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第31話 ぼんさんがへをこいた

今回は、昔懐かしの遊びにまつわる関西弁の話をします。

まずは、タイトルの「ぼんさんがへをこいた」。これは、標準語の遊びでは、「だるまさんがころんだ」にあたるもので、鬼が背を向けて、この言葉を言う間に他の人は鬼に近づくことができ、鬼が言い終わって振り向いたときに、動いているのが見つかれば負け、鬼に見つからずに鬼のいるところまで行けば、鬼の負けになるというゲームです。

単に、1から10までの数字を数えるのではなく、それなりに意味のある、なんとなくユーモラスな10文字の言葉を読み上げるのが、こういった遊びの面白いところでしょう。

ただ、関西弁の「ぼんさんがへをこいた」は、実はこれだけで終わらず、さらに10文字足して、「ぼんさんがへをこいた、においだらくさかった」と続けるのが、正当な読み方です。ちなみに、この言葉の意味は、「お坊さんがおならをして、臭いを嗅いだところ、くさかった」というもので、「だるまさんがころんだ」に比べるとかなり下品な意味になるのですが、逆にこういった汚い&\現の好きな、子供らしい読み方とも言えると思います。

また、関西には京都や奈良を中心にお寺が多く、必然的にお坊さんも多くて、こういった遊びのからかいの元となるぐらい馴染みがあるというのも、こういった表現になった要因かもしれませんね。

次に、「ニッシンチョイナ」。これは正直、関西弁ではなく、私の通っていた小学校(及びその隣接区域)で使っていた呼び名だと思います。検索サイトで調べてみると、「軍艦」という名前で呼ばれている地域が多いようですね。

これは、じゃんけんの変形で、私のやっていたやり方では、グーを軍艦、チョキを沈没、パーを破裂といって表し、最初にニッシンチョイナのかけ声の後、普通のじゃんけんの勝敗で勝った方が、例えばグーで勝ったとすると、軍艦、軍艦、破裂などといって、勝った形の言葉で始め(グーで勝っているので、軍艦で始める)、最後に言った言葉の形で出し(この場合は破裂なのでパー)、相手が同じパーを出したら、相手の負け、相手が違う形を出したら、普通のじゃんけんで勝っている方が(例えば、相手がチョキの形なら、相手が勝っていることになるので、相手が手番を握る)、同じように沈没や軍艦といった言葉とともに出して、勝敗がつくまで続けるというモノです。

関西では、先に書いたように軍艦、沈没、破裂でおこなうようですが、関東の方では、軍艦、朝鮮、ハワイのかけ声でおこなう地域が多いようです。

これは、言葉そのものからわかるように、完全に戦争を意識した遊びで、私の使っていた「ニッシンチョイナ」というかけ声も、おそらく日清戦争やチャイナ、あるいは朝鮮あたりから来ているのだろうと思います。京都では伝統的に日教組や共産党が強いのですが、その京都の小学校でも、こんな遊びが流行っていたというか、許されていたというのは、面白いなと思います。今なら、余計に教師やPTAから咎められそうですが、今の子供たちもこんな遊びは知っているのでしょうか?

最後に、これも地域によって呼び方の違いがあることで有名な「どろけん」。一般的には、「どろけい」や、「どろじゅん」、あるいは逆に「けいどろ」や「じゅんどろ」と呼ぶ方が多いようです。これも、関西弁というよりも、私の通っていた小学校の方言ということになるかと思います。いずれにしても、どろぼう系≠ニ警察系≠ノ分かれて遊ぶということには、変わりないようです。

とまあ、大体この辺りまでは、全国的にも有名な遊びだと思います。次回は、正直、関西弁を離れるかと思いますが、私の子供の頃に遊んでいた、全国的にはマイナーと思われる遊びについて、お話ししたいと思います。

2002/11/24

第32話 甘いもの

今回続きを書くといっていた遊びの話は、あまりに関西弁から離れるので、そのうちに、「魚のあぶく」の方にアップすることにしますね。

さて、今回は、甘いもののお話を。まずは、「ぜんざい」。ぜんざいは、漢字では善哉≠ニ書き、おめでたい言葉でもあります。

この言葉は、関東の方にもあるそうですが、これが指し示す内容が違います。関東では、お餅の上にあんがかかったもの(ちなみに、関西ではあん≠謔閧熈あんこ≠ニいう言葉をよく使うのですが、これも方言なんでしょうか?)をぜんざいと言うそうですが、関西では、粒あんの汁粉(しるこ)のことをぜんざいといいます。

これは、関東の方では、田舎汁子というそうですが、関西では、粒あんをぜんざい、こしあんを汁粉といいます。関東の方ではどうかはしりませんが、関西の方では、コクや歯触りの良さがあるからか、汁粉よりもぜんざいの方が人気があるようです。

ちなみに、私も汁粉よりぜんざいの方が好きですし、おまんじゅうやあんパンでも、粒あんの方が好みです(これについては、私の話で、関西人一般の話ではありません)。

次に、関東と関西で同じ名前なのに、形が違うものに「桜餅」があります。関東の桜餅は、ピンク色の柏餅のようなものらしいのですが、関西の桜餅は、道明寺粉で作られており、見た目がかなりぶつぶつになっています。味の方は、私は関東のものを食べたことがないので、比較はできないのですが、塩漬けにした桜の葉がいいアクセントになっていて、葉っぱごと食べると、桜の香りがぷんと広がって、なかなかオツなものです。

なお、余談ですが、雛あられも関東と関西では違うそうです。関東の雛あられは甘いらしいですが、関西のものは、塩味(醤油味だったかも)のきいた、いわゆる、あられの味で、それの形が丸くて小さいものを指します。

そして、「回転焼き」。これは多分、関東の方では「今川焼き」というのだとおもいます。形の丸い鯛焼きのような食べ物で、中にあんがたっぷりと入っていて、冬の寒い日に焼きたてをほおばると、非常に美味しい食べ物です。ただ、慌てて食べてしまうと、すぐに上あごに熱々のあんがひっつき、ヤケドをしてしまうという、非常に危険な食べ物でもあります。形が太鼓(たいこ)に似ていることから、私のところでは、「太鼓まんじゅう」と言ったりもします。

最後に、「どら焼き」。あの、漫画のドラえもんの大好物でも有名などら焼きですが、関西の方では、「三笠(みかさ)まんじゅう」の呼び名の方が一般的です。語源は、おそらく、三笠山(和歌などで有名な、奈良県の山)≠フ形に似ているところからついたのではないかと推測します。ちなみに、大阪の梅田の方では、縞模様に焼き色をつけた、トラ焼き≠ネるものも売っています。これはもちろん、阪神タイガースのトラをイメージしています。

2002/12/16

番外編

第32話で書いている、関西の桜餅とひなあられの画像をアップします。

桜餅

 

ひなあられ

 

 

第33話 お正月

もうまもなくやってくるお正月。その、お正月にかかせないお年玉を入れる袋のことを、関西弁では「ポチ袋」といいます。

語源については、はっきりとしていないのですが、これっぽっちのぽっち≠竅Aフランス語で小さいを表すぷち≠ネど、いずれにしても心ばかりに少しだけ、という意味を表すようです。

もっとも、最近の子供たちは、とても少しだけ・・・とは言えないぐらいのお年玉をもらっているようですが。

また、お正月には、お雑煮もかかせません。お雑煮は、関東と関西というより、全国全ての地域で、色々と特色があるかと思いますが、私の住んでいる京都では、白味噌を使うことで有名です。

白味噌は甘くてとろみが強いので、ごはんと一緒に食べるお味噌汁には不向きなのですが、お餅と一緒に食べるお雑煮には、なかなか美味しく感じます。とはいえ、やはり癖が強いようで、広島出身の私の父親は、いまだに食べることができません。

具材は、白味噌に、丸餅(焼きません)、祝い大根(小さくひょろっとした大根の一種)に頭芋(小芋)で、私は嫌いですが、花カツオを上からかけて食べるのが一般的です。

おせち料理では、京都でかかせないのは「棒ダラ」です。これは、タラを乾燥させたモノを水で戻して、甘辛く炊いた料理で、京都周辺の地域以外ではあまり聞きませんね。独特の風味があるのですが、干したことによる旨味が出て、美味しいですよ。

おせち料理の画像

2002/12/30

第34話 さら

新年ということで、新≠轤オく、「さら」から、今年ははじめたいと思います。

さらというのは、関西弁で、新品≠意味します。そして、新しいことを特に強調する表現として、「真っさら」や、「さらぴん」、などとも表現します。

もっとも、これを書くにあたって、検索サイトで調べてみると、色々な地方(九州や四国、東海地方など)でさら≠ヘその地方の方言であると紹介されていたので、形容矛盾(形容詞の使い方が矛盾していること、四角い円など)になりますが、全国的に存在する方言なのかもしれません。

とはいえ、関西人の私としては、関西弁として考えておりますので、ここでは、関西弁として扱わせていただきます。

ということで、久しぶりの例文を。皆さんは、野菜サラダを食べるとき、何をかけて食べますか?一般的には、ドレッシングだと思うのですが、ドレッシングは、市販のモノよりも、家で作り、その作りたてをかけた方が、より美味しく食べられます。お酢に醤油、サラダ油と、それにごま油を少し加えて混ぜるだけで、とても美味しい和風ドレッシングができるので、よろしければ是非お試しを。とまぁ、それはさておき、野菜サラダにかけるドレッシングを作るときに、当然、次のような会話をすると思います。

「このさらの皿にサラダとサラミをおいて。今から、さらのサラダ油でさらっとしたサラダのドレッシングを作るから。さらのサラダ油を使うと、サラサラしてるから、さらにサラダが美味しくなるねん。」

標準語訳

「この新しいお皿にサラダとサラミをおいてね。今から、新しいサラダ油でさらっとしたサラダのドレッシングを作るから。新しいサラダ油を使うと、サラサラとしてるから、より、サラダが美味しくなるのよ」

・・・今回のは、標準語訳も難しいかもしれませんね(笑)

2003/01/04

第35話 なんぼ

関西では、「もうかりまっか?」「ぼちぼちでんな」が挨拶だ・・・と思っている関西地方以外の方は多いのかどうかは知りませんが、このようなネタにされるほど、関西人はがめつい(お金にうるさい)生き物だと世間一般的に思われているようです。

実際、近所の商店街のみならず、家電量販店などでも「値切る」というのは、関西で生きていく上での必須技術です。・・・すみません、言い過ぎました。とはいえ、店側も元々の値段を値切られること前提でつけていることが多いので、とりあえず値切ってみないと損をするという可能性は大きいです。

中には、高島屋や大丸などといった定価販売前提のデパートでも値切りにかかる剛の者がいるということですので、関西では、「値切り」は文化の一つと言ってもいいでしょう。

さて、この「値切り」において、まず最初に発せられる言葉はなにかというと、「なんぼ」です。この関西弁は、知っている方も多いかと思いますが、標準語でいうと、「いくら」になります。もちろん、鮭の卵のいくらではありません。その商品の価格を尋ねているわけです。

この、なんぼの言い方にも色々と戦略はあり、普通に「おっちゃん(おばちゃん)、これなんぼぉ?」と友好的に尋ねる場合もあれば、「おう、兄ちゃん(姉ちゃん)、これなんぼやっ!!(▼▼メ)」と、店内にも関わらずサングラスをかけたまま、いきなり攻撃的に尋ねるパターンなどもあります。特に、後者のパターンは、値段がはっきりと表示されてるときでも、敢えて使われることがあり、かなりの高等テクニックです。ただし、これをすると店員側の警戒モードが一気に最高レベルにはねあがりますので、本物≠フ方以外はおこなわない方が無難でしょう。

さて、いずれにしても、ひとまずは、これで販売価格が知らされます。価格を知ってからの次の質問は、さきほどの質問を少し変え、「これ、なんぼになる?」になります。なんぼにする≠ナはなく、なんぼになる≠ニ、いうのがポイントです。主語を店員(店員が○○円にする)ではなく商品(商品が○○円になる)にすることにより、あたりを弱めるわけです。

後は、「えー、もう少しまけてぇなぁ」、「この辺まではいかへん?」「△△はん(よその店)は、もっと気前よかったのに」など、電卓を睨みながら、本格的な交渉に入るわけです。ただし、ここまできたら、これ以上はあまり下がらないので、値切りを楽しまない方は、「なんぼになる?もう少し、まからへん?しゃあないなぁ、ありがとぉ」程度で妥協される方が良いかと思います。

さて、この交渉過程で、これまた関西弁独特の表現で、「勉強する」という表現が、今度は店員側から出てきます。これはもちろん、いきなりこの店員が机に向かって、英語や数学の勉強を始めるわけではなく、ここでの勉強するは、「値引きさせていただきます」の意味になります。

これは、こういった量販店だけでなく、会社どうしのやりとりなどでもよく出てくる表現ですので、他の地方から関西の会社に勤めにこられた方は、良く勉強されておいた方がよい言葉だと思います。あの、引っ越しのサカイのCMで使われていたフレーズ、「勉強しまっせ、引っ越しのサカイ」の勉強は、この意味で使われています。

なお、某Vシネマや、漫画などの影響で、関西ではお金のことを「銭(ぜに)」や、「じぇに」、「ぜぜこ」などというと思っている方がおられましたら、念のために言っておきますが、あれはヤクザや金貸しの言葉であって、一般的な関西弁ではありません。

では、最後に、八百屋さんでの値切りの実例を紹介してみましょう。

「このダンボールのジャンボなんば3本なんぼなん?えーっ、なんぼなんでもジャンボなんば3本でそれは高いわ。じゃあ、ごんぼつけて、ジャンボなんば3本とごんぼ3本でなんぼ?うち、貧乏やしなんぼか辛抱してぇなぁ」

標準語訳

「このダンボールのジャンボとうもろこし3本でいくらになる?えーっ、いくらなんでもジャンボとうもろこし3本でそれは高いなぁ。じゃあ、ごぼうをつけてジャンボとうもろこし3本とごぼう3本でいくら?私、貧乏だから、いくらか辛抱してよ」

* 関西弁では、とうもろこしのことをなんば、ごぼうのことをごんぼとも言います。なお、ジャンボなんばの代わりに、魚屋でジャンボまんぼうを値切るのは、止めてくださいね(笑)

2003/01/20

第36話 しんでもえーよ

この間、新聞の投稿欄を見ていて思わず笑ってしまったネタを今回は取り上げてみたいと思います。

投稿の内容は、他府県から移ってきたお母さんが、関西で産まれて、関西弁を話す娘さんから、「お母さん、しんでもえーよ」と言われて、「この子はなんてことをいうのっ!!」と思ったという主旨のお話だったのですが、この子供が言った、「しんでもえーよ」というのは、もちろん「死んでもいいよ」という意味ではなく、「しなくてもいいよ」という意味の関西弁だったわけです。

第1回目のお話で、関西弁では、動詞の未然形にへん≠つけて、否定の意味を表すことを説明しましたが、実は、へん≠ナはなく、ん≠動詞の未然形につけても、否定の意味を表します。

例えば、食べない≠ェ、食べん=A見ない≠ェ見ん=A話さない≠ェ話さん≠ネどになります。標準語でも、「うちの娘は、おまえなんかにはやらん!!」などと、頑固親父が言ったりするように、男性が少し偉そうに言うときに使ったりしますが(サザエさんの、波平さんなんかはよく使ってますね)、関西弁では、そんな偉そうなニュアンスはなく、どちらかというと男言葉とは思いますが、女性や子供が使っても、特に違和感はない表現です(敬意はない表現ですが。家族や、友人間以外には、使わない方がよいと個人的には思います)。

このん≠ヘ、へん≠フ変形というわけではなく、古文の助動詞の「ぬ」が変化してできたモノのようです。逆に、関西弁のへん≠ヘ、このん≠ゥら派生してできたのかもしれませんね。

この表題の、「しんでもいい」も、「せんでもいい」なら、標準語でも通じる表現だったと思います。ただ、これはこれで、子供が親に言うセリフでもないのでしょうが(笑)。

ちなみに、今、書いた表現ですが、「しんでもいい(せんでもいい)」だと、関西弁を使う私でも、偉そうに感じます。これは、後ろのいい≠ニいう表現が、命令≠フニュアンスを多く含んでいるからなのでしょうね。

そういう意味では、「しんでもえーよ(せんでもえーよ)」という言葉の、後ろのえーよ≠ネどの、関西弁全体の響きがこの言葉自体も柔らかくしているのでしょうね。

2003/02/16

第37話 いわす

今回は、「いわす」です。とはいえ、誰かに何かを「言わせる」という意味ではありません。いわすとは、関西弁で、体の一部などを痛める、負傷してしまうことを意味します。

負傷すると言っても、血が出てくるようなケガではなく、一般的には筋肉や関節系の、体の内部に生じたケガを指します。

たとえば、野球選手などが、球の投げすぎなどで肩やヒジを痛めることを、「肩をいわす」、「ヒジをいわす」と言ったり(「壊す」と同じようなニュアンスです)、たまの町内運動会などで縄跳びなどをしてヒザを痛めて、「ヒザをいわす」と言ったり、最近気になってきた下腹のぽっこりを解消するためにした、下腹ぽっこり解消体操で腰を痛めてしまい、「腰をいわしてしもた」、などと使います。

また、他人に対して、「痛めつけてやるぞ」の意味で、「いわすぞ」という形で使うこともできます。たとえば、「ワレ、いわしたるぞ、こら」、などと使います。もちろん、かなり濃い、ヤクザ言葉です。普通の関西人は使わないので、ご安心を。

なお、最初に述べた、言わせるの意味でも「いわす」は使えますが、この場合も基本的にはヤクザ言葉になるので、一般の方は使わない方が無難です。

たとえ、「きゃんと言わしたろか」のきゃんが可愛いくても、なめてかかっては痛い目にあうので、ご用心を。

2003/03/16

第38話 堪忍

久しぶりの関西弁講座。長い間、更新できなかったお詫びに、今回は「堪忍(かんにん)」を。

堪忍自体は、標準語でも使われる表現だと思いますが、「兄ちゃん、堪忍な」や、「お母ちゃん、堪忍え」などと、謝罪の言葉として使われるのは、関西弁の特徴のように思われます。標準語では、同じような言葉で、「勘弁(かんべん)」を使う方が一般的かと思います。

また、関西弁の謝罪の表現として、「堪忍したってーな」を、第三者が取りなして使うのではなく、謝るべき本人が他人事みたいにして、「○○したって」と使う表現があります。商品を値切るときに、「もう少し、負けたってぇなぁ」などという形で使うこともよくあります。

謝罪の時にこういう表現をするのは、関西弁でもやはり厚かましい表現で、親しい間柄であるとか、謝る方が力関係的に有利な場合に使われることが多いです。また、全くの初対面でも、ヤクザなどはこういう使い方をします。

こう言われた場合は、「全く、かなわへんなぁ」と、不承不承許すのが、平和に生きていくための知恵でしょう。

なお、謝罪の言葉に、もちろん「ごめん」や「ごめんなさい」を使うこともありますが(というより、こちらの方が堪忍より一般的です)、親しい間では、「ごめんやで」という言い方が、関西弁らしい言い方です。女性に多い表現ですが、なんだか、本当に済まなさそうなニュアンスが伝わって、可愛く感じるから、お得な表現でしょう。

ちなみに、「すみません」が、音便で「すいません」や「すんません」に変わるのは、よく知られたところでしょうか。

「タバコ吸いますか?」と、タバコを差し出す相手に、「すいません、吸いません」と断るのは、恒例の実例紹介にもならない、本当に普通の表現で、すいません。

2003/06/07

第39話 京のお漬け物

京都といえば、お漬け物がかなり有名ですね。実際、お漬け物は私も大好きで、熱々のご飯と一緒に食べたり、お茶漬けでさらさらと食べたりと、非常に美味しく食べています。

もちろん、店のお漬け物も美味しいのですが、個人的には、家で母が漬けたお漬け物が一番美味しく感じますね。

そんなところで、今回はお漬け物のお話を。

まずは関西弁のエッセイですので、関西弁の「こうこ」から。丁寧を表す、「お」をつけて、「おこうこ」という形でよく使います。

意味は、大根を糠などで漬けたお漬け物のことで、標準語では、「たくあん」や「おしんこ」になるのでしょうか。パリパリとした歯ごたえと糠の酸味がきいて美味しいですね。スーパーなどで売っている、甘い、真っ黄色のおこうこは、あれはあれで食べられますが、個人的には、着色料を使わず、糠と塩だけで発酵させた、酸味のきいたおこうこが好みです。ただ、臭いもかなり強烈ですが・・・。大根は、葉っぱがまた、美味しいんですよね。

で、大根以外の野菜、特に、ナスビやキュウリを糠で漬けたお漬け物のことを、京都では「どぼ漬け」といいます。漬け物樽の中に、ドボッと入れて漬けこむことから、こう呼ぶのだと思います。これが、家庭の糠漬けの味で、我が家のお漬け物も、このどぼ漬けがメインとなります。ただ、最近は、蒸し暑くて温度管理が難しいらしく、夏場の野菜の旬の時期に食べられず、悲しいのですが・・・。

いいナスビだと、糠に漬けるだけで、皮がとても美しい紺色に漬かって、見てるだけで食欲をそそります。キュウリは、色鮮やかな深緑の浅漬けもいいのですが、黄色っぽくなるまで漬けこんだ古漬けがまた、美味しいんです。薄く切って、塩抜きをして、軽く醤油を垂らして、冷やご飯に冷たいほうじ茶をかけた冷たいお茶漬けでさらさらと食べるのは、暑い夏のお昼ご飯などに最適です。

また、京都で好んで食べられるお漬け物に、「すぐき」というものがあります。

これは、かぶらに似た野菜のことで、漢字では「酢茎」と書くことからもわかるように、独特の酸味が特徴です。クセがあるので、お口に合うかどうかはわかりませんが、京都に来たなら、一度は試してみる価値があると思います。

その他、聖護院カブラを漬けた千枚漬けや、ナスビやミョウガを赤紫蘇の葉と一緒に漬けたしば漬け、ほのかなピンク色に染まったひのな漬け、しゃきしゃきとした歯ごたえが美味しい壬生菜漬けなど、京都には美味しいお漬け物が豊富です。薬味の七味(清水寺の参道にある七味屋さんがお奨め。山椒も美味しい)とあわせて、京都旅行のお楽しみにお一ついかがでしょうか?

2003/08/10

第40話 あかん

今回の関西弁は、「あかん」です。もちろん、マリモで有名な湖の名前ではありません。意味は、「いけない」、「ダメ」ということです。

あそらく、「いけない」→「いかん」→「あかん」に変化したのかと思います。なお、大阪の地下鉄の駅に、「痴漢あかん」というポスターが貼られているのは、結構有名なお話です(これは、管理人の作ったネタではなく、真実です)。

また、このあかんに、「たれ」がついた、「あかんたれ」という関西弁もあります。これは、「ダメな奴」、「臆病者」といった意味で、もちろん悪口です。ちなみに、フランス語の「コマンタレ ヴー」は、「お元気ですか?」という意味になります。また、「関テレ(かんてれ)」は、関西ローカルのテレビ放送局、関西テレビの略称です。カンテラは、ランプの名称で、その明かりの強さを表す単位はカンデラです。もちろん、どれも、あかんたれ≠ニは全く関係ありません。

さて、余談はさておき、このたれ≠ヘ、人を表す接尾語で、他にも、「バカタレ」や「アホタレ」、「貧乏ったれ」や「しみったれ(ケチのこと)」など、様々な悪口を作ります。

「しょんべんたれ」や「はなたれ」などは、「垂れる」が語源だと思うのですが、上の例では、「垂れる」とは関係がなく、「誰(古語ではたれ=j」から来てるのかもと、勝手に思っていたりします。

では、久しぶりに関西弁の例文を。

「おかん、あかん、悪寒(おかん)がするし、ヤカンでお燗(かん)して熱燗ちょうだい≠トいうたら、このあかんたれ≠ト、おかんカンカンに怒ってしもてん」

<標準語訳>

「お母さん、ダメだ、悪寒がするから、ヤカンでお燗をして、熱燗をちょうだい≠トいったら、いけない子ね≠チて、お母さんがカンカンになって怒ってしまったよ」

では、今回は、こんなところで。

2003/08/27