自由と自在                 / 1999.12.17

似ている一組の言葉に、自由と自在があります。
普段あまり区別して使うことはありませんが、違いを考えてみると示唆的です。
思うように行動してかまわないのが自由で、
実際に思う通り行動できる能力を持っている状態が自在でしょう。
会社を選んで応募するのは自由でも、自在に就職できるわけではありません。
プロ用の道具を買い揃えるのは自由でも、自在に使いこなせるとは限りません。

オーディオでも、経済力さえあれば高額製品を所有するのは自由ですが、
本人が気付いているかどうかは別にして、誰もが自在に使いこなせるわけではありません。

出会った製品の多くに不満を覚えなければ、それに越したことはないでしょう。
でもたとえば、使っているうちに高域が何となく刺激的に感じられたので少し抑えたいと思ったら、
それが使いこなしの入口です。
アフターマーケットのアクセサリーを試したり、雑誌やネットの情報を読んでも、
意図した結果が得られるとは限らないことに疑問を持ち始め、
なぜ失敗したのか、どうして矛盾する現象が起きるのだろうと考えるようになるかもしれません。
自ら考えることで、別のところに原因があったり、複数の原因が絡んでいることに気が付きます。
仮説を立ててから実行する論理性と、
結果が予想と違っていたら理由に辿りつくまで考え続ける執着心も大切でしょう。
そんな経験と知識の積み重ねで身に付くのが使いこなしのスキルですが、
論理性も執着心も性格と関係しています。
性格が絡むからでしょうか、誰でも獲得できるスキルではないようです。
だから、使いこなしは自在に分類されると私は思うのですね。




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