基礎食品化学のーと 12


食品の分析

  1. 単位

    体積       L  (リットル) 小文字の l は,数字の1と間違いやすいので注意  ( SI では, m3)
    質量       kg
    重量%      質量パーセント濃度   例   5% (w/w)
    容量%      体積パーセント濃度   例   5% (v/v)   (注) 5mLの溶質に溶媒を加えて100mL
    重量/容量%       例   5% (w/v)   (注) 5g の溶質に溶媒を加えて100mL
    モル濃度     mol / L 容積モル濃度  溶液1Lに含まれる溶質のモル数
              よく使う M (モーラー)は,SIでは認められていない.
    エネルギー    kcal カロリー(=4.184 kJ)
    食品のエネルギー換算 

  2. 水,試薬 目的に応じた純度の水,試薬を使う

    逆浸透膜水     化学的には純度は高くない
    蒸留水       低沸点物質が含まれる
    イオン交換水    中性分子 有機物が含まれる
    再蒸留水      酸化剤を使い有機物を分解して蒸留
    超純水       フィルター,活性炭を組み合わせ,イオン交換樹脂を連続循環させる.

    試薬は,純度の維持と保管が大切
    毒物及び劇物取締法
    化学物質安全性データシート(MSDS)

  3. 容器,器具の材質

    ガラス       パイレックスガラス(硼ケイ酸ガラス)  カリウム,ナトリウムの溶出がある
    ポリエチレン    化学的に安定 可塑剤   HDPE,LDPE
    ポリプロピレン   化学的に安定 比較的透明 低温脆性 可塑剤
    テフロン      化学的に超安定  耐熱性
    その他      ポリスチレン,PET ,ポリカーボネート,塩化ビニル
    金属       (ステンレス,ニッケル,アルミ,銅,チタン,鉄,白金)
    セラミックス

  4. 前処理

    適切な前処理なしには,信頼のおける結果はえられない.特に生体中に含まれる物質は,共存する他の物質の影響がある.

    機器分析を行うためには,試料は溶媒に溶解するか,気化可能な状態でなければならない.固体のまま分析する方法は限られている

    試料の保存   ガス透過性の低い容器, -30℃以下

    水分の保存   水分は失われやすい. 見かけ上組成が変わる

    粉砕       ローラーミル,コーヒーミル,乳鉢,フードプロセッサ,ホモジナイザー

    抽出       ソックスレー,レーリッヒ,分液ロート

    分離       ろ過,遠心分離,エバポレーター

  5. 機器分析

    機器の調整と分析条件を守ることで,感度,再現性,時間などを向上させ,定量定性分析,多成分分析などが可能になる

  6. クロマトグラフィ


    図 カラムによる分離のしくみ


     表 クロマトグラフ法の主な種類 ペーパークロマトグラフィ
    薄層クロマトグラフィ(TLC)
    高速液体クロマトグラフィ(HPLC)
    高速液体クロマトグラフィ-質量分析計(LC-MS)
    ガスクロマトグラフィ(GC)
    ガスクロマトグラフィ-質量分析計(GC-MS)
    サイズ排除クロマトグラフィ(SEC, GPC)
    イオン交換クロマトグラフィ(IEC)


  7. HPLC

    カラム (サイズ排除,分配,イオン交換)によって分離
    検出器  分光光度計 蛍光光度計 示差屈折計 電導度計 質量分析器

  8. GC

    低沸点化合物 あるいは TMS化により気化可能物質に変換
    カラム によって分離
    検出器  TCD FID ECD PID 質量分析器

  9. GC-MS


    カラム によって分離し,セパレーターを介して,質量分析器
    定量と定性が同時に短時間でできる



    図 生物理工学部のGC-MS

  10. 原子吸光分析


    金属元素の微量分析



    図 原子吸光分析計



参考文献
5訂 増補 日本食品標準成分表,分析マニュアル,建帛社,2006,東京


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