足の指の間が痒くなる心意気

2002年8月14日(水) 「こどものケンカ

 今日はお盆にちなんで少し郷愁に満ちあふれた話を。

 ワタクシには三つ離れた弟が居る。

 兄弟顔付き合わせれば、お決まりのように兄弟げんかなるモノを、ほぼ日常茶飯事的にやっていたものだ。おやつの取り合いからチャンネル権の争奪、じゃんけん(関西では「いんじゃん」と言った)の後出し疑惑やら、なんやかや。
 腕ずくでケンカすると兄貴であるワタクシが勝ってしまうので、そこはそれ、理性的に口げんかに終始するのだ。

 子どもの語彙というモノはたかが知れている。比較的悪口の語彙は多いとはいえ、それでもホンマに文字通りの「子どものケンカ」であり、それ以上でもそれ以下でもないそんないさかいを、よく毎日飽きずに続けていたモノだ。

「アホ!」
「ボケ!」
「カス!」
「ハゲ!」
「デブ!」
「ミミゲ!」
「チンゲ!」

…最後の方になってくると、いや初っ端からもはや意味不明。実に不毛である。言うならば一種の根比べであり、如何に汚い言葉を瞬時に吐き続けることができるか、という脊髄反射の世界なのだ。もちろん今なら「ハゲ」「デブ」などと言われようものなら本気でグーパンチを繰り出してしまうだろう。

 さしずめ今の語彙力ならばずいぶん違ったケンカになっているだろう。

「思考停止!」
「痴呆!」
「社会不適応者!」
「若年性薄毛!」
「体脂肪率30%超!」
「耳毛!」
「陰毛!」

 あまり変わらなかった…


 しかしこんなケンカでも毎日していると、子どもとは言え、徐々にではあるが語彙力は確実に増してくる。

「アホ!」
「『アホ』言うモンが、アホじゃ!」
「『アホ言うモンがアホ』言うモンが、アホじゃ!」
「『アホ言うモンがアホ、言うモンがアホ』言うモンが、アホじゃ!」
「『アホ言うモンがアホ、言うモンがアホ、言うモンがアホ』言うモンが…」

…やはりどこまで行っても不毛である。

 そしてあるケンカの際、ついに弟は言ってはならない一言を言ってしまった。

「おまえの母さんデベソ!」

 この一言が招いた母の強大な軍事力の介入により、弟は無惨な惨敗を遂げたのである。
 それ以来、辺りを見回しながら小声で言い合いをする、という奇妙な光景を繰り広げる、端から見たら実に気持ち悪い兄弟になっていくのであった。 

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