基礎食品化学のーと 6B
糖質を主成分とする食品
吸収され,代謝され,エネルギー源となる.分解,代謝するためには,対応する酵素が必要.
吸収される糖質 デンプン,ショ糖,乳糖,マルトース,フルクトース,グルコース,グリコーゲン.エネルギーとしては,4.0 kcal/g (97 %の利用効率)
腸内細菌により発酵されてから吸収される糖 オリゴ糖類,エネルギーとしては,1.9 kcal/g (45 %の利用効率)
大半が腸内細菌により発酵されてから吸収される糖 マルチトール(マルトースの還元体),パラチニット.甘みがあるが,血糖値を上げない.エネルギーとしては,約2 kcal/g
吸収されるが代謝されない糖 エリスリトール,エネルギーとしては,0.28 kcal/g .カロリーが低い糖質甘味料
味としての甘みは重要であり,我々にとって食料であるかどうかの判断基準である.スクロースは,すぐれた甘み物質であるが,口内の微生物のエサになると虫歯の原因になる.ブドウ糖は,口内微生物のプラークの原料にもなる.
食物繊維は消化されないが,さまざまな整腸作用がある.(ちゃんとたべたほーがよいよ)オリゴ糖は,ビフィズス菌にとって優先的にエサになるので整腸作用が大きい.水溶性食物繊維は,浸透圧が上がる.
食品の乾燥を防いだり,αデンプンがβデンプンに戻るのを防ぐ.
食物繊維,糖アルコール,オリゴ糖は,様々な物理的化学的性質を持っている上に難消化性であることから食品の添加物として利用される
海草などに含まれる多糖類は,増粘剤として食品添加物に利用させている.アイスクリーム,菓子類,ソース,発酵乳,その他多数.
デンプンは,らせん構造をしているが,十分な水とともに加熱すると,分子内で結合している水素結合が解け,らせん構造が壊れる.これがアルファ化といわれる.デンプンのらせん構造がこわれ水が水和している状態になり酵素による分解がしやすくなる.アミロペクチンは,枝別れした部分がらせん構造になっていることに加え,結晶化している.この結晶構造も加熱によって壊れる.
いったんアルファ化したデンプンは,そのまま放置すると徐々にもとの構造にもどっていく.(ベータ化).これを防ぐためには,高温で調理し,水分を10%以下にする.せんべい,ビスケットなど.
種類 | デンプン粒径 (μm) | アミロースの割合(%) |
小麦 | 2-45 | 17-27 |
大麦 | 5-40 | |
米 | 3-8 | 16-17 |
トウモロコシ | 5-25 | 20-28 |
ジャガイモ | 15-100 | 22 |
ジャポニカ米 (短粒米) 粘りけがある
インディカ米 (長粒米) パサパサ感
デンプン 約70-80 % うるち米,もち米
タンパク質 約7 %
脂質 約1.2 %
デキストリン 約1 % (グルコースのオリゴマー: α1,4-グルカン)
単糖 約0.5 %
繊維質 約0.3 %
水分 約15 %
その他 %
お米の中には,もともと α-アミラーゼと β-アミラーゼが存在している.α-アミラーゼは,50℃で最も活性が高いが,90℃をこえるとで失活する. β-アミラーゼは,温度の上昇とともに活性は低下するが,お米を洗っているときにも働いている.また,炊きあがった後の蒸らしの間には,別のβ-アミラーゼが働いているとされている.(おいしいご飯の炊き方や焼き芋の作り方に関係しているのでアル)
水洗い 3-4回程度. やりすぎると栄養が低下する.水分を含むことで,酵素が働き始める.
水かげん 体積の1.2倍(もしくは米の重量の1.5倍).30分(夏)から120分(冬)つけおく.
加熱 8-12分で沸騰させ,20分程度維持する.最後に余分な水分を飛ばす.
蒸らし 温度が下がらないようにして,20分維持する.
清酒
麹の生成する酵素によって,デンプンの糖化がおこり,それと平行して酵母によるアルコール発酵が進む.非発酵性の糖やタンパク質が分解して生じるアミノ酸,エステル類などにより,味や香りがつく.アルコール濃度は20%に達する.
小麦粉
表 小麦粉の種類と用途種類 | タンパク質 | 用途 |
強力粉 | 11.8-12.5% | パン,そばのつなぎ |
準強力粉 | 11-12% | 生中華,菓子パン |
中力粉 | 8.5-10% | うどん,即席麺,クラッカー |
薄力粉 | 7-9% | ケーキ,ビスケット,天ぷら |
デュラムセモリナ | 12.5% | マカロニ,スパゲッティ |
大麦
大麦に水を浸漬し,発芽させ,乾燥させたものを麦芽という.発芽によって,αアミラーゼ,βアミラーゼを含む.デンプンをアルファー化し,麦芽を加え,55-60℃に保つと,水飴ができる.
ビール 粉砕した麦芽にホップを加えて煮沸して麦汁を作る(静置してタンパク質を沈殿させる).酵母を加え発酵させ,低温でさらに後発酵させる.
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