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第21話 「ど」

第15話で、強調表現を説明しましたが、今回は、名詞を強調する表現で、「ど」を取り上げたいと思います。

とはいえ、現在では、「ど真ん中」や、「ど根性」、さらにはプリンタのCMでも「ど綺麗」が使われているなど、関西弁というよりも、標準語になった感が強い言葉でもあります。

名詞を強調する表現には、標準語にも色々とあり、「真」や、「超」などが代表的です。ただ、「真」は、この言葉のイメージ通り、「真水」、「真四角」、「真正面」など、何らかの正確さ=A純粋さ≠表現する場合でないと使いづらく、「超」も、「超大型」や「超能力」、「超人」など、文字通り、何らかの基準を超える¥鼾にしか使えません。

ただし、「超」の場合は、「超綺麗(チョーきれぇ)」、「超びっくり(チョーびっくりぃ)」などの形でも使われだし、この使われ方に眉をひそめたり、不快感をあらわにする方もおられながらも、依然として、テレビなどでも使われ続け、かなりの市民権を得た表現になりつつあるようです。

そんな中、先のプリンタのCMの例でも出したように、従来なら、まず、使われることのなかった、「ど綺麗」などといった表現が、使われだしてきました。元々、「ど」は、「どアホ」、「どケチ」など、あまりいい意味では使われていない場合が多く、「ど≠ャつい」表現なので、全国的には、この「ど綺麗」という表現にも眉をひそめる人が多いのでは?という印象があるのですが、実際のところはいかがなのでしょうか?

私自身は、インパクトのある強調表現として、結構使用する言葉なのですが。

なお、関西弁で「どつぼにはまる」という表現があるのですが、これは、「つぼにはまる(自分の好みにぴったりと当てはまる、といった意味で使われている慣用句)」を強調した表現というわけではなく、「どうしようもなくひどい状態に陥ってしまう」という意味なので、勘違いしないようにご注意ください。ちなみに、汚い話で恐縮ですが、関西弁でどつぼ≠ニいうのは、いわゆる肥溜め≠フ意味になります。

ここにはまるのは確かに、人生において最大の不幸といえるかもしれません。その意味では、上品とはいえないものの、かなり的確な比喩表現といえるのではないでしょうか?

2002/08/15

第22話 まんまんちゃんあん

今回は、ちょっと変わった言葉の、「まんまんちゃんあん」を。

正確には、「まんまんちゃん、あん」で、「まんまんちゃん」と「あん」は別の言葉になります。

まんまんちゃんというのは、仏様のことで、あんというのは、その前で手を合わせてお祈りすることを表します。

基本的には幼児言葉で、「まんまんちゃんにあんしぃやぁ」、などということを言われると、小さい子供がトタトタとお仏壇の前までやってきて、そこで正座しながら、まんまんちゃんあん、と言って手を合わせたりします。

私の祖父母がかなり信心深かったこともあり、我が家には仏壇があって、私も小さい頃に、祖父母からそう言われて、まんまんちゃんにあんしていた記憶が残っています。時代は巡り、私の姪っ子、甥っ子も、私の母や姉からそう言われて、ちょこんと神妙な顔をして仏壇を拝んでいますね。

もっとも、子供にとっては、お祈りするというより、ロウソクでお線香に火をつけて、それをお仏壇に供える行為が楽しいみたいですが。普段、危ないので火はいじらせてもらえないのが、このときだけは堂々と火遊び≠ェできて、誉められるのだから、さぞかし楽しい行為だと思います。

まんまんちゃんは、おそらく、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」が、「なんまいだぶ」に変わり、さらにそれが、「まんまんちゃん」に変わったのだと思います。あんの方は、ちょっと語源がわからないのですが、「うん」とかの少し気合いを込めてお祈りをする様子が表されているのではないかなと思います。

また、同じく幼児言葉で、正座することを「おっちん」と言います。仏壇の前では正座するのが当たり前なので、先のまんまんちゃんの話のときには、おっちんという言葉もよくセットになってましたね。

京都は特に、昔から、仏教に縁の深い地域なので、こういった方言が今もなお残っているのかもしれませんね。なお、京都とその周辺地域独特の風習に、ちょうど今頃の時期(八月二十日過ぎ)に催される。地蔵盆≠ニいう行事があります。

地蔵盆というのは、いわゆるお盆(盂蘭盆会)の頃におこなわれる、子供のためのお祭りで、地蔵菩薩が子供の守り神であることから、お地蔵様を祀る行事になっています。このときは、朝から子供のためのくじ引きやお菓子配り、ゲーム大会などが催され、夜には夜店なども出て、一日中子供たちが楽しめる日になっています。

私が子供の頃は、盆踊りなどもあり、かなりにぎやかだったのですが、少子化の影響や、地域の結びつきの希薄化もあり、最近は京都でもだんだん寂れた行事になってきました。時代の変化といえばそれまでなのですが、個人的には、なんだか残念ですね。

2002/08/24

第23話 おまん

今回は、前回の「まんまんちゃん」になんとなく似た語感の「おまん」を。

色々な方言(土佐弁など)で、「お前(おまえ)」のことを「おまん」といったりするそうですが、関西弁(特に京都弁かもしれません)では、そういう意味では全くなく、「お饅頭(まんじゅう)」のことを「おまん」といいます。

例えば、お饅頭を買ってくるように頼むときは、「おまん、買うてきて(おまん、こうてきて)」と普通に言います。決して、変な意味ではありませんので、誤解のないように。

ちなみに、「おまんねん、おまんにゃわ」などという表現でも「おまん」が出てきますが、こちらはお饅頭とは何の関係もありません。これは、「(そうで)あります」→「おます」→「おま、おまん」に変化した、音便の一種です。元々が丁寧語の表現なので、別に悪い表現ではないのですが、かなりコテコテな表現ですので、テレビでのお笑い芸人はよく使いますが、日常ではあまり使われないように思います(「おます」は、割と聞きますが)。

「おまん」も「まんまんちゃん」や「おっちん」と同様、幼児語や、女性語の一種です。なお、余談ですが、饅頭つながりで、「豚まん」についても少しお話を。豚まんというのは、いわゆる「肉まん」のことです。総称して、「中華まん」といわれることもありますね。関西では、単に「肉」と言えば「牛肉」を指すので、肉まんではなく、豚まんというのだと思います。

余談ついでに、関西では、肉じゃがを作るときは普通、牛肉を使います。関東では、豚肉が主流だそうで、私が初めてこれを聞いたときは、びっくりした記憶があります。関西では、松坂や但馬といった、牛肉の産地が近いので、昔から、牛肉がなじみ深いモノなのかもしれませんね。カツも、トンカツだけでなく、ビフカツ(牛肉のカツ)もそれなりに食べられていますし、串カツなどは、豚肉よりも、牛肉の方が一般的なぐらいです。

さて、前回の「まんまんちゃん」の話で、例の標準語訳のある例文も書いて欲しかったというリクエストを随分といただきましたので(友人一人がそう感想をくれました)、今回の「おまん」とまとめて例文を書いておきたいと思います。

ご存じの方も多いかと思いますが、私、管理人のハンドルネームは「まんぼう」といいます。そして、「まんちゃん」などと呼ばれていたりもします。まぁ、さすがに「まんぼう」という名前のお子さんは少ないかと思いますが、漫画の主人公にもなるほどのメジャーな名前の「万太郎(*1)」や、女優の名前にもあるぐらいの「萬子(*2)」といった極々ありふれた名前があるので、子供時代の愛称が「まんちゃん」になる方も、多々おられたことだと思います。

(*1) 「さわやか万太郎」。「サラリーマン金太郎」で有名な、本宮ひろ志が少年ジャンプに連載していた漫画。主人公、万太郎の青春を描いた漫画で、時折出てくる、お姉ちゃんのサービスシーンが良。

(*2) 「紅萬子」。大阪を中心に活躍している女優。関西を舞台にしたNHKの連ドラなどにも良く出ている。

そんな子供時代に、大好物のお饅頭が山盛りになっているのを見てかぶりつこうとしたら、母親から、そのお饅頭をすぐに食べずにお仏壇に供えるよう、言われた経験が何度もあったかと思います。そんなとき、関西弁ではこう言います。

「まんちゃん、おまんは1万円分も買うて、ちゃんとあまんにゃから、すまんけどそのまんま食べてしまわんで我慢して、はよその真ん中のおまんをまんまんちゃんにあげてあんしたげてや」

<標準語訳>

「まんちゃん、お饅頭は1万円分も買ってて、ちゃんと余るんだから、すまないけどそのまま食べてしまわずに我慢して、早くその真ん中のお饅頭をお仏壇に供えて手を合わせてね」

なお、お仏壇のそばに、さんまのまんまという番組に出てくる、まんまちゃんというキャラクターのぬいぐるみがそのままにされているシチュエーションも、関西弁で考えると面白いかと思います。

2002/09/01

第24話 どんつき、上がる・下がる

掲示板で話題になっていたので、今回は「どんつき」を取り上げます。

意味の方は、すでに掲示板で書いているのですが、「突き当たり」を意味します。おそらく、「ドンと行った突き当たり」で、「どんつき」になったのだと思います。

で、さすがにこれだけでは愛想がないので、ついでに京都の市街地での住所の呼び方について、説明します。

結構、有名な話ですが、京都の市街地は南北と東西の道が格子状に通っており、その南北の方向について、北を「上がる」、南を「下がる」と言います。また、東西については、「入る(いる)」をつけて、「東入る」、「西入る」と言います。

例えば、「四条通河原町西入る」だと、四条通りと河原町通り(後の方の通り≠ヘ大体省略されます)の交差点を西に行った地点を表します。もちろん、それだけではどれだけ西に行けばよいのかわからないので、その後ろに町名と地番(例えば、真町52番地など)がつきます。

基本的には、まず、その建物が面している通りAの名前を書き、次に、その建物に一番近い、通りAに直角に交わった通りBの名前を書き、通りAが南北の場合は、ABの交点から「上がる、下がる」を、通りAが東西の場合は、ABの交点から「東入る、西入る」を使って、表します。交差点の角の場合は、どちらの通りを先に書いても構いません。

図で示すと、大体、こんな感じになります。

ちなみに、これが使えるのは、通りが格子状になっている市街地だけですので、管理人が住んでいるような、市内でも郊外では、使えません。普通の住所表示と同じ、「京都市○○区××町xxx−oo」という形になります。

ただ、普段の表現でも、道の北と南については、自然と「上がる、下がる」を使うことは多いですね。

京都の通りの名前を手鞠(てまり)歌の歌詞にした覚え方は、こちら をどうぞ。

2002/09/06

第25話 マクド

ある種、関西弁の中の大本命「マクド」を今回ようやく取り上げます。

これは、全国的にも関西弁として、かなり知られている表現だと思いますが、説明しておきますと、あの、ハンバーガーで有名なファーストフード店、「マクドナルド」の略称です。

関東では、というより、関西以外では、「マック」という略称で呼ばれる地域が多いようですが、関西では、マクドと呼びます。

そもそも、マクドナルドの略なのだから、マクドの方が自然だと私などは思うのですが・・・。それとも、普段、マックという略称で呼ばれている方は、略さない場合は「マックドナルド」とでも呼んでいるのでしょうか?

略称といいながら、元々の名前に入っていないッ≠ェ増えてしまう。実に不思議な現象です。

アメリカでは、マクドナルドをマックというのかもしれませんが、日本とはそもそもの発音の仕方が違いますし、日本でマックと呼んでいる方は、例えば、「テレビジョン」なども、アメリカ風に「(TV)ティーヴィー」と日頃、略しているのでしょうか?たいていの人は、「テレビジョン」は「テレビ」というマクドと同じ形の略し方をしているのに、マクドナルドだけ、アメリカ風の略称になるのは不可解です。

* 余談ですが、アメリカの人名の愛称で、なぜに Robert が Bob になるんでしょう?これって、「慎太郎」を「まーくん」と呼ぶようなものだと思うんですが・・・。個人的には、高校時代からのかなりの謎です。

ちなみに、関西人も、ビッグマックや、マックシェイクをビッグマクドやマクドシェイクということはありません。なぜなら、それらは、元々マックという言葉のついた商品名だからです。マクドは、あくまでもマクドナルドの略称なので、マクドというのです。なお、どうでもいい話ですが、私の母は、ビッグマックのことをいつもビッグバーガーといいます。これって、どこの家庭でもそうなんでしょうか?

では、ついでに、関西弁特有の飲食用語についても少し。これも、結構、有名らしいんですが、「アイスコーヒー」のことを「レイコー」と呼ぶ人がいます。レイコさんという、人名ではありません。ちなみに、私は使いません。普通にアイスコーヒーと言います。

どちらかというと、ちょっとヤバ気なお兄さんたちが使う言葉のように思います(単なる偏見ですが)。ですので、基本的には、知ったかぶって、喫茶店などでは使われない方が無難かと思います。

語源としては、アイスコーヒー→冷たいコーヒー→冷(れい)コーヒー→レイコーと変化しています。

また、ナンパなどのときの表現として、「お茶飲みに行かない?」というのを、「茶ー、しばけへん?」という・・・らしいです。らしいというのは、これもかなり有名な表現なのですが、私自身は、この表現が使われているのを、一度も聞いたことがないからです。

もちろん、私は男なので、ナンパで誘われる可能性が非常に少ないということもあるのでしょうが(少なくとも、現在のところありません)、繁華街の方を歩いていても、そんなナンパをしている光景に出くわしたことがありません。ナンパしていても、普通に、「お茶でも飲みに行かへん?」と関西弁で誘っている程度です。また、友達同士でいるときも、「茶店にでも行こかぁ?」と誘ったり、誘われたりする程度で、茶をしばくとはいいません。

大阪の方では、実際に使われているのでしょうか?それとも、単なる都市伝説なのでしょうか?謎を残しつつ、今回はこんなところで。

2002/09/23

第26話 ケンカ

恐い方言として、広島弁と並んで定評のある関西弁。今回はそんな関西弁のケンカにまつわる言葉のお話を。なお、地域によっては、全くケンカ言葉でなく、こういった言葉を普通の会話で使う地域(河内地方などがそうらしいです)もあるらしいのですが、とりあえず、一般的な用法として、ケンカ言葉≠ニさせていただきます。

まずは、物理的な暴力の言葉として、「どつく」と「しばく」。どちらも「殴る」や、「叩く」といった意味を表す言葉なのですが、私のイメージとしては、どつくは、拳骨で殴るというイメージがより強いです。しばくは、どちらもありなイメージですが、どつくよりは力の弱い感じです。しばくは、前回に書いた「茶をしばく」などといった表現でも使われますが、「茶をどつく」とは言いません。強調する場合には、どちらも後ろに「たおす」や「まわす」をつけて、「どつきたおす」や「しばきまわす」などと使います。

また、オールマイティーな言葉として、「いてまう」があります。「いてもうたろか」という言葉で、ボコボコにしてやる、や、場合によっては、殺してやる(実際に殺すというよりは、ヤクザの使う脅し文句ですが)などといった意味で使われます。いてまうの強調語としては、「いてこます」という言葉があります。

余談ですが、こういう、マイナスイメージのはずの言葉を、「いてまえ打線」という形で球団(大阪近鉄バファローズ)の代名詞(しかも誉め言葉として)にしてしまうところが、関西らしいところだと思います。阪神ファンも、みずから、「トラキチ」などといってはばかりませんしね。

次に、相手への呼びかけとして、「われ」、「おのれ」があります。確か、以前に人称の話でも軽く触れたと思うのですが、元々「我」、「己」からきており、本来なら自分自身を指す言葉を相手に対して使っている点が特徴です。おのれは、「おどれ」と濁ると、さらにパワーアップします。その他、別に相手が子供でもないのに、なぜか「くそがき」と言うことも多いです。使う際には、「この、くそがきゃあ」と、語尾を延ばすのがポイントです。

また、相手の動作に対して、「さらす」という言葉も使います。意味としては「する」という意味なのですが、相手のした行為に対して、「われ、なにさらしとんじゃ」などといった形で使います。「とんじゃ」は、「ているんだ」→「とるんだ」→「とんじゃ」と変形された言葉です。

また、これ自体には意味がない言葉なのですが、語調を強める働きがある言葉に、「けつかる(けつかんねん)」という言葉があります。「われ、何言ってけつかんねん」などといった使い方をするのですが、意味としては、「何を言ってるんだ」で、「けつかんねん」自体には意味がありません。丁寧語で使われる「です、ます」の様なもので、この言葉をつけることによって罵倒を表すことから、丁寧語に対して卑罵語(ひばご)という文法用語で呼ばれることもあります。標準語で言う、「〜やがる、〜くさる」みたいなものと思っていただければいいと思います。

実践編としては、「われ、なめとんのか」、「なに、さらしとんじゃ、ぼけ」、「いてもうたるぞ、われ」、「なに、言うてけつかんねん」、「おどれは、どつきまわしたろか」、という五つのパターンさえ覚えれば、これらを適当に組み合わせて、ループさせるだけで、関西弁でのケンカはできます。

パンチパーマに、紫のスーツ、白いエナメルの靴の3点セットがあれば、さらに効果は倍増。ただし、素人さんには、おすすめできません。

2002/10/12

第27話 特別企画 おでんアンケート

おでんの具の違いに、どのような地域差があるのかを調べるため、当サイトにお越しの方にアンケートのご協力を頂きました。

皆様、ご回答、本当にありがとうございました。

そこで今回は、アンケートの結果について、管理人なりの考察を述べてみたいと思います。

まず、回答内容は、こちらのとおりになっています(掲示板のログをダウンロードしたものです)。

回答人数は管理人を含めて22人で、地域の内訳は、関西地方が9人、東海・北陸地方が4人、関東地方が3人、九州地方が3人、中国地方が2人、北海道が1人となっています(出身地域と現在の居住地域が違う場合などありますが、管理人の判断で区分けしました)。

まず、共通点で見ると、大根、こんにゃく、玉子、練り物、はんぺん、がんもどき、(餅入り)巾着、厚揚げについては、大体の家庭で具材になっているようです。

ただ、この中で管理人が面白いと思ったのは、練り物を揚げたものの名称が、西日本ではゴボ天などの天ぷら系の名称であるのに対し、関東(一部東海)の方では薩摩揚げになっている点です。

関西では、海老や魚、野菜などに衣をつけて揚げたものを天ぷらというだけでなく、こういった練り物を揚げたものも天ぷらというのですが、関西だけでなく、西日本全般でもそういうようですね。それに対して、関東の方では、いわゆる天ぷらと、薩摩揚げとに区別しているようです。

また、コンニャクについては、地域差というより、家庭によって違うようですが、板状のいわゆるコンニャクと、糸コンニャク派とに分かれるようです。私の感覚では、昔から漫画でよく見る、三角の形をしたおでんのイメージが強いので、おでんと言えば、いわゆるコンニャクを思い浮かべるのですが、糸コンニャク派も多いですね。

芋類については、全国的にはジャガイモが圧倒的に多いようです。煮崩れしない里芋も多いかと思ったのですが、今回のアンケートでは、少なかったですね。

好きな具材については、大根、玉子、餅入り巾着あたりが強いようです。これは、ときおりテレビなどで見かけるアンケート結果などとも同じ傾向のようで、大体、好きなものはみなさん同じ様ですね。

地域限定ネタとしては、関西の牛スジ、関東のチクワブあたりは定番で予期していたのですが、意外なものとしては、関西でのタコ、東日本(関東・東海)での昆布巻きとつみれ、さらには、今回初めて聞いた九州の餃子天なるものがありました。

昆布巻きとつみれは、結構メジャーな具のイメージがあったのですが、今回のアンケートを見ると、西日本と東日本とでかなりはっきりと分かれました。また、上でも触れた、練り物の揚げ物である天ぷら系は、西日本の方では、定番のゴボ天以外にも、色々な種類を入れることが多いようです。タコは、関西の方ではコンビニのおでんにも入っているようですが、他の地域では、やはりコンビニでも売られていないのでしょうか?

なお、牛スジは、関西だけでなく、西日本全般で具材として使われているようですね。それ自身も美味しい上に、ダシも美味しくなりますので、管理人としてはお奨めの具材です。ちなみに、牛スジというのは、その名のとおり牛のすじ肉のことで、部位としては、確かアキレス腱の付近のあたりの筋張った固い部位だったと思います。そのままだと当然固くて食べられませんので、長時間煮込むなどして柔らかく炊いてやる必要があります。おでん以外にカレーや、甘辛く炊いてお好み焼きの具材にしても美味しいですよ。

2002/10/20

第28話 性格あれこれ

性格を表す関西弁は、いくつかあります。でも、思い出してみると、どれもあまりいい意味ではないような気も?何はともあれ、そんな関西弁をいくつか取り上げてみたいと思います。

まずは、当サイトの掲示板でも以前話題に上がった、「いちびり」。意味としては、できもしないのに調子に乗ってやったり、誰にでもできるようなことを、わざわざ自慢してやってみせたり、いい格好を見せようと、普段やり慣れないことや初めてのことを、さも昔からやっているかのようにやってみせるなど、ようは、調子乗り、格好つけを表す言葉なのですが、必ずと言っていいほどその結果には失敗≠フ二文字がついて回り、結果、冷笑≠竍冷たい視線≠浴びます。が、本人はそんな冷たい視線を浴びても、全くと言っていいほどダメージを受けず、再び同じ様な失敗を繰り返すという、図太い神経をしています。

正直、身近にいると鬱陶しい存在でもあるのですが、いないとそれはそれで寂しいという、微妙に愛されるキャラクターでもあります。自分がなるのは避けた方がいいですが、クラスの中に一人は必要なキャラクターだと思います。芸能人のキャラとしては、山崎邦正さんあたりでしょうか(彼の場合は、作られたキャラっぽいですが)。

それと似たような意味の言葉に、「いきり」があります。これも、いちびりと同じく、格好つけて色々なことをするのですが、こちらはいちびりとは違って、特に失敗のあるような行為をするわけではなく、家が金持ちで海外旅行に行ったのを自慢したりとか、学芸会や合唱コンクールなどのまとめやくをかってでて、やたら張り切って仕切ろうとしたりするとか、あるいは、俺は○○さんの知り合いやぞ、などと言って偉そうにするなど、自分の能力でもないのに、勝手に自分は偉いと勘違いして、自慢したり偉そうにしたりするキャラクターのことです。

こちらは、もちろんいちびりとは違い、100%嫌われるキャラクターです。しかし、こちらも、いちびり同様、他人の視線になどでは全くダメージを受けないので、本人は相変わらず勘違いしたまま、今日も威張り続けていることでしょう。残念ながら、このタイプもクラスに少なくとも一人はいた心当たりがあることだと思います。芸能人というか、有名人では、○○夫人などというキャラによくいるタイプです(野村某夫人など典型でしょう)。

これらの言葉は、「いちびる」、「いきる」といった形の動詞でも使われます。

また、他に、「いらち」という言葉があります。これはおそらく、「いらいらする」から来てるのだと思うのですが、「短気」という意味です。私には短気よりも、より短気そうな響きがするのですが(よくわからない表現ですが)、皆さんはいかがでしょうか?これは、文句なしに、桂ざこばさんを代表的なキャラクターに挙げたいと思います(関西以外の方はわかるのでしょうか?)。

次に、「へんこ」という言葉があります。これは、言葉の通り、「変人」と「頑固」を足して2で割ったような感じで、つまらないことにこだわったり、片意地をはったりする人です。とにかく、「変わり者」というイメージです。昔からの資産家とか、芸術家などに多いタイプですね。魚のイメージする有名人は、榊莫山さんです。

2002/10/26

第29話 〜しい

前回の話に続いて、今回も性格を表す関西弁、「〜しい」についてお話しします。

「〜しい」といっても、標準語にもある、「騒々しい」や、「悲しい」などといった、形容詞のことではありません。この場合の「しい」は、サ変動詞の連用形の「し」が、伸びたもので、実際の発音では、「しぃ」という感じになります。

では、実際にどのような言葉があるかというと、「自慢しい」や、「ええかっこしい」、「いらんことしい」などがあります。

関西弁では、サ変動詞の連用形で、その動作を繰り返しおこなう人を表し、上記の例では、それぞれ、「自慢ばかりする人」、「かっこうばかりつける人」、「余計なことばかりする人」という意味になります。なお、ええかっこ≠ヘ、いい格好=Aいらんこと≠ヘ、いらないこと≠ニいう意味の関西弁です。

しかし、サ変動詞なら必ず使えるかというと、そういうわけではなく、上であげたように、悪いイメージの動作のときにしか、基本的には使われません。

「勉強しい」や、「仕事しい」などの用法もありますが、あまり一般的ではないですし、「勉強ばかりして」、などの皮肉の意味で使われる場合も多いです。

ですので、使われる場合は、基本的には悪口であるということを頭に入れて、お使いください。

なお、余談ですが、動詞が名詞に変わる場合は、基本的に連用形が名詞になります。例えば、「話す」が「話し」に、「泳ぐ」が「泳ぎ」に、「味わう」が「味わい」などに変わる例があります。

2002/11/01

第30話 うどん・そば

食べ物ネタがなかなか好評なようですので、今回は、うどんとそばのお話を。

まずは、「すうどん(すそば)」。「すうどん」といっても、酸味の効いた「酢うどん」という意味ではありません。「素うどん」と書き、なんの具も入っていない
うどんのことを表します(何も入っていないといっても、ねぎとかまぼこぐらいは入っています)。これは、標準語では、「かけうどん」というのだと思います。

なので、例えば、学食で友達と喋っているときに、後ろで何かを吸い込んでる音がした場合、普通は小麦粉で作った団子をダシの張った汁に入れて作った食べ物、「すいとん」を食べてる姿を思い浮かべると思うのですが、そう思って振り向いたところ、パッと見ではかけうどんを食べているように見えたけれど、実はかけそばを食べていたということがわかった場合、今まで喋っていた友達に、次のように伝えることになります。

「すいとん、吸うとんのかて見たら、すうどん食うとったんかい、て思ったら、実はすぐそばですそばすすっとってん」

<標準語訳>

「すいとんを吸っているのかと見たら、かけうどんを食べてたのか、と思ったら、実は、すぐそばでかけそばをすすっていたんだよ」

次に、これはかなり有名な「たぬき」。関西では、基本的には、油揚げの入ったうどんを「きつね」、油揚げの入ったそばを「たぬき」といいます。それに対して、関東の方では、関西のたぬきは「きつねそば」といい、揚げ玉(関西では天かすといいます)の入った、うどん・そばを「たぬきうどん(そば)」と言うようです。

もっとも、最近では、関西でも「きつぬうどん(そば)」という言い方をすることが多く、「たぬき」はあまり使わない表現になってきたように思います。

また、これは未確認情報なのですが、「力うどん(ちからうどん。かうどん≠ナはありません)」というのは、関西弁なのでしょうか?焼いたり揚げたりしたおもちが入ったうどんのことなのですが、他府県にもあって、また、この呼び方をしているのでしょうか?よろしければ、ご情報、お願いいたします。

* 力うどんは、全国的な表現のようです。ご情報、ありがとうございました。

その他にも、なにか地方独自のうどん・そばネタがありましたら、お伝えくださいませ。このコンテンツで取り上げられそうなネタがありましたら、おでんのようにまとめてみたいと思います。

次に、関西弁ではないのですが、関西のうどん・そばと関東のうどん・そばとの比較として良く挙げられるのが、味付けの濃い・薄いです。もともと、全般的に関西は薄口、関東は濃口の味付けと言われるのですが、うどん・そばでは、それが特に顕著に現れるように思います。

一番の違いは、醤油の量です。関東のものは、とにかく醤油の量が多く、醤油辛いです。この辛さを関西弁で「だだ辛い(だだがらい)」と表現します。語源はよくわからないのですが、「ただただ辛いだけ」という意味から来ているのではないかと推測します。おそらく、「ダダイズム」には関係ないでしょう。

色の濃さの違い(関東のうどんのダシは真っ黒とよく言われる)については、関東は濃口醤油、関西は淡口醤油(正確には、薄口醤油ではなく、こう書いてうすくち≠ニ読ませるそうです)を使っているからと言われることもありますが、味付けの濃さは、その(色の差の)レベルを超えています。

なお、淡口醤油は濃口醤油よりも塩分濃度が高いことから(1%程度なので、そもそも大差はないのですが)、実は関西のうどんの方が塩分濃度は高いということを言う人もいるようですが(美味しんぼ≠ノも書かれていた記憶があります)、入れる醤油の量が違いますので、ダシ全体の塩分濃度は、関西のものの方が低いです( こちらを参照) 。というか、いくらなんでも、塩分濃度が関西のうどんの方が高かったら、関東のうどんが辛いなんて言いません。その人たちは、関西人の舌は馬鹿だと思っているのでしょうか?

ちなみに、結構、有名な話なのですが、どん兵衛≠竅A赤いきつね≠ニいった、カップうどん・そばでも、関東と関西で味付けを変えているそうです。

また、関西では、うどん・そばと一緒に、普通に、ごはんを食べます。これがどうやら、他府県の方には珍しいことのようですね。炭水化物に炭水化物の組み合わせなんて、という人もいるようですが、関東の方でも、ラーメンライスは普通だと聞きます。なぜ、ラーメンでは普通で、うどんでは変なのでしょうか?他にも、スパゲティにパンを食べたり、焼きそばパンなどという総菜パンも人気があるようなのですが・・・。

もっとも、この逆に、関西では、お好み焼きでごはんを食べるのが普通だという方もいるようですが(お笑い芸人に多い)、少なくとも京都では一般的ではないので、関西でというのは止めていただきたいという気持ちもあります。ま、このあたりは、関西人は一家に一台たこ焼き器を持っているというのに似た誇張表現≠ナ、悪意はないからいいのでしょうが。

私の考えでは、この食習慣の差は、先ほど書いたダシの味付けの差にあるような気がします。関西のうどんでは、おすまし代わりにゴクゴク飲めるのに対し、関東のうどんではそれがしづらいから、ご飯と一緒に食べないのではないでしょうか?一度、関東の方のご意見も伺ってみたいです。

2002/11/10

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