足の指の間が痒くなる心意気

2002年8月19日(月) 「婚前フルコース

 わんことの結婚の時期を、早ければ年明け、遅くとも来春早々と定め、式場選びに東奔西走している。といっても、両家に縁のある神戸周辺に限定されてはいるのだが。

 彼女は以前から希望、いや願望として持っていることは「バージンロードをお父さんにエスコートしてもらう」ということなので、まずチャペルのある会場であること。次に招待客はせいぜい40名程度であり、その方々に、「スピーチなどを特にせず、のんびり食事を楽しんでもらえたら」、ということで、料理の旨いところであること。これらの条件を満たす会場をとりあえず3件ピックアップして、仕事帰りに時間を合わせて下見のために神戸をうろちょろしている。

 9月初旬に両家の両親を選んだ会場に招いて食事会を開こう、と考えているので、今週中には会場を決定しなければならない。会場決定の際にはただ単なる下見だけでなく、肝心の食事の試食も欠かせない。そういうわけで今週だけで3回もフルコースをいただくことになってしまった。

 日曜日、つまり昨日は高級おフランス料理だった。小洒落た「オーベルジュ」スタイルの小さなホテル。オーベルジュというのは例えば贔屓の料理人などの料理を楽しむため、休日にその料理人のレストランへ行く、当然お酒も飲む、ゆったり過ごすには宿泊施設もあった方が良い、という発想で生まれたスタイルらしい。「レストラン主眼のプチホテル」だと考えればよいのではないかと思う。とにかくそこでわんこと二人食事をしてきた。

 一人10,500円のコースを二つと、食前酒にシャンパン、その後グラスワイン。メニューはフランス語でよくわかんない。ただ、鯛を昆布味で仕立てた刺身風のモノがやたら旨かった(あれにキャビアと香草が乗ってなければまるっきり和食だ)。とにかくすごいボリュームで、わんこもワタクシもふうふう言いながら食べきった。特にわんこはオーダーの際に、ギャルソンから

「かなりのボリュームですが…?」

と念押しされていた「ケーキ盛り合わせ」をデザートにチョイス。まさにふうふう言いながらの完食であり、皿を下げに来たギャルソンから

「キレイに食べて頂いてありがとうございます」

と言われていた。うれしいやら恥ずかしいやら。

 お腹も満足、適度にほろ酔いで良い気分。チェックを済ませる。

「お会計、コチラになります」

ギャルソンが運んできた請求書を見る。…予想していたことだが、計算したよりも高くなっている。その額30,376円。一人分のディナーが10,500円のはずだったが…サービス料と消費税が全くイイ味出してくれている。給料日前でカネがない。と言うよりもむしろ忙しくて銀行へ行けなかった。現金所持額は二人あわせて2万と8千と658円。一瞬脇の下を冷たい汗がつたう。

「このカード、使えます?」
「ええ、大丈夫です」

普段あまりクレジットカードは使わないようにしているのだが、事ここに至っては仕方ない。かわいいわんこを人質にして、皿洗いなどさせるわけにはいかないではないか。


 そして今日も今日とて神戸で和洋折衷のコース料理。そして金曜日には芦屋でまたも高級おフランス料理。結婚前に文字通り一財産「食いつぶして」しまうような勢いである。
 財布はやせ細る。そして肥えるのは…どうか舌だけであって欲しいものだ。

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