大東京三十五區

13.「増上寺本堂」
  芝の増上寺は関東に於ける浄土宗の総本山で、徳川二代将軍その他の霊廟があります。増上寺の背後一帯を芝公園と称し、上野、日比谷、浅草と共に、東京市の四大公園の一つとして、古くから市民に親しまれています。



14.「浅草五重塔」
浅草観音の仁王門の軒下から見た五重塔であります。徳川三代将軍家光の建立したもので、国宝に指定されています。仁王門は、芝増上寺の山門に次ぐ壮大な門で、江戸中期に建てられたものです。この門から雷門跡までの間を仲見世と称し、目を眩するほどの華麗な商店街になっています。



15.「泉岳寺山門」
  芝高輪の泉岳寺は赤穂浪士の墓があるので、広く世間に知られています。この寺はもと麻布にあったものを、正保年間にここに移されたものです。浅野内匠頭以下四十七義士の墓があるので、四時参拝者の跡を絶たず、香華の絶えるときがありません。



16.「震災記念堂」
  本所横網の被服廠跡にあります。大正十二年の大震災のとき、ここで殃死した三萬余人の精霊を合祀してあります。工学博士伊東忠太氏の設計になるもので、灰色のコンクリート造りで、三重の塔を持つ納骨堂が附属しています。香煙縷々として常に絶えず、参詣の人々の哀愁をそそっています。



17.「ニコライ堂」
  神田駿河台上にそびえ立つニコライ会堂は、明治の東京風景になくてならぬ、異国情緒たっぷりの建物でしたが、かの大震災のために壊滅し、近年に至って漸く復興建築を終わりました。依然として、東京風物中の一偉観たるを失わぬ建物であります。



18.「舊芝離宮恩賜公園」
  この公園は、元禄年間に、老中大久保忠朝が経営した名園で、明治九年に離宮になり、大正十三年、摂政宮殿下御成婚の記念として、東京市に御下賜になったものです。池を主として島を築き、橋を架けた、純日本式の庭園の代表的なものであります。





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