MIMESIS 10C+の設定ミス / 2019.02.04


MIMESIS 10C+ Mistake setting  MIMESIS 10C+はシンプルなD/Aコンバーターですが、デジタル信号を切り替える機能は欲張りで、入力が8系統に出力は2系統。 D/A変換回路に送る信号と、デジタル出力端子に送る信号のそれぞれを、8系統の入力から別々に指定できます。
 でも、拙宅ではCDトランスポートのMIMESIS 36A+しかつながないので、宝の持ち腐れ。 それだけなら良いのですが、この使わない機能を正しく理解していなかったため、音質の低下を招いていました。
 私のミスは、入力セレクターをアナログ・プリアンプと同一視して、外部機器を接続しないデジタル出力端子は無負荷なので、D/A変換回路と同じ入力につながっていても問題ないと安易に考えたこと。

MIMESIS 10C+ Correct setting  実際は内部に負荷となるデバイスがあって、MHzオーダーの信号(SPDIF)がデジタル出力回路に入れば、同軸出力ではパルストランスに信号電流が流れるし、光出力(TOSLINK)ではLEDを点滅駆動する電流が流れて、ともにノイズ源になるはずです。
 他の事柄が確認したくてMIMESIS 10C+の簡潔過ぎる取扱説明書に目を通していたとき、TOSLINK TX176が動作している映像が思い浮かんで、使い方の間違いに気付いた次第。
修正方法は、デジタル出力端子に割り当てる入力を、SPDIF信号が入ってこない未使用の系統に切り替えれば良く、正面のボタンを1回押すだけ。
 その瞬間、それまで改善したくても適わなかった、どこかしら焦点が緩む課題が呆気なく解決したのです。 ドリス・デイは小顔になり、歌声に顕れる心情が一層心に染みるし、ステージは奥の方へと拡がりました。 取扱説明書は読んでおくべきですね。

MIMESIS 10C+  ついでだから、MIMESIS 36A+以外の再生装置を同時につなぐと、どんな影響があるのかについても調べました。 次の順番で、段階的に音質が劣化していくことが判りました。
 ① 電源をオフにした再生装置を、同軸ケーブルでMIMESIS 10C+に接続する。
 ② 再生装置の電源をオンにする。
 ③ 再生装置を接続したMIMESIS 10C+の入力系統を、デジタル出力の信号源に設定する。
 ④ 再生装置で音楽を再生して、何も接続していないMIMESIS 10C+のデジタル出力端子からSPDIF信号を出力する。

 接続を同軸ケーブルから光ケーブルに替えても、再生装置の電源がオフの状態で干渉がほぼなくなることを除けば、音質のダメージに質的、量的な違いはありませんでした。 「ほぼ」と微妙な表現にしたのは、電源スイッチが切ってあっても、同軸であろうと光であろうと、電源プラグをコンセントに挿すだけで音の生気が僅かに陰るから。
 デジタルケーブルの接続とは別の要因ですが、2台の再生装置を併用するときには避けられない状況なので、音質劣化の最初の段階として、「再生装置の電源プラグを挿す」を挙げておいてもいいかもしれません。

 興味深いのは、私の認識不足による入力設定のしくじりでは、MIMESIS 36A+の信号が余計な回路に流れて音が緩くなる弊害を生んでいたのに、2台目の再生装置を接続した場合は様相が全く異なり、音が粗く雑でキツく聞こえる現れ方だったこと。 後者はデジタルノイズで汚染されたときの典型的な音で、オーディオとしての格が下がる、遥かにたちの悪いものでした。 同期がとれていない異種のSPDIF信号が同じ機器の中で同居していると、音質が大きく損なわれるのでしょう。
 かくして、拙宅のオーディオシステムでは、MIMESIS 10C+につなぐのはMIMESIS 36A+だけにとどめておくのが望ましいという、変哲のない結論になってしまいました。 何のために入力が8系統もあるのか、首をかしげてしまいますね。




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