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生姜(しょうが) お屠蘇 お薬できるまで

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生姜(しょうが) ショウガイラスト

生姜は、ショウガ科の多年草植物で、インドからマレーシアにかけての南アジア原産です。中国では漢方薬の原料として古くから利用され、日本に渡来したときも薬用とされていました。

成分

辛味成分(ジンゲロールなど)、芳香成分(ジンゲベレンなど)、ビタミンB・C、カルシウム、カリウムなどが含まれています。たんぱく質分解酵素や、うまみ成分のグルタミン酸が含まれていて、生姜につけておくことで、肉を柔らかくしたり、おいしくしたりします。

作用

抗酸化、食欲増進、消化促進、健胃、解毒、鎮咳、鎮吐、殺菌、消臭、保温、血管拡張、発汗、解熱、消炎作用などがあります。

効能

風邪のひきはじめ、咳止め、腹痛、胃炎、食欲不振、神経痛、冷え性、吐き気、滋養強壮、乗り物酔い予防によいです。

使い方

『風邪のひきはじめには』
◆生姜湯に刻みねぎ、ハチミツを加えた物を飲むと、汗が出て熱が下がり、風邪の諸症状が緩和されます。
◆咳、喉の腫れ・痛みなどには、生姜のおろし汁を布に塗りつけ、喉に湿布すると効果的です。

『痛みや凝りのある場合』
◆生姜湯にタオルを浸してしぼり、肩こり・関節痛の部分に当てておくと症状が軽くなります。冷えたらタオルを取りかえ、20分ほど続けます。1日数回行うと効果があります。


生姜湯の作り方

生姜をすり下ろし、おろし汁に熱湯を注ぎます。

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お屠蘇の話

 お正月の風習の1つであるお屠蘇についてお話しします。
 まずは、名前の由来ですが・・・屠は、「ほふる」と読み、相手をやっつけるという意味、また、蘇はよみがえるという意味ですから、邪(鬼)気を振り払い、心身を目覚めさせてよみがえらせるということで名付けられたといわれています。

もともとお屠蘇は、中国の名医が調合した薬が始まりといわれています。日本には奈良時代に伝わり、平安時代から行われ、江戸時代に一般に広がったようです。
 薬草を薬として使えるようにしたものを生薬といいます。当時は、数種類の生薬を家々で調合して三角袋に入れ、大晦日に井戸に吊るしておき、元旦に若水(元旦の朝に初めて汲む水)に浸した後、お酒で煎じていたようです。そして、一家揃って、年少者から飲み回すのが正式で、そのため、飲みやすいようにみりんを加えることもありました。
 水道が普及してからは、井戸に吊るす風習もすたれ、配合されている生薬の種類も少し減って、現在では、5種類の生薬が配合された「屠蘇散」がよく売られています。


屠蘇散の材料
 白朮(びゃくじゅつ)
 山椒(さんしょう)
 桔梗根(ききょうこん)
 肉桂皮(にっけいひ)
 防風(ぼうふう)
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キク科の植物 おけらの根
さんしょうの実
桔梗の根
にっけいの樹皮 シナモン
ぼうふうの根

 屠蘇散に含まれる生薬は、胃の働きを活発にする作用や解熱発汗作用、鎮静作用のあるものが多いです。これらの効能から考えると、胃腸の働きを整え、消化吸収を促進したり、また、体を温め風邪を引かないようにする効果のある薬用酒ともいえます。しかし、元旦にほんの少し口にするだけなので、薬用酒としての効果よりも、お屠蘇を飲みながら新たな気持ちで、その年の家族の健康を願うということが、意味のあることだと思われます。
 さて現在でのお屠蘇の作り方ですが、みりんを少し入れたコップ1〜2杯のお酒に購入してきた屠蘇散の袋を入れ、大晦日の夜から一晩浸しておきます。お酒の苦手な人や子供には、みりんだけでも代用できます。

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