足の指の間が痒くなる心意気

2002年8月17日(土) 水虫との闘い」

 まずは「昨日の心意気」をどうぞ。


 そして次の日からワタクシは中学生としては暴挙とも思える行動に出るのであるが…

 校門に至った時点で当然のように教師にとどめられる。

「おい、お前。何じゃその格好は?」
「ええ。ちょっとワケアリでして」
「な〜にがワケアリじゃ? どんなワケなんじゃ、コラ」
「はい。実は水虫がひどくって…」
「…そうか。それはしゃあないのぉ。ワシもそうやしのぉ。がっはっは」

 呼びとどめられるのも当然であろう。その時のワタクシは、学生服(夏服)の下に下駄を履いてきたのだ。当時の中学校の校則では「履き物は白いズック靴」と明確に規定されており、明らかに下駄は校則違反である。それにしても水虫を患うと何故か人は豪快な笑いを身につけるらしい。

 靴箱に履いてきた下駄を入れ、校内での上履きに履き替えるのであるが、ワタクシは上履き用のツッカケを持参していた。友人たちにも奇異な目で見られる。

「お前、どないしてん? 怪我でもしたんか?」
「上靴盗まれたんか? まさか、イジメか?」
「ちゃうちゃう。水虫や、水虫!」
「おー。水虫!」

 そうこうしているウチに授業が始まる。教室に入ってきた教師―担任の女性教師だ―もワタクシのツッカケに気が付く。

「あなた、どうしたの? 上靴は…?」
「はい、実は水虫でして」
だんだんこう答えることに羞恥が無くなってくる。不思議なモノですでに快感ですらある。
「そ、そぉ。じゃあ、いいのかしら?ねぇ?」

なんとなくうやむやになってしまう。
その後も教室に来る教師、来る教師はほぼ一様に
「そうか、しゃあないのぉ。がっはっは」
「しかたないなぁ、まあ、なるべく靴履けよ」
という水虫容認派教師であった。


次の朝。登校時に出会った友人は下駄履きであった。

「おお、お前も?
「そう、俺も俺も。がっはっは」

がっちり握手をし、共に肩を並べ学校に向かう。見ると同じクラスの男子の3分の1ほどが下駄履きになっていた。校門で次々呼び止められ、口々にお決まりの文句を教師に言う。

「水虫です」
「先生!ボクも水虫です!」
「しゃ、しゃあないのぉ。がっはっは…」

ツッカケ履きだらけの教室は、すでに異様とも言える雰囲気に包まれていた。

「お前も!?」
「俺も俺も!」
「がっはっは」
「がっはっは」

しかし、下駄履き水虫野郎どもを恐怖のズンドコにたたき落とす事態が2時間目に待ち受けていたのである。2時間目は…体育だった。替えの靴など持ってくるほど頭の回りがよいわけはずがない。恐る恐る下駄履きで校庭に整列する水虫野郎どもの様は、さながら「尋常高等小学校」という雰囲気である。

「センセーッ。下駄です。ごめんなさい…」

案の定一列に並ばされ、体育教師のビンタを受ける水虫野郎たち。よほどビンタが効いたのであろう。次の日からは下駄履きで登校してくるヤツはすっかりなりを潜めたのある。

 「水虫クン」「白癬菌」「田舎っぺ大将」などと揶揄されながらも、がんばって下駄履きを続けていたワタクシを含め数人の重症患者も、秋の訪れを待ちかねたように靴を履き、かくてまた再び靴の上から足を掻く「隔靴掻痒」な日々に戻っていくのであった。

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片言隻句

下駄履きで ガハハと笑うは 水虫クン

笑う門には 福来たるか?
まうまうさま


もしくは金ない 大学生
朔月さま

カユカユ泣けるぜ サンタロちゃん
麗-reiさま

さてはカユくて 気がフれたのか?  3太郎
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