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「魔法」について考えてみる?!錦見鋳造株式会社「魔法の」フライパン  登録日2011/07/15
 
  「魔法のフライパン」ってご存知ですか?
錦見鋳造株式会社がつくる鋳物鋳鉄フライパンで、以前はマスコミなどに頻繁に取り上げられ、入手までに3年以上かかった時期もあるほど話題になった商品です。
現在では生産体制が整い、注文数も落ち着いてきた様子で、ほぼ即納状態で購入可能になりましたが、未だその人気は健在。
ただおそらく、購入するにはネットでの通信販売を利用するしかなく、実物を見て商品を確かめることが出来ないため、こちらのページで実際の状態や使い心地についての検証をしてみました。

素人ユーザーのいち意見として商品購入の際の参考にしていただければ幸いです。
 





製品仕様
商品名  魔法のフライパン
サイズ  直径26cm (フライパンにはこの他、24cmと28cmサイズもあります)
本体重量  980g
深 さ  4.5cm
材 質  ダクタイル鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)
製造国  日本
価 格  10,500円

 
以上魔法のフライパン公式サイトより転記


 日本製ダクタイル鋳鉄フライパンの「魔法」を徹底解剖!!その詳細は??  



 まずはサイズについて
 
魔法のフライパンには直径28cm深さ5.0cm重量1,150g(大人数分の調理用)の一回り大きいサイズと直径24cm深さ4.3cm重量850g(1~2人の調理用)の一回り小さいサイズもありますが、私が購入したのは直径26cm深さ4.5cm重量980gの中間サイズ(2~3人分の調理用)でした。

フライパンにおいて、サイズ選択は悩みどころです。
特に魔法のフライパンのように鉄製のものはサイズの大小がそのまま重量に跳ね返るので、「大は小を兼ねる」とばかりも言っていられません。

私の場合は、購入当時使用していたフライパンのサイズが26cmで不便無く使用できていたこと、そのフライパンの重量は1kg弱でしたがそこそこの重さに感じていたことから26cmサイズに決めました。
ただ、実物が届き、実際に見た感じの印象は「ちょっと小さかったかも・・・」です。

最近主流のフッ素樹脂加工やマーブルコート加工など、ノンスティック加工(こびりつき防止加工)がされているフライパンは深型で底の平らな面が大きいものが一般的で、私もこの形に慣れてしまっていたので魔法のフライパンのように浅型で底面積が狭くフチの立ち上がりが緩やかなものをとても小さく感じてしまいました。
重さ的にはこれ以上重いとちょっとしんどい気がしますが、3人以上の家族であれば購入には28cmタイプをオススメします。

その他、気になる部分のサイズを測ってみました。
ただし、洋裁用のメジャーを使っての採寸です。
多少の誤差はありますので、あくまで目安としてお考えください。

フライパンの高さは4.9cm
柄の長さは20.5cm
一番高いところで11cm


製品仕様の公式データ以外の部分は
素人が採寸したもので、
正確なデータではありません
大体の大きさをつかむ際の参考としてください
以下に出てくる数値全て同様です

色々計ってみましたが
あんまりお役に立つ数字ではないかも・・・?


製品仕様の公式データ以外の部分は
正確なデータではありません
大体の大きさをつかむ際の参考としてください



26cmというのはフチも含んだ外径です
内径では25cm
焼き物に使える底の平らな面は18cmです

製品仕様の公式データ以外の部分は
正確なデータではありません
大体の大きさをつかむ際の参考としてください


うちでは紐をつけて吊るしてるのですが
金具に直接かける場合にはこの穴の大きさも
意外に気になるところでしょうか?
ちなみに穴の大きさ一番広い横幅が1cm
穴の縦の長さは1.2cmです

柄は半円にえぐれた感じになっていて
厚みというか、高さが1.5cmあります







 形について
 
フライパン自体の造形的な形としては、とてもスタイリッシュでメリハリの効いたフォルムが美しく、とても気に入っています。
同じ鋳鉄製品でもロッジ社のスキレット及源のフライパンと比べると垢抜けたおしゃれな雰囲気もあります。

ただし使用に際しては前述のとおり浅型なので、調理方法は焼き物に限定されがちです。
それも鶏肉のソテーやハンバーグ、ムニエルなど「ソテー」には便利ですが、いわゆる野菜炒めやチャーハンなどの「かさばる」料理は、作る量にも寄りますが、はみ出しがちでコンロ周りが非常に汚れる経験から、向いていないと言わざるを得ません。

底の平らな部分は
およそ直径18cm

鶏もも肉なら2枚
我が家のハンバーグだと
4つが焼けるサイズです


裏面のリブ加工は
強度を高めるためのものだそう

表面積が増えることで
おそらく熱効率もいくらか上がっているはず






 重さについて
 
26cmサイズのフライパンは、公式には980gということになっていますが、我が家のを計ってみたら1005gありました。
25gの差は吊るし紐や油膜として付いている油の重さではないかと思います。

ところで、980gという重さは、鉄製品、特に鋳物鋳鉄製品としては確かに驚異的な軽さではありますが、フライパン全体としては決して軽い方ではありません。
量販されているノンスティック加工のフライパンは主素材にアルミが使用されていることが多く、大きいサイズでもとても軽く仕上げられています。
柄の長さなど、フライパンの形状でも重さの感じ方は変わってきますが、買い替えの際には現在使用中のフライパンと比較して検討してみられることをお勧めします。
見えにくいですが
表示は1005gとなっています







 火加減について
 
ノンスティック加工やホーロー加工と違い、魔法のフライパンは鋳鉄製なので、どんな火加減で使用してもフライパン本体を傷めるということがありません。
空焼きもOKなのでナッツやごまの乾煎り、ポップコーン作りなどフッ素加工フライパンにはマネのできない使い方が出来ます。

ソテーに限っていえば適している火加減は強めの中火から弱火の間。
フッ素樹脂加工よりも熱伝導率が良い鉄のフライパンですので、若干控えめの火加減で調理しないと、食材の表面がすぐに焦げてしまいます。

調理はだいたい強めの中火から弱火にかけて
あまり強くすると一気に焦げ付いてしまいます







 得意なのはやっぱりソテー!!
 
我が家において魔法のフライパンはソテー専用です。
これについてはおそらく右に出る家庭用調理器具は無かろうと思っています。

一番の自慢料理は鶏もも肉のソテー。
レシピは「今日の料理・谷昇講師のチキンソテー」を参考に。
分厚い鶏もも肉の中心まできちんと火を通すため、ゆっくり・じっくりと焼いていきます。
火加減は弱めの中火で、時間は焼け具合の様子を見ながら、だいたい肉の側5分・皮の側8分程度火を通していけば、この仕上がりです。
皮はパリパリで香ばしく、ピンク色のお肉は柔らかくてとってもジューシー♪
番組ではフッ素加工のフライパンを使用していましたが、鉄のフライパンでは肉の表面にすばやく焦げ目を付けることで肉汁を閉じ込め、焼き時間も少し短めで焼き上げることができるため、更にジューシーな仕上がりになっているはずです。

同様にハンバーグも表面に焦げ目が付くのが早く、短時間で素材に火を通せるので、出来上がりはナイフを入れると同時に肉汁が噴き出すほどのジューシーさ♪
ステーキについては残念ながらうちでは未経験ですがこれも相当美味しいというウワサです!

ソテー以外ではお好み焼きでも活躍してます。
我が家のお気に入りのレシピはクックパッドのこちら。
Cpicon 本場 関西お好み焼き by sasa0710
パリパリで香ばしく、でも中はふっくらジューシー、という緩急のついた仕上がりは魔法のフライパンならではのものだと思います。

谷先生のチキンソテー

油を常に肉に回しかけながら焼くことで
ジューシーに仕上がるそうです
また、皮の側でなく肉の側を先に焼き
肉汁を閉じ込めるのもポイント!





しっかりと焦げ目がついて
香ばしい仕上がり
にもかかわらず
ぷりぷりで柔らかいお肉が楽しめます


お好み焼きは
鉄板で焼くのが一番!






パリパリの豚ばら肉がなんともいえません♪
この香ばしい仕上がりは
フッ素加工のフライパンには
ちょっとまねできませんよね?



ところで、ノンスティック(こびりつき防止)加工以外のフライパンで常に問題になるのは「素材がフライパンにくっつく、こげつく」という話です。
魔法のフライパンは鉄製ですが「魔法がかかっているのだからくっつかないんだろう」と思いきや、扱いが悪いと普通にくっつきます。
魔法のフライパンに限らず鉄製の調理器具を使う場合、私は以下の要領で下準備をしています。

1.まずはフライパンのみ、油を引かずに火にかける。
2.フライパンからうっすらと煙が昇ってくるくらいしっかりと熱したら、一旦火を切り、必要量の油を全体になじませる。
3.すぐに使用する場合は濡れ布巾などでフライパンの温度を落とす。すぐに使用しない場合はそのまま放置し油をフライパンに吸わせた後、使用する際には若干の余熱を加えて調理する。

以上の手順を踏めば、ソテーや目玉焼き等の焼き物についてはまずくっつくことはありません。
ただし、中華料理のように炒めた後に煮込んだりとろみ付けを行う料理はこの限りではなく、多少の水分が入った時点からどうしても焦げ付きやすくなってしまいます。
  




 フライパンの柄について
 
魔法のフライパンは柄の部分も鋳物製で鉄がそのままむき出しの状態なので、調理中はさぞかし熱くなるのだろうと思いきや、そこそこの強火調理時でもほとんど熱を持ちません。
私がお好み焼きを焼くときなどは、一枚一枚、連続して大体6枚くらいを焼くので、火にかけている時間は(ごく弱火ではありますが)2時間近くになるのですが、鍋つかみが必要なほど取っ手が熱くなったことはこれまで一度もありません。
熱伝導率が良いといわれる鉄製品の一体構造なのでどうして熱くならないのか非常に不思議ではありますが・・・。

ただし、製造元のHPでも解説されているとおり、長時間の空焚きなど条件によっては熱を持つこともありえるので一応注意は必要です。

鋳鉄一体構造のフライパンの柄
これまで触れないほど熱くなったことは
一度もありません






 使用する調理器具についての注意点
 
最近主流になりつつあるシリコンや耐熱樹脂製の調理器具ですが、魔法のフライパンをはじめとする鉄製フライパンには向きません。
これらの商品は耐熱温度が200度超とある程度の高熱には耐えられる素材で作られてはいますが、フッ素樹脂加工やホーロー加工のものと違い、鉄製フライパンは加熱の仕方によっては簡単にそれ以上の高温になる可能性があるのです。
一部には300度まで耐えられるシリコン製品もあるようですが、耐熱温度が不明な樹脂製品では本体が溶けてしまう可能性もあるため使用は控えた方がよさそうです。
鉄製フライパンの調理補助には昔ながらの金属製のものか、ノンスティック加工製品と共有できる木製品使用するほうが無難でしょう。
愛用のOXO ナイロンソフトターナー
耐熱温度は200度しかなく
鉄製フライパンには不向き


初めのうちは気にせず使っていたので
鉄板に触れる裏面には
このように溶けている部分も・・・






 収納の問題について
 
それぞれのご家庭で収納事情はさまざまだと思いますが、目に付くところに置いてあるもののほうが出番が多くなるのは言うまでもありません。
うちでは魔法のフライパンも換気扇下に吊り下げて保管してあります。
これは我が家のような狭い公団型キッチンの方に特にオススメの方法で、吊り下げ具にはハイパワーのマグネットフックが便利です。
その他の調理器具も分かりやすく陳列(?)しておくと主人や母に調理してもらう際、いちいち場所を聞かれないのが◎。
雑多な印象は否めませんけどね・・・。

よく使う物は
目に付くところに収納するに限ります
ということで
換気扇の底面にぶら下げて保管
100円均一で購入したマグネットフック
こちらは1.5kgまで対応の物なので
魔法のフライパンもラクラクかけられます
商品はちがいますが、こんな感じのものです
マグネットフック






 使用後の手入れについて
魔法のフライパンは鉄製なので少々扱いが粗くてもノンスティック加工商品のように傷が付いたり品質が落ちたりということはありませんが、せっかくのお道具ですから、鉄の特性を理解したお手入れで永いお付き合いをしたいものです。

メーカーから推奨されている使用後のお手入れ方法は
1.使用した後は、(フライパンが温かいうちに)すぐに洗う
2.基本的に洗剤を使わず、ぬるま湯・水で洗う
3.焦げ付きは完全に取り除く
4.洗い終わったら、水気をとばして油をなじませる
となっています。

洗った後は
コンロ上に手ぬぐいを敷いて
その上に伏せて自然乾燥

これはあくまで我が家のケース


メーカー推奨の手順は一般の鉄製品に共通のお手入れ方法で少々手間な印象もあると思います。
きちんとできればそれに越したことはありませんが、こちらの製品には塗装が施してあるので(詳しくは次項にて)、ここまできちんと手順を守らなくても、通常の使用でサビを心配する必要は無いと思います。
洗った後には直ちに水気を取り去ることが理想だとは思いますが、うちでは使用後にぬるま湯(夏場は水)で汚れを洗い流した後、そのまま手ぬぐいなどの上に伏せて自然乾燥する方法で特に問題はおきていません。

ところで、魔法のフライパンの使用説明書にもあるとおり、鉄製品の手入れには「使用後は油をなじませ保管」というのをよく見ますが、実のところこれには賛否両論あるようです。
油は長時間空気に触れていると酸化して粘度が増し、なんともいえない臭いが出てきます。
それが短い期間であっても、次回の調理の際に酸化した油の付いたフライパンをそのまま使用するのは料理の味や健康にも影響しそうで私は抵抗があります。
かといって調理前に洗剤で洗い流すのであれば、油を塗って保管しておくというのはあまり意味のある作業とは言えません。
以前は「油を引いておくのは油膜を作る助けになるかな?」とも思っていましたが、べとべとの油汚れは油膜とはまた別物のようで、やってもやらなくても次回の使用感に違いはありませんでした。
いくらかのサビ止め効果はあると思いますが、日常使いのフライパンには「使用後の油引き」は必要ないのではないかと思っています。
これについては料理研究家の方も(どなただったかは忘れてしまいましたが・・・)同じことをおっしゃっていたので、プロも認めたいち意見(?)です。





 現在の魔法のフライパン
 
現在使用3年目の魔法のフライパン。
主役の座はウー・ウェンパンに譲ってしまいましたが、現在でももちろん現役です。
ここ1年はソテーなど、油分をたっぷり使用した焼き物に限っての使用を続けていますが、未だに油膜は出来ていません。
写真では表面にツヤが出ているように見えますが、このツヤは洗剤で洗うと簡単に落ちてしまう「なんちゃって油膜」です。
通常の使用で焦げ付くことは減りましたが、場合によっては食材がくっつくこともあります。


 そこそこ使用感のある鍋肌ですが
まだ油膜ができた、って感じではないです


中央から下にかけて茶色い部分が
素地が出てしまったところです
現在ではほどよい黒サビに覆われましたが
一時期はアルミのような
鈍い銀色をしていました


この手のフライパンの売り文句に「使用していくうちに油がなじんできて焦げ付きにくくなる」というのがあります。
ただ、これまでいくつかの鉄製調理器具を使用してきましたが、その油なじみの良さを感じられたことは正直、皆無。
どのくらいの使用頻度でどのように使ったらそうなるのか、一度プロにきちんと教わってみたいモンです。
と思っていたら、こんな記事を発見しました。
 → 日本ダッチオーブンライフ振興会 ブラック・ポットへの近道
こちらの記事なかほどに「毎日まいにち、アウトドアでもキッチンでも、欠かさず何回も使い込んでさえ、6〜7年は使わないとブラック・ポットにはなり得ない。」という一文があります。
ブラック・ポットとは「表面がテフロン加工の様にツルツルになって黒光りするダッチ・オーブンの尊称」(同会用語集より抜粋)ですが、これが「油がなじんだ」状態だとすると、毎日使って6〜7年というのは非常に気の長い話です。
これはダッチオーブン(鋳物鋳鉄製鍋)についての記述でしたが、鍋でもフライパンでも「鉄製品と付き合う」というのはこういうことかな?と最近感じています。

ブラック・ポットというと、魔法のフライパンは新品の状態ですでに渋い黒色をしていますが、これはフッ素配合の食品塗装によるものでブラック・ポットのような黒サビや油膜が由来のものではありません。
「フッ素配合」の塗装はしてありますが、ノンスティック加工製品というわけでもありません。
詳細については錦見鋳造株式会社HP製品情報ページ中ほどの「塗装について」をご確認ください。

実は1年前、母が使用中に(←これ大事!!私がやったんじゃないです!)強烈に焦げ付かせたことがあって、その焦げを金属ヘラでガリガリと削り落とした(←私の知らない間に証拠を隠滅しようとしたらしい!!)ことがありまして、表面が強烈に凸凹になったことがあります。
後日その凸凹を均すために全体にサンドペーパーをかけたところ、一部の表面塗装が剥げて銀色の地が出てきました。
上の右の写真、中央辺りから右下にかけて、若干茶色に見える部分がその名残です。
茶色には見えていますが赤サビではありません。(→参照「赤さびと黒さびの、違いをおしえて」
今では黒サビに覆われて、良く見なければ気付かないくらいになりましたが、銀色の地金は非常にサビ易く、水洗い後に湿った状態で小1時間放置した程度で赤いサビがにじんでくるほどでした。

魔法のフライパンの主素材であるダクタイル鋳鉄とは、もとは銀色で非常にさびやすい金属なのですね。
せっかくの鉄製フライパンに「フッ素加工ではない」フッ素配合の塗装を施すなんて「はい??」って感じなんですが、恐らくはこのサビ易さゆえなのでしょう。

ちなみに、一般に売られている黒い色をした南部鉄器等の鋳鉄調理器具も、同じ塗料かどうかは不明ですが、コーティング塗装を施したものがほとんどです。
私的には、「鉄製調理器具」と言う時に、前述の「ブラック・ポット」という表現に代表されるような、黒サビと油膜で覆われたイメージを与える黒光りする商品につい目が行きがちでしたが、実際にはそれっぽくしてあるだけで全て塗装によるものだったわけです。
このことに気付いたときは、なんかちょっとだまされてたような感じがしたんですが、そんな風に思っていたのは私だけでしょうか?
ただし、無塗装製品が主流の外国製のダッチオーブンは、「ブラック・ポット」になる(頻繁に使用して6年後?7年後?)までは常にサビ対策を施しておく必要があり、特に湿度の高い日本では入念な手入れが必要で、非常に手のかかる品です。
そう考えると、鋳物製品に行われている塗装は使用者の便利を考えてのものなのだとは思います。





 結局、魔法のフライパンの魔法とは
「魔法のフライパンの"魔法"とは」一口で言うと、「鋳鉄製なのに軽くて丈夫」だということでしょう。

ソテー等料理の仕上がりの良さも魔法っちゃあ魔法なんですが、これは分厚くて重くてちょっともろい昔ながらの鋳鉄製品でも同じような仕上がりが期待できるので、魔法のフライパンだけに特別与えられた長所というわけでもないと思います。
そしてそれ以外に特に魔法を感じる部分もありません。
ユーザー(私)が使いこなせていないだけかもしれませんが・・・。

さて、その魔法の所以たる「鋳鉄製なのに軽くて丈夫」であることを可能にしたのが「ダクタイル鋳鉄」です。
 → Wikipedia ダクタイル鋳鉄
専門家ではないので例えが正確かどうかはわかりませんが、「一般の鋳鉄」と「ダクタイル鋳鉄」の違いは「土鍋」と「セラミック鍋」の違いみたいなもんかな?という感じです。
土鍋を作る粘土は組織が粗いので割れやすい上に重いですが、セラミックの方は組織が均一で割れにくく、硬いので肉薄な造形も可能で軽いものが作れますよね。

このダクタイル鋳鉄を扱うには高度な鋳物技術が必要なようですが、現在では数種類のフライパンがネットショップ等で販売されています。

とはいえ、商品としては一般的ではないようで、普通のお店で店頭に並んでいることはまずありません。
そんな中でも現物を確認可能なのがデパートなどで取り扱われている木屋製のダクタイルフライパンです。
左の写真は大阪梅田の大丸百貨店で手に入れた木屋の商品紹介パンフレットを撮影したもの。
店頭にはたしか26cmサイズしか置いてありませんでしたが、販売サイズは4種類で26cm(約1200g/12,600円)のほかに15cm(約460g/7,875円)・21cm(約870g/9,450円)・24cm(約960g11,025円)があるようです。(金額はいずれも税込で2011年4月に手に入れたパンフレットに記載の価格です)
以前は木屋の公式ネットショップで販売がされていたようですが、現在ネットショップでの取り扱いは中止されています。
刃物の木屋
ダクタイル鋳鉄フライパン
ネットでの販売は中止になったようですが
直営店舗や百貨店などで取り扱いがあります






 我が家のフライパン事情・・・
 
左の写真は、我が家で現役使用されているフライパンたちです。
この中で本命中の本命は以前ご紹介したウー・ウェンパンなわけですが、それ以外にも結構話題の商品をミーハー買いしている様がご理解いただけるのでは?(^▽^;)
デバイヤーのクレープパンもリバーライトの極も鉄製品です。
これらについてのレビューも順次追加していく予定ですので興味のある方はぜひ!引き続きお付き合いくださいませ♪

 こちらもどうぞ!  → マンネリメニューにさようなら~♪ウー・ウェンパンでレパートリーを増やす!!
左から円を書くように
①デバイヤーのクレープパン
②魔法のフライパン
③ウー・ウェンパン
④リバーライト・極






 あとがき
締め括りとして「魔法のフライパン」というのは、誰に対しても積極的にオススメできる調理器具とは言い難い、というのが正直な感想です。

このフライパンひとつでは全ての焼き料理をこなすことが出来ず、結局は深型のフライパン、もしくは中華鍋が別途必要というのが最大の難点です。
錦見鋳造からは魔法の中華鍋も販売されていますが、じゃあ、これがあればカンペキかというと、こちらの方は重すぎてどうかなぁという感じです。
個々人の調理スタイルにも寄るでしょうが・・・。

魔法のフライパンで作るソテーはとっても美味いと思いますが、毎日ソテー料理をするわけでもないし、そもそもノンスティック加工のフライパンでもそこそこの仕上がりは期待できるので「魔法のフライパンでないとだめな理由」というのがちょっと思いつきません。
最近のフライパンが多芸なだけに、「これさえあれば!!」と言うことが出来ないのです。
もちろんあれば重宝しますが、ソテーのグレードアップのためだけに鉄製フライパンを購入するというのはやっぱりちょっと贅沢な話ですよね。

フライパンですから本来はソテー以外の料理にも活用できてしかるべきですが、残念ながら「コツいらずで何にでも使えて美味しくできる」フライパンではなさそうです。
その点が「多芸でコツいらず」な私のお気に入りのウー・ウェンパンに大きく差をつけられるところです。

ノンスティック加工製品と違い、自分で育てる一生ものの鋳物製フライパンですから、付き合ってみる価値はあると思います。
「魔法のフライパン」は、料理が好きな方・作り方にこだわりのある方に、ちょっと気合を入れてお付き合いをする「とっておきの2枚目フライパン」としては最適な商品でしょう。
ただし、使い勝手良く育つまでには10年くらいかかりそうですから、普段用に気軽に使えるノンスティック加工製品を別途用意するのが得策です。
最近はエコブームでフライパンの使い捨てを倦厭する傾向がありますが、そういう流れに乗ってこれまで鉄製品になじみのない方が、フッ素樹脂加工のフライパンのかわりとして、いきなり鋳鉄製フライパンのみをメインで使うというのはちょっとやめておいた方がいい選択です。
鉄製品とのお付き合いは結構ハードルが高いですから、その点は考慮して購入に踏み切ることをおすすめします。





 余談ですが・・・肉厚な鋳鉄製フライパンとの違いを考えてみました
 
魔法のフライパンをはじめとするダクタイルフライパンの購入を考えている方の中には、従来の鋳鉄製フライパン、例えばロッジ社のスキレットのような厚手で重量のある製品との性能比較について、正直な意見を求めておられる方も多いのではないかと思います。

厚手の鋳鉄フライパンで作る料理のウマさはよく語られるところですので、「鉄製フライパン」を探す場合、鋳鉄製を視野に入れる方は少なくないと思います。
かく言う私もそうでして、もともとは及源のフライパンが大本命でした。
ただ、ネックになったのが、やはり1.86kgというその重量。
その後、魔法のフライパンの存在を知り、「厚手の鋳鉄製品の長所と軽さを併せ持つ最強の商品!!」と思い購入に至ったわけです、が。
果たしてダクタイル製フライパンには厚手の鋳鉄製品の長所が損なわれることなく備わっているのでしょうか?

残念ながら、うちには厚手の鋳鉄製フライパンがないので、実際の商品比較は出来ないのですが、使用感からいくらかの推測をすることが可能ではないかと思います。
以下に経験からの気付きをまとめてみます。


左の写真は我が家で現役活躍中のデバイヤー社・鉄クレープパン26cm、フライパンの中心部分がドーナツ状に黒く変色し油膜が出来ているのがわかります。
我が家のガスコンロは炎の出る口が直径7cm。
私はクレープを弱めの中火で焼いていますので直径10cm程度が炎の輪になると思いますが、その形が油膜にはっきり残っているわけです。
熱伝導率が良いといわれる鉄ですが、それでも直接炎を受ける部分とそうでない部分では温度のひらきがあるということになります。

この温度の偏りは、鉄板に厚みを持たせることで解消することが出来ます。
炎の熱が同心円状に広がっていくとすると、鉄板が薄いよりも分厚い方が、素材に熱が到達するまでの間に広範囲に渡って鉄板を温めることがイメージできると思います。
また、炎の熱は鉄板を温めてから素材に向かうので、鉄板が厚ければ厚いほど素材への熱の当たりは軟らかくなります。
一般的な鋳鉄製品は鍋厚が5mm以上はあり、これが「熱をムラなく均一に伝える」力になっているわけです。
(もちろん、その分余計な熱量がかかっていますので、省エネクッキングには向かないかもしれませんが・・・。)

このデバイヤーのクレープパンは板厚が2.5mm・重量が1350gと、鉄フライパンの中では肉厚な方に入りますが、これだけ厚みがあっても熱の偏りは起こっています。
件の「魔法のフライパン」はというと板厚が1.5mmしか無く、厚手の鋳鉄フライパンと同程度に「熱をムラなく均一に伝える」力を持っているとはいい難いのでは?というのが私の意見です。

デバイヤーのクレープパン
板厚が2.5mmと非常にしっかりしたつくり
その分重たいです・・・


クレープを焼いているところ
弱めの中火で2分程度焼いていますが
このように中心に焦げ目がつきやすいです



そう考えて見てみると、魔法のフライパンでの弱火調理の場合、フライパンのフチに近い部分まで十分な熱が伝わってこず、なかなか火が通らないという事象に気がつきました。

前述のフライパンの柄が熱くならないという件についても、熱くならないこと自体は便利なことですが、裏を返せばそこまで熱が伝わってきていないということでもあります。
これは柄の付け根を細くするなど構造上の配慮による効果なのかも知れませんが、フライパンの中心からフチ、柄にかけて、伝わる熱が弱くなっている(温度が下がっている)ことは事実です。

魔法のフライパンは強火もOKな鉄製ですが、焦げ付きを考えると中火から弱火での調理が中心になると思います。
そうすると、家庭用ガス熱源で使用する場合、この熱ムラが顕著に出ることになります。
(想像ですが、IHの場合はおそらく加熱部分全体で熱量を加減していると思うのでこの熱ムラは軽減されるのでは?と考えています)
冒頭でフライパンの大きさについて、家族の人数にあったサイズ選びを提案しましたが、仮にフライパンを大きくしてもコンロのサイズに合っていなければその役割は果たせませんから、その点も考慮に入れる必要がありそうです。

さて、ダクタイル鋳鉄か一般鋳鉄かという問題ですが、基本的には両方とも炭素を含む鉄を主成分とした鋳造製品なので大まかな部分での使い勝手は似たようなものです。
決定的な違いは、薄くて軽い、か、厚手で重いが火の当たりが軟らかく熱ムラが少ない、か、ということではないでしょうか?
どちらを良しとするかは、個人の好みと調理スタイルに大きく左右されるところだと思います。
加熱調理中にフライパンの柄を
触ってみました
その結果が上のとおりです
柄の先端まで熱が伝わってきていない
ということがわかります


こちらは普段使用する際に感じる
フライパンの加熱具合
弱火でじっくり火を通す調理法では
特に顕著に熱ムラを感じます















【楽天市場】feel so nice
ダクタイル鋳鉄フライパンには
埼玉県の川口鋳物製のものもあります。
こちらは深さが5.4cmと深型になっており
その分重量が若干重くなっていますが、
使い勝手はよさそうです。
【楽天市場】ムラウチ
鋳物鋳鉄フライパンの代表格
ロッジ社の26cmスキレット
2.6kgという重ささえ気にならなければ
鋳鉄製フライパンの長所を存分に味わえる
育て甲斐のある一生もののフライパンです。
しかもお安い!
【楽天市場】ニッチ・リッチ・キャッチ
フライパンからはそれますが、
ダクタイル鋳鉄製品を調べていて
こんなものを発見してしまいました。
ダクタイル鋳鉄製のダッチオーブンです!
ステキ~♪
また余計な買い物をしてしまいそうな予感・・・。










鶏もも肉のソテーごぼうソース お好み焼き トマトカップ肉詰め ハンバーグ




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