接以来。なんとなく本を読むわけにもいかず、手持ち無沙汰にきょろきょろ。力水だけ飲みながらひたすら待つ。 まず彼女とご両親が花道から現れる。ホッとしたモノの、そう会話が弾むわけではない。緊張度は徐々に徐々に高まる。待つこと20分。やっとウチの両親が花道に姿を見せる。ああ、これでやっと取り組みが始められる。 「え〜。本日はお忙しいところ、わざわざお集まり頂きまして有難うございます」 Σ( ̄口 ̄;)ハッ。ワタクシはナニを口走ってるんだ。これではますます緊張をあおるばかりではないか! 「え、えとえと。まず、 「よろしくおねがいします」 「母のN子です」 「初めまして。へらへら」 …母よ母よ。なぜにそんなにへらへらできる? アナタだけは判らない。子どもの頃から判らない。 続いてわんこの両親の紹介も滞りなく終わり、さあ、コレで会話が弾む…とは行かないモノだ。なんとなく重苦しい雰囲気の中、料理が運ばれてきて行司の軍配は返った! 「え〜。どう、料理?」 「んー。ちょっと味が濃いかなぁ…」 「オードブル、少し物足りなくないですか?」 「ま、まあ、そうかなぁ…」 そんなこんなで穏やかにまったりと食事会は続く。ナイフとフォークの立てる音だけがやたら大きく響く。 食事も半ばまで進んだところで、わんこのお母さんが突如言い出した。 「まあまあウチの娘も、私たちにとってはいい娘でした。あ、でしたって、今もなのですけども。これからはどうか実の娘と思ってどうぞ遠慮無く厳しくご指導下さいませ。おせち料理なんかも教えてやって下さい。ウチではホントに何もしない娘ですからホントにお願い致します。あ。そうそうそれから…」 このお馴染みのマシンガントークで一気に場がほぐれた。ホントにうれしい一言だった。思わず涙ぐんでしまったほどに…。 「ウチは男ばかりの兄弟ですから、本当にうれしいですわ。大事なお一人の娘さんを、なんだか申し訳ないですわ」 と、母が言う。へらへらしながら。 「できればしっかりと結納の方も…」と父。 「いや。それはもう、けっこうです。指輪も頂いてるようですし」とわんこ父。 「いえいえ、それでは困ります」 「いやいや。どうぞお気遣いなく」 「いえいえやはりそれは…」 「いやいや。もう、そのお話は…」 ここで話が全くの平行線に。両者がっぷり四つ。土俵中央で組み合ったまま、一歩も動かず。 「ま、ま、ま。この話はまた後日に…」と強引に水を入れ、両者を分けた。 「とにかく、二人で好きなようにしてもらえれば」と何度も言ってくれたのはうれしいのだが、なかなか片づきそうにない問題も待ち受けていることだろう。結婚するまでも結婚してからも。 二人で一つずつ乗り越えながら、手に手を取って生きていこう。そう決意新たにできた実りある一夜であった。 |
片言隻句 がっぷりと 四つに組み合い 譲るまい そのまま動かず 水を指される 3太郎 |