大東京三十五區

37.「大手町通り」
  早朝の大手町通りです。左手前の建物は丸の内ホテル、その次の石造建築は第一銀行、右手の建物は安田銀行です。この大通りから左は大会社大銀行などのあるビジネスセンターで、右手は内務省、大蔵省、農林省、印刷局、会計検査院、電話局、特許局などのある官街地域であります。



38.「内幸町通り」
  内幸町の交差点から霞ヶ関に至る大通りの中央には、篠懸(すずかけ)の並木美しい散歩道(プロムナード)があります。この右手は日比谷公園です。正面に見える高い鉄塔は、海軍省構内にある無線電信のアンテナです。この突き当たりに外務省があり、その右手に内務省が、目下新築されつつあります。



39.「霞ヶ関通り」
  櫻田門から虎ノ門に至る大通りで、右手の建物は司法省です。この右につづいて東京地方裁判所と海軍省があります。何れも同型式の煉瓦建で、ドイツ人の設計による、頗る(すこぶる)美しい外観を持つ建物です。この道路の向かい側に、警視庁、新築中の内務省、外務省などがあります。



40.「新宿大通り」
  大東京の中心を以て目されている新宿の大通りです。デパートの進出、劇場の続出、銀座の繁華も浅草の雑踏も、今やこの新宿の殷盛には比すべくもない有様です。ここは昔、青梅街道と甲州街道の分岐点に当たるところで、追分の名が昔のままに残されています。現在はここが京王電車の新宿終点駅になっております。



41.「上野山下附近」
上野公園正面の坂を降りて、上野駅に行く途中の交通網であります。省線電車が高架線を疾走し、地上には市内電車や乗合自動車が、櫛の歯をひくように右往左往しており、この下には地下鉄が走っています。電車自動車の交通の頻繁なことは、東京でも有数のところです。



42.「日本橋」
  お江戸日本橋の里謡でも有名なように、ここは昔の東海道の起点に当たるところで、今日でも全国各地への距離は、この橋の中央にある里程元標を基準として測定することになっています。古くは江戸八百八街の殷盛を集めた場所です。現在の花崗岩の橋は、明治四十四年に竣工したものです。写真中央の白い建物は三越です。





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