かわらばん1998年 秋号のメニュー
「季刊誌」一周年を迎えて ああ、憧れの富士登山 豆知識@「尿検査薬について」
豆知識A「これは便利!!お茶の賢い活用法 ハロウィンとかぼちゃ 上手なお薬の飲み方

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 サンエイ薬局が、皆様にお薬についてのいろいろな情報をお伝えするために、季刊誌「サンエイかわらばん」を発行してから一年になりました。この間にも、医療保険制度の改正など、医療業界もめまぐるしく変化していきます。
 わたしたち薬剤師も、これまでのお薬を調剤し、お渡しする役割から、患者の方々の「薬歴管理」やインフォームド・コンセント(十分な説明と同意)に基づいての服薬指導、そして、これからの高齢化社会に向けて、在宅で療養されている方々や介護されている方々を支援し、高齢者のQOL(生活の質)を高めるための業務も行うようになってきました。サンエイかわらばんでもお知らせ致しました在宅患者訪問薬剤管理指導もその一つです。
 サンエイ薬局が、地域の「かかりつけ薬局」として、この薬局を利用される皆様が必要とされますサービスを提供できます様、社員一同頑張ってまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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(この記事は、薬剤師のSさんが富士登山に行かれた時のレポートです。)

 「一度富士山に登ってみたいと思っているの。」「え?私も登りたいんです!」こんな他愛無い会話が現実に。自分の娘より年下のMさんと意気投合。手続きはMさんにすべてお任せ。周囲の心配をよそに胸の高鳴りは隠しきれません。山登りは初めてのMさんは若さで、大学時代私は信州の山々を縦走した自信?を密かに抱いて明石を出発。団体バスに乗って一路、富士山へと旅立ったのでした。
 到着したのは山梨県富士吉田市。今回はここからの登山となりました。バスは河口湖から五合目(2,034m)へ。天候は時折り小雨がパラつき、大きな黒雲が風に流され、太陽が見え隠れ、何か悪い予感が頭を掠めました。小学校の運動場位の空き地に、バスで運ばれてきた50人くらいのパーティが10余り、色とりどりのアノラックに身を固め、その賑やかなこと。まるで富士銀座といったところでしょうか。
 夕方6:30、老いも若きも連れたっていよいよ出発。2列になって歩いていく。4〜5mの幅に火山岩を小さく砕いた道を歩くと、脇の草木が目に入る。まだ、六甲山で見る草木と変わりない。30分程歩くと、いつしか大木というほどの木はなくなり、草が強い風に吹かれ、ひとつの方向に曲がって花が咲き、荒れた砂地にしっかりとしがみつくように根をおろしている。
 しばらく歩いて行くと、心配していた雨もどこかへ行き、周囲はいつの間にか薄暗くなってきた。上を見ると、ここまでおいでと言わんばかりに赤黒い山肌が立ちはだかり、目を下にやると、どこかの街の灯がポツポツと見える。黙々と歩き続け、六合目の少し上で休憩。Mさんは若いだけに、力強い足取りでいつも私の前方を歩いていた。2週間程前、NHKで見た「登山の楽しみ方」を思い出し、休憩時にはキッチリと水分補給を行う。
 いくつものパーティが登っているのではぐれないよう先頭には五合目から加わったベテランのガイドのAさんが、また、しんがりには添乗員のDさんがしっかりと守ってくれる。さらに、一歩一歩頂上に向かって30分歩いて立ち止まると、山裾の街の灯がまるで黒いビロードの上に宝石を散りばめたように眺められ、これぞまさしく100万ドルの夜景を実感。また、どこからともまくドーン、ドーンという音がして、あちこちから「雷かしら?花火みたいよ!」と言った声が聞こえる。実は、8月1日は年に1度の山中湖の花火大会だったとか。光が輪になって湖面に散ってゆく様子は筆舌に尽くし難い。
 七合目のトモエ館という休憩所で1時間の仮眠をとり、服を1枚着込んで出発。ここの標高が3,230mということなので、まだまだ先は長い。七合目近くになると、さすが大小のゴツゴツした岩肌が目立ち、上げた片足の降ろし場所を捜すのが大変。たちまち大渋滞となった。道の傾斜は急となり、端には鉄の鎖が設けられていて、ついそれに手を添えてしまう。疲れもピーク。山上の灯が近くに見えてもなかなか辿り着けない。これが昼間だったら岩磐の熱気で暑い思いをしたであろうし、なによりも下を見ると恐かったであろうと思う。夜の登山で正解だった。八合目に近付いた頃、急に風が強くなり雲が広がったと思うと直ぐに真っ暗になった。道端の安全灯と私達の持つ電灯だけが頼りとなった。それからの1時間は本当にキツイの一言でした。急変した天候も、強風に加えて冷たい風が容赦なく私達の身体に叩きつけ、台風並の物凄さ。一歩でも踏み出せば吹き飛ばされそう。連れのMさんは「寒くて凍え死にそう。」と言う。気温12度なのだが、風があるので体感はもっと冷たく寒く感じる。頂上まで1時間半、あと370mへ。を残して断念。残念だった。次回は必ず頂上まで登って御光来をーという思いを残して、帰路は河口湖の温泉で汗を流し、山頂に笠雲を冠った日本一の富士山に別れを告げた。

所要時間
登り 時間 下り 時間
新五合目 新五合目
1時間 55分
六合目 六合目
1時間20分
七合目
1時間20分 2時間
八合目
1時間20分
本八合目 本八合目
1時間30分 40分
山頂 山頂

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豆知識@「尿検査薬について」

 市販の尿検査薬でよく利用されるのは尿糖と尿たんぱくです。いずれも試験紙に尿を浸し、色の変化で判定するタイプです。尿糖の場合は、尿糖値が1dl中に100mg以上で陽性と判断され、糖尿病などにかかっている可能性があると考えられます。ただし、食事をした直後や激しい運動をした後、さらにストレスをためこんでいるときにも尿に糖がでることがあります。
 尿たんぱくのほうは、1dl中30mg以上で陽性と判定。この場合は、腎臓病などの病気が疑われる他、激しい運動や入浴後、興奮後や発熱時に限ってたんぱく尿のでる機能性たんぱく尿という良性の(心配のない)たんぱく尿であることもあります。判定は尿のペーハーなどによって結果が左右されることがあり、たとえ陰性でも体調が思わしくないというときは、やはり医師の診断を受けるべきです。

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豆知識A「これは便利お茶の賢活用法」

茶殻の脱臭剤 飲み終わった後の茶殻をよく乾燥させてガーゼに包み、冷蔵庫やくつ箱、洋服ダンスのすみに入れておけばいやな臭いもスッキリ。
生臭み消し 青魚独特の生臭みの解消には茶洗いを。冷ました茶汁を青魚にかけてさっと洗うだけでOK。また肉や魚料理をした後は両手で茶殻を揉みながら洗うと、さっぱり。
おむつかぶれ、あせも 冷ました茶汁にガーゼを浸し、軽く絞って拭くと効果あり。寝たきりのお年寄りの肌の洗浄にもお勧め。
入浴剤 少し古くなったお茶の葉は、ガーゼに包んでお風呂に入れると入浴剤に早変わり。豊かなお茶の香りで心身ともにリラックス。体も温まります。

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 10月31日はハロウィンです。ちょっと前までは、ハロウィンといってもなじみが薄かったですが、最近はシーズンになるとかぼちゃのオモチャを見かけることも多くなってきました。
 この習慣の起源は、古代ケルトの祭り。10月31日に夏が終わり、11月1日に新しい年と冬が始まるのを迎えるもので、この夜は悪い霊や悪魔が地上に迷い出ると信じられたとか。
 そして、先祖の霊を導き悪魔を追い払うため、盛大な火祭りが行われたそうです。
 現在ではハロウィンは子供のお祭りで、特にアメリカで盛んです。さまよう悪い霊や悪魔などの「おばけ」の扮装をして、仮装行列のようにみんなで近所の家を回りお菓子をもらいます。
 ところで、ハロウィンに欠かせないのが「かぼちゃ」です。残念ながら日本でのかぼちゃの旬は6月から7月ですが、丸のままなら冷暗所で冬までもちますし、今では年中市場で売られています。
 「冬至にかぼちゃを食べると長生きする」と言われビタミン、カロチンなどの豊富な栄養価の高い緑黄色野菜です。
 良いかぼちゃの選び方は、大きさのわりには重く、皮が硬くて爪が通らない物を。カット売りのものは、種子が充実しているものが良く、果肉の色が濃いものの方がカロチンが多く含まれています。
 料理方法としては、煮物が代表的ですが、パイやプディングなどのお菓子やソテーやスープに、身近なところでは、みそ汁の具にしてもおいしくいただけます。
 栄養価が高く繊維質も多いかぼちゃ、今晩のおかずの一品に加えてみてはいかがでしょうか。

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 急に病気になったときのために救急箱を備え付けてある家庭は多いと思いますが、その薬などをよりよく用いるために考えていきましょう。

救急箱に備えるお薬について
 救急箱に備えるお薬(家庭常備薬)は、医者にかかる必要のない軽い病気のためのものや、医者にかかるまでの応急手当に必要なものを中心に考えます。また、家族構成や近くに医院や薬局があるかどうかによって備えるべき薬や用具の種類や数量が異なってきます。

救急薬の保管について
 薬のほとんどが日光や湿気、高温を嫌います。こういった条件下では変質して効果がなくなったり、有害な作用をもつようになったりすることもあるので、そういう場所を避けて保存するようにしましょう。また、乳幼児の手の届かないところに置くことも大切です。
 有効期限の切れた薬は廃棄し、新しく補充しなければなりません。(市販の薬の有効期限は薬の包装してある外箱、あるいは薬が入っている容器に書かれてある場合が多いです。)有効期限がわからなかったり、表示されてなかったりする薬でも、1年が過ぎたら新しいものと交換した方がよいでしょう。

救急薬の飲み方について

  1. 使用書の記載に従って、どういう時に用いるのか、1回の使用量、1日の使用回数などを正しく守ります。用途を間違えたり、使用量や使用回数を増やしたりすると、思いがけない副作用が出たりします。
  2. 救急薬を用いてもなかなかよくならなかったり、逆に悪化したときは直ちにお医者さんに診てもらいましょう。
  3. 以前の病気の時に、医者からもらった薬がよく効いたからといって、使い残しの薬を救急箱の中に加えるのはとても危険です。医者は病気の程度や患者さんの様子によって薬を処方していますから、自分勝手に服用すると、思わぬ副作用が出ることがあります。
  4. 飲み合わせに注意しましょう。
    • 2種類以上の薬を併用すると相互作用が現れやすくなります。薬を併用する時は、薬剤師に相談してみて下さい。
    • アルコールと併用しないで下さい。市販の薬であっても、かぜ薬など神経に働き掛ける薬はアルコールと併用すると副作用が現れやすくなり危険ですので併用しないようにしましょう。
    • 水、白湯で服用しましょう。薬は、基本的には水か白湯で服用して下さい。水、白湯以外のもので飲むと様々な結合物を作ったり吸着したりして効果が現れにくくなったり、強く現れたりすることがあります。とはいえ、場合によっては水以外で服用することもあるかもしれません。あらかじめ薬との相性の悪い飲み物を薬剤師に尋ねてみてはいかがでしょうか。

 ★副作用について

  1. 痛み止めを服用すると胃が痛くなったり、かぜ薬を服用すると眠くなるようなことがありますが。こういった副作用は普通にみられることなので仕方ないことですが、例えば、痛み止めを服用する場合、空腹時は避けて服用するとか、胃薬を併用するなどの対策があります。
  2. アレルギー性の副作用というものがあります。アレルギーとは体に本来存在しない物質を体に入れた時、体がそれに対して過敏な反応を起こすことです。このアレルギー反応でよくみられるのが発熱と湿疹、かゆみです。薬を服用していてこのような症状が現れた時には、薬の服用を中止してお医者さんに診てもらうか、薬剤師に相談してみて下さい。ちなみにアレルギーは特殊な体質の人だけに現れます。しかし、ある人が全部の薬に反応を起こすことはありません。
  • 以上いろいろ書いてきましたが、少しでも参考になり、薬を服用する時に上手に薬とつきあっていただけたらと思っております。

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